ヤミ金との交渉について

公開日:2013/11/15更新日:2018/11/19

カテゴリー:司法書士 タグ:

司法書士の下東です。

今回は,被害者の代理人としてヤミ金と交渉する際の心構えについてお話いたします。

まず,こちらから相手方に連絡を入れる際には,何も最初から対決姿勢で臨むわけではありません。

問題を早期に,かつ,平和的に解決するためには,ヤミ金と敵対するばかりではいけません。

ヤミ金は犯罪者だからぞんざいな扱いで良いというわけにはいきませんので,一般企業に連絡を入れる場合と同様,丁重に連絡を入れます。

これに対し,相手の反応は様々です。

「なんだコラ,お前はどこの司法書士だ?」

というような無礼な口調の業者とはまともな話し合いなど到底出来ませんので,時には怒鳴り合いの様な交渉になることもあります。

この手の輩は一刻も早く社会から根絶する必要がありますので,交渉開始と同時並行的に法的手続きも検討していきます。

一方,しっかりと話し合いの出来る業者とは,挨拶を交わして今後の方針について話し合いをします。

時には世間話として他愛もない話に付き合うこともありますし,時事問題,政治問題などについても話し込むことなどがあります。

そして話し合いの結果スムーズに和解が出来れば,ヤミ金側が使用している銀行口座の凍結要請や携帯電話の停止の手続きなどは一切行いません。

また,当事務所ではヤミ金の使用していた電話番号と銀行口座のほか,会話の録音データや,過去の介入実績などのデータを警察に提供するために収集していますが,そうした情報も外部に出しません。

犯罪利用されている口座や携帯なのだから直ちに止めるべきという意見もあるようですが,「平和的解決」がもっとも依頼者の利益に適うのですから,一度消えかけた火種を再燃させるような行為は一切行いません(「社会正義」よりも「依頼者の利益」を優先させるのは当然です)。

また,ヤミ金に支払ったお金については,返還請求が出来ることになっていますが(民法703条,同法709条,最高裁判所第三小法廷平成20年6月10日判決),この点についても平和的解決が可能な状況であればあえて請求をしません。

このようにして,揉める姿勢のないヤミ金とは円満に和解をして解決をします。
(介入実績から悪質性の高い業者であることが予め分かっている場合は,口座等の凍結後に交渉に入ります)

このように対応しておくと,当該事件の依頼者に取って最良なのは無論ですが,以降,別依頼者の件で同一業者に介入した場合もスムーズに解決が可能なのです。

ヤミ金側の心理としては,この司法書士が介入したのでは金は取れない,時間をかけて回収に動いても無駄なのだからそれよりも口座等を維持する方を優先したい,というわけです。
警察に逮捕されるリスクを少しでも減らしておくべきという考えも多少はあるでしょう(特に,090金融ではない対面型のヤミ金はこの傾向が顕著です)。

以上のとおり,当事務所では,ヤミ金とも一種の信頼関係を構築出来るよう交渉を行います。

ただし,元金分も未払いであるようなケースにおいても,依頼者が詐欺的借入れをしている等の一部の例外的な場合を除き,ヤミ金にお金を払う和解は一切しません。

多くの場合,ヤミ金に金を払ってしまうと終局的な解決は出来ません。
ヤミ金と縁を切ることが出来ず,再度借入れを繰り返してしまう例が多いのです。
また,元金分を受け取っただけでは業者も納得せず,結局高金利を支払う羽目になるケースもあります。

よって,ヤミ金と認定出来る以上支払う金は一銭もない,というのが当事務所の当初からの基本方針です。
これは弁護士会や司法書士会の基本方針でもあるので,多くの事務所はこの様にして交渉に臨んでいることと思います。

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