闇金に白紙委任状等を渡した場合のリスク

公開日:2013/11/27更新日:2018/11/19

カテゴリー:司法書士 タグ: ,

今回は対面型の闇金の話です。

対面型闇金と取引をすると,身分証の写し等の他,次のような書類の提出を求められることがあります。

  • 借用証書(金銭消費貸借契約書)
  • 印鑑証明書
  • 債権譲渡通知書
  • 公正証書作成嘱託委任状
  • 白紙委任状

これらの書類をヤミ金に渡すと例えばどんなリスクがあるのかを見ていきましょう。

借用証書(金銭消費貸借契約書)

借用証書は通常お金の貸し借りをする際には当然取り交わす契約書です。

したがって,借用証書を渡してもさしたるリスクはないかのように思われますが,実はそうでもありません。

闇金はこうした書面の金額欄は違法金利を乗せた金額を書き込むことが多いのです。

つまり実際には10万円しか借りていないのに15万とか20万円の額面の借用証書が作られてしまうのです(これに対応した領収書も作成,交付させられます)。

そして後日違法金利であることを追及された場合,闇金は,無利息ないしは法定金利での契約であった旨主張するのです。

また,金額欄は白地とさせられるケースもあります(つまりどんな金額を後日書き込まれるか分からない)。

本名も住所も明らかにしないような闇金であれば,借用証書を作ったとしても,それは債務者に対し心理的な圧力を与えることを目的としているに過ぎず,悪用されて不利益を受ける可能性は低いといえます。

しかし,もともと知り合いであったり,知り合いの伝手で紹介を受けた者が闇金の場合(例えば暴力団関係者)は,法的手段により回収を図ってくることがあります。

闇金側が民事訴訟を提起してきた場合において,借用証書及び領収書が相手から書証として提出された場合は残念ながら敗訴濃厚です。

とはいえ,いざ借りる段になってから「いや,私は借用書は作りませんよ」と言ってみても当然ヤミ金側は承知しないでしょうし,それでは借りられるものも借りられないでしょう。

当事務所の立場としてはヤミ金からは借りないのが最善最良なのですから借りられなくて良いと考えますがどうしてもご事情がある方などは,

  • 書類は自身で確認する
  • 実印で押印しない
  • 日付・金額を空欄にしない

等の最低限の対策は取っておくべきでしょう。
※当事務所では責任を負いかねますので自己責任でお願い致します。

印鑑証明書

印鑑証明書の交付と一緒に他の書面に実印を押印している場合には,様々なリスクを負うことになります。

例えば,前述した借用証書(金銭消費貸借契約書)に実印を押印し,かつ印鑑証明書を交付しているような場合,訴訟になれば自分は知らないといってもまず通りません。

また,不動産や自動車を所有されている場合は,他の書類と併せて悪用されることにより,不動産に勝手に仮登記を入れられたり,自動車が勝手に譲渡されてしまうということも考えられます。また,白紙委任状等と一緒に渡してしまうと勝手に債権譲渡登記を入れられてしまうという被害も出ています(被害者が法人の場合)。

よって,印鑑証明書は絶対にヤミ金へ渡すべきではありません。

闇金にとってはこういった書類は債権を保全・強化するために取得するものではなく,心理的圧力を与えるために取るに過ぎない場合が多いと思われますので,印鑑登録はしていないとか取得に時間がかかるなどと言ってゴネれば,提出しなくとも問題ないのではないでしょうか(実際,交付せずに借りられているケースやコピーで可とされているケースも多くみられるところです)。

債権譲渡通知書

債権譲渡通知書は主に事業者向けに貸付けをする闇金が要求してきます。

事前に売掛先等を聞き出しておいて,支払いを滞らせた場合は売掛先にこの前の譲渡通知を送るぞと脅して支払いを促すために取得します。

そんなことをされては信用失墜は間違いないですし,最悪の場合は取引を切られることもありうるので事業者にとっては深刻です。

よって,事業者向けに活動している闇金は提出を求めてくることが多いです。

債権譲渡通知書は絶対に闇金に渡すべきでないですが,やむを得ない場合は取引先に迷惑がかかる可能性が高いことを十分承知の上で行動してください。

公正証書作成嘱託委任状

公正証書作成嘱託委任状は,印鑑証明書と必ずセットで求められます。文字どおり,公正証書の作成を委任する書類です。

公正証書とは,単なる私文書である金銭消費貸借契約書を公文書化してしまうものです。

そして,通常この委任状の雛形には執行認諾文言というものが入っていますがこれが入っていると,相手方はあなたがお金の支払いをしない場合に裁判を経ずに直ちに強制執行(例えば給料の差押え)が出来ます。

よって,公正証書作成嘱託委任状は絶対に渡さないでください。これを闇金に渡すと,闇金が大手を振ってあなたの財産に強制執行をかけてくる可能性があります。

なお,貸金業者は,公正証書作成嘱託委任状の取得は禁じられています(貸金業法第20条第1項)が闇金業者ですからこうした規定は守られないと思ったほうが良いでしょう。

白紙委任状

白紙委任状は通常の取引で作成させられることはありません。

この書類を取ろうとしてくるのは闇金等の悪質業者だけです。

白紙委任状とはどういう体裁の書類かというと,委任状とだけ書いてある書面もあれば,全くの白紙という場合もあります。

白紙委任状は,印鑑証明書とセットで渡すことにより,どのように悪用されるか分かりません。

例えば,公正証書作成嘱託委任状に仕立て上げることも出来ますし,あなたが不動産をお持ちならそれに仮登記を入れるための必要書類にすることも出来ます。

法人の場合は債権譲渡登記を勝手に入れられてしまうケースもあります。

様々なリスクを負うことになりますから,白紙委任状は絶対に渡すべきでありません。

まとめ

以上,闇金に書類を渡すリスクについて簡略ながらご紹介しました。

ご紹介したものは闇金が提出を求めてくるものの一部ですが,どんな書類にせよ相手は正当な目的で書類を取得するのではないのですから出来る限り提出は拒むべきです。

下手に重要な書類を渡してトラブルを招くより,本当に闇金と取引をしてよいのか熟慮すべきです。

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