司法書士の下東です。
本記事では,最近被害例が多い「完済させてくれない闇金」の手口や対処法について,事例を交えてご紹介します。
完済させない手口の被害例
よくある被害例は次のようなものです。
50万の融資枠が取れたという話を信じて申込みをしたところ,後から実績が足りないと言われ,1万5000円の貸し付けに対して3万円を払って完済するよう言われました。
一度完済すれば取引の実績が出来,そうすれば50万はすぐに融資出来るというのです。
正直なところ少し怪しいと思ったのですが対応が非常に丁寧でしたし,差し引き1万5000円の出費ですぐに50万円融資されるのであればとても助かると思い借りてしまいました。
ところが3万円を支払って完済しようとすると「完済するつもりなら前日連絡をしないと出来ない」とか「9時までに連絡する約束を守らなかったので今回は利息のみしか受取れない」などと言い掛かりをつけられて完済できずにまた翌週に持ち越されてしまい,もうこれまで30万円ほど支払ってしまいました。
さすがに騙されていると思い,相手の闇金に対してもう融資はいいから取引は止めたいと伝えたのですが「完済しないのなら会社や関係者に連絡することになりますよ。しっかりと手続きを執ってくれれば完済扱いにはすぐに出来ますし,既にお支払頂いたものはプール金になっていて50万円の融資実行時に全額返金出来るのでもう少しがんばってください」と言われまた数回支払いをさせられてしまいました。
今後も完済させてくれないにきまっていますから,今はもうプール金の返金も要らないから取引を止めさせてくれるよう話しているところなのですが,相手の闇金からはそれならキャンセル料として10万払うようにと言われています。
これを払って終わりになるのなら払いたいと思っているのですが本当に請求はなくなるのでしょうか。
上記事例は典型的な完済させてくれない闇金業者の手口です。
被害者は任意に取引を始めていますが,更に悪質なケースになると押し貸しという勝手に少額を振り込んで高金利を請求してくるという手口も見受けられます。
このような闇金業者の最大の特徴は,
・お金を払い続ける限り請求は決して止めない
・当初から言っている高額融資というのは全くのデタラメ
ということです。
最初から高額な融資などする気はないのに被害者を騙して取引を始めさせるような悪質闇金業者です。
また,返金という話が出てきたとしても,それはうまく騙してお金を引き出すための方便であり,実際は絶対に返金されることはありません。
このような業者は初めからお金を巻き上げることだけが目的です。
完済できたケースは?
支払能力がない方に対して延々と請求しても意味がないですから,完済させない闇金であってもいつかは請求を止めます。
しかし,それは債務者の方の支払能力が完全になくなったと判断されたときのことです。
業者は被害者の支払能力を見極めた上で被害者が潰れる(支払能力が完全になくなる)ところまで請求は止めません。
逆に,「もうこれ以上は本当に払えないから!」と訴えても業者側が支払能力がありと判断すれば請求は止まりません。
したがって,「今度こそ完済できるかも」と一縷の望みにかけて返済を行うのは得策ではありません。
キャンセル料を払っても請求は止まらない
「これで最後の支払いでいいから」と言われて仕方なくキャンセル料を払ってしまったという被害例も多く聞きます。
しかし,その被害者全てが,キャンセル料を支払ったその後も不当な請求を繰り返されるという被害を受けています。
酷い例になると,その後も事務手数料,データ抹消料,システム利用料,損害賠償金,完済手数料等々と様々な名目で10回以上も支払いを強要されたというケースまであります。
相手は犯罪であることも厭わずに恐喝行為により金儲けをしようという連中ですから,そのような相手にお金を払ったとしてもそれで終わりになる保証は全くありません。
完済させてくれない闇金への対処法
上記に述べたとおり,このタイプの闇金は極めて悪質な業者であり,様々な方法で金銭の搾取を行います。
そして,名目を問わず,お金の支払いを続ける限りはいつまで経っても請求はなくなりません。
したがって,この手口に対抗するためには,まずは支払を止めることが絶対に必要です。
支払いを止めると,闇金業者はご本人や周囲の方への嫌がらせを行い,支払いを強制しようとしてきますが,それに怯んではいけません。
闇金との連絡を絶ち,金銭の支払いも絶対にしないでください。
そうすると,闇金も暇ではありませんから,回収可能性なしと判断してすぐに手を引いていきます。
ご本人だけで対処する自信がない場合は,司法書士や弁護士に相談することも検討すると良いでしょう。
まとめ
今回は,請求どおりに支払をしても完済させてくれないような悪質闇金業者についてその手口や対処法をご紹介しました。
業者は,完済できないのはこちらに非があるかのような言い回しで何度も支払を要求してきますが,支払に応じている限りいつまでも解決にはなりません。
闇金からの嫌がらせ行為を受けると,精神的に追い詰められ,その場凌ぎで支払いに応じてしまう方がいらっしゃいます。
しかし,そうした行為は解決にならないばかりでなく,格好の標的になってしまい長期間に亘ってお金を搾取され続ける結果になります。
嫌がらせが怖いために闇金の言いなりになってしまうというのも分からなくはないですが,そのような心理状態の方のことはヤミ金は決して手放しません。
しっかり縁を切るためには周囲の方に事情を話して協力要請をした上で,一丸となって闇金を徹底的に無視し,決してお金は払わないという対応が必須です。
また,状況により警察や弁護士・司法書士などに相談をしてみることも必要でしょう。