下東です。
当事務所では,ヤミ金被害者ご本人様からの相談のほか,ご家族等からの相談も受け付けています。
その際,良く頂くご質問のひとつに「ヤミ金の借金は相続されますか」というものがあります。
もちろん答えは「相続されません」ということになります。
これは,ヤミ金との契約はそもそも無効でありヤミ金に対する債務は不存在であるため相続もされないということです。
※超高金利のヤミ金を指します。違法ではあるが無効な契約とまではいえないケースはあり得ます。
しかし,この場合の相談者(推定相続人)の方のご質問の趣旨は別のところにあるので,こうも付け加えます。
「相続しないからと言って取立てを受けないかどうかは分かりませんよ」と。
ヤミ金との契約は無効(民法第90条,最高裁平成20年6月10日判決)であり,また,ヤミ金が借受人に対して給付した金員は不法原因給付(民法708条)に該当するため,ヤミ金は借受人(債務者)に対する請求権はないというのが法の理屈でありますが,こんなことはヤミ金だってもともと知っています。
知った上でやっているのです。
ヤミ金にとっては,法律上どうかということは関係ありません。
ですから,
相続されない=請求されない
ということにはならないのです。
ヤミ金問題は,場合によってはご家族全体の問題になり得ます。
そして,当のご本人がお亡くなりになったからといってそれで終わりになるとは限りません(もっとも,聞く限りではご本人死亡により回収不能と判断するヤミ金がほとんどのようです)。
よってご家族がヤミ金と付き合いがあると発覚したら早めに対処されることをお勧めします。
なお,上記に述べたとおりヤミ金に対する債務は相続されませんが,債権は相続されます。
ヤミ金に対して支払った金員は全額返してもらえる(民法709条,前記最高裁判決)というのが原則ですがこれは相続人からも認められるということです。
所在の知れない090金融が相手ではこの請求権は事実上行使することが出来ませんが,そうでなければ可能性はあります。
また,振り込め詐欺救済法による被害回復も出来ることがあります。
故人がヤミ金取引をしており,振込で支払いをしていた場合は,救済法により被害金の回収が出来ることがありますから,該当ある方は一度調べてみるとよいでしょう。