ヤミ金との付き合いが長くなると,ヤミ金と債務者(被害者)という関係であっても,一部の業者とは親しい間柄の様になることがあります。
しかしこれはヤミ金のやり口のひとつであり,つまりは回収を容易なさしめるための方策に過ぎないのですが,「この人なら約束をちゃんと守ってくれる」であるとか,「自分だけは特別扱いしてくれている」などと錯覚し,被害を拡大させてしまう事例が見受けられます。
今回はそうした被害事例のひとつをご紹介します。
借り換えを持ちかけるヤミ金
複数のヤミ金と取引していると,取立てが厳しいのとそうでないのがいるでしょう。
厳しいヤミ金となると,返済は一日たりとも待たないという姿勢であり,遅れれば高額の延滞金を請求されるため,被害者はそこへの返済のため金策に奔走することとなります。
しかし金策といっても限度がありますから,いつまでも続きません。
結果,延滞額は数十万円と高額なものとなり,到底支払い切れない状況となります。
すると,取立てがゆるく,いつも仲良くしているヤミ金から,借り換えの提案をされることがあります。
「そんなに困っているなら,その業者に話をつけてウチで借り換えさせてあげるよ」
というわけです。
この話に乗ると,取立ての厳しかったヤミ金からは連絡が来なくなり,被害者としては,うまく話をつけてもらえたということになります。
しかし,相手は仲良くしていたとはいえヤミ金です。
ヤミ金に取ってリスクのある借り換えなどに何故応じるのでしょうか。
ヤミ金はみんなグル
このブログでは何度も申し述べていますが,ヤミ金は,同一グループ・同一事務所内の複数人で,被害者に対しそれぞれ金を貸しているケースが多々あります。
先の例の,取立ての厳しいヤミ金と借り換えに応じたヤミ金は,同一事務所の人間である可能性が高いのです。
なるほど同一事務所であれば,借り換えといっても名目上の話に過ぎず,実際に身銭を切る必要はないのですから,ヤミ金に取ってリスクはありません。
リスクなく被害者に恩を着せることが出来,それにより被害者を縛り,今後もせっせと金を運ぶようコントロール出来る良策ということになりますね。
しかも,名目上は元金ですから,将来弁護士や司法書士が介入したとしても,その弁護士・司法書士がマヌケであれば,元金和解が出来る可能性もあります。
どう転んでもヤミ金にとってはおいしい話です。
さて,この事例,ご紹介してみたものの,残念ながら知ったところで被害の防止にはならないと考えます。
なぜなら,被害者にとっては目先の問題解決が最優先事項なのですから,ヤミ金らはグルであり,借り換えは茶番劇だと理解していたとしても,ヤミ金の提案に乗らざるを得ないだろうからです。
今回の事例紹介の中でお伝えしたいことは,ヤミ金は,あなたのために便宜を図ったりしないということです。
ヤミ金というのは,違法なことをしてでも他人から金を搾り取って儲けたいと考えている人種です。
そんな人間が,会ったこともないあなたのために骨を折ったりリスクを負ったりしますか。
良く考えてみれば分かるはずです。