金利の低い闇金は本当に優良なのか?

公開日:2018/09/14更新日:2018/09/28

カテゴリー:相談員, ブログ タグ: , ,

相談員の横田です。

高利貸しの金利を表すものとして,昔から「トイチ」という言葉がよく知られています。

トイチは10日で1割の利息のことで,年利に換算すると365%に相当します。これは出資法上の上限金利の3倍以上です。

普通の感覚だととんでもない高金利なのですが,実際の闇金の金利をみるとトイチなど甘いと言わざるを得ないのが現実です。

10日で3割とか5割といった利息をとるのが当たり前というほど,闇金はとんでもない高金利を請求するのが普通なのですが,そんな中で,うちは他社よりも安いという点を売りにしている業者もかなりあります。

闇金ではあるが,それほど暴利ではないし融通もきかせてくれそうだと思ってしまいがちですが,一見他の業者に比べて安く優良に見えるところについても注意が必要です。

むしろ,逆に優良・低金利を売りにする闇金ほど警戒を強める必要があるのです。

現在闇金の利息の相場はどれくらいなのかという点について再確認するとともに,金利の計算方法がおかしい場合の具体例,低金利をうたう闇金は本当に優良といえるのか,についてみていきます。

金利が低いのはどんな闇金?

一般の消費者向けに融資を行う090金融は,先ほど見たとおり年2000%とか5000%という利率ですが,当然闇金も千差万別なので,もっと金利の低い闇金もたくさんいます。

年利は返済サイクルによっても大きく異なるので,短期で7日や10日などのサイクルの場合は数千%と高利率になるのですが,半月や月一というサイクルの場合は1000%を切ることもよくあります。

また取引金額が大きくなった場合は,闇金側もお客さんが現実的に支払ってゆける金額を設定しないと回収につながらないので,月一給料日に合わせるなど,比較的緩やかに長期間の取引をさせます。
なので,金利は相対的に低い割合になることが多いです。

事業者向けの闇金,システム金融などは,一般消費者向けの短期闇金業者よりは金利が低い傾向にあります。

低金利=優良というのは間違い?

闇金でもよく使われる売り文句として「低金利」を掲げるところは多く,融資勧誘メールやホームページでも前面に押し出されているのをよく見かけます。

金利が低いからそれほど返済も辛くはなく,そのことから優良でソフトなスタンスの業者なのだと思ってしまいがちですが,これには注意が必要です。

注意すべきパターンとして,以下の2点に絞って見ていきます。

  • 闇金の融資勧誘メールやハガキ,ウェブサイトなどに書かれている金利は,あえて計算方法を誤魔化して低金利と思わせたりウソの金利を表示している業者が多い。
  • 実際に比較的金利の低い闇金業者の中にも優良とは程遠い,とても危険な業者がかなりいる。

利息の計算方法には注意

ソフト闇金HP掲載の利息表

特に自社HPを持つソフト闇金には多いのですが,金利の表示方法がおかしい場合があります。

例えば,あるソフト闇金のHPには「1週間で2割」と書かれてあります。
先に述べたとおり,多くの闇金が週5割とか10日で7割ぐらいの利息で貸付けを行っていますので,2割というとそれに比べればかなり安いと思ってしまいそうです。

しかしこれは,元本に対する割合ではなく,完済金額に対する割合であることに注意が必要です。
前述のとおり,正しい金利計算は実際に受け取った元本に対する割合でみます。

例えば,利息週2割,手数料3000円で,2万円の融資枠を希望したとします。

この場合多くの業者が最初に利息と手数料が天引きされるので,2万の枠を希望すると20000-4000-3000=13000円が実際に受け取れる金額で,これが元本となります。

手数料などの名目で先引きされたものも法律上は利息とみなされるため,13000円に対する利息は4000+手数料3000で7000円ということになります。
7000÷13000で,実際は1週間約5割4分の計算になります。

なお,1万円という枠の場合は1週間で10割という計算になります。なんと倍返しというとんでもない高金利です。

現在取引中の闇金がどれだけ高金利なのか,当初の約束どおりの金利なのかということは,通帳を見ながら,実際に業者から入金されてきた金額と完済にはいくら払わないといけないかということをよく見比べながら判断しましょう。

本当に安い業者は逆に要注意

実際に比較的金利の低い闇金業者というのももちろんいるわけですが,決してそういう業者が優良と考えてはいけません。

かえってそういう闇金の中には優良とは程遠い,とても危険な業者がかなり混ざっているのが現実です。

どんな時にその危険さが分かるのかというと,支払いに滞りが出始めたころであり,出来ず取立てが始まった時こういう業者は本性を現し,長期間にわたる激しい取立てを始めるのです。

それまでは,他のところより金利も安く,支払いのサイクルも緩やかで,優良なところだと感じるかもしれません。

しかし,利息を安くしていることには何らかの理由がある場合もあり,特に悪質な業者の場合は完済をさせず,数カ月~数年単位でずっと払わせ続けるというスタンスの闇金もいます。

少額融資の090金融における傾向としては,年利1000%を下回るようなやや金利が低めな業者にかぎって取引期間がとても長く,一般的な短期業者よりもはるかに多額の支払いをさせられてしまったという被害例が多いといえます。

取引が長くなりお客さんをより自分のコントロール下に入れることができるようになれば,いざ支払能力がなくなってきたときの闇金側の脅しもより効果的になることでしょう。

こういう悪質な取立てによって回収を図る業者に一度捕まってしまうと,多額のお金を搾り取られて金銭的に追い込まれるというよりは,関係者も巻き込んだ酷い嫌がらせにより職場をやめざるを得なくなったり,周囲の人々との関係が破綻してしまったりするなど,日常生活そのものが破綻してしまう可能性があります。

そして,それに耐えきれず他の闇金から借りてでも支払いを継続させられるという事態に陥ってしまいます。

これは結果的に,金銭的に困窮するよりもはるかに大きな損失をもたらしてしまうことがとても多いのです。

当事務所HPの「闇金リスト」で,★5をつけている悪質度が極めて高い闇金の中にも,年利は他の業者と比べてだいぶん低いところがいくつもありますので,実際にチェックしてみて下さい。

闇金の金利の相場

金利の低い闇金は本当に優良なのか?

正規業者の何倍ぐらいか?

一般消費者向けに少額の貸付けを行う闇金業者の場合,金利は元本の概ね5割から10割を7〜10日毎に要求されます。

これがどれだけ高いのか,年率に換算してみると特にわかりやすいかと思います。

闇金のような違法業者でない,普通の消費者金融の利息上限は年15%〜20%です。

例えば週5割の利息の場合,50%÷7×365=約2607%となります。

10万円借りたとすると,その利息は正規業者では1年後2万円となりますが,
闇金で10万円借りると1年後約260万7000円の利息が付くこととなります。

毎週5割の利息で一年間返済を続けるとこれほどの金額を闇金へ支払う計算になりますので,いかに滅茶苦茶な内容かが認識できると思います。

090金融では1週間で5割は平均的な利率ですから,闇金は一般的な消費者金融と比べて100倍を超えるのは当たり前といえます。

1週間や10日サイクルの短期業者の相場は,正規業者の100~300倍あたりが相場といえるでしょう。

闇金は,まさに暴利を貪る商売を行っていることがよく分かります(実のところ商売とは言えず単なる犯罪行為なのですが)。

取引金額は小さく,取引期間も短いことが多いため,これだけの暴利であるのは認識しづらいかもしれませんが,計算上はこれだけ酷い内容なのです。

今やトイチどころではない

悪徳業者のイメージ

一般に,高利貸しといえば「トイチ」という言葉が有名かと思います。

10日で1割も取られるということで,私たちの感覚からみるとこれだけでもとんでもない高金利と感じますが,少額短期融資の090金融の中でトイチの業者はとても珍しいというのが現実です。

先に挙げた例と比較すると,トイチは年365%ですから,年2607%と比べると足元にも及びません。

週5割程度は請求する闇金がとても多いですし,割合緩めの業者でも年1000%は超えているところが大半でしょう。

それ以下の闇金は,事業者向けの大口融資を行うシステム金融や月一給料日合わせで比較的支払能力の高い人向けに融資を行う業者ぐらいかもしれません。

親切で丁寧な対応を売りにしているソフト闇金と言われる業者でも年数千%はあります。
また,完済させない闇金や押し貸しを行うような悪質業者になると,年数万%に上ることも珍しくないです。

もはやトイチやトサン程度ではすまないほどの暴利行為を行っている業者はとても多いのです。

そもそも利息とは?

一般に,利息は,貸し付けた元本に加えて貸した側が受け取る金額を指します。

借りた金額に利率を掛けた利子に加えて,手数料などと言って支払わされるお金も利息となります。

これは利息制限法にも規定があり,手数料などの名目のものも法律上は利息とみなされます(法3条)。保証料についても同様の制限があります。

利息をとること自体が悪で,大昔から宗教的な理由で禁じられていることもありましたが,現代では主に債務者保護の目的から法律上の制限が設けられています。

利息制限法は,貸金業者が守らなければならない金利を定めていて,それを超えた利息を請求する根拠はありません。
上限は金額によって三段階に分かれていますが,年15%〜20%と定められています。

また,貸金業法では,年109.5%(~109.8%)を超える場合には利息のみならず元本の部分についても返済を受ける根拠を失うことが定められました(法42条1項)。

それに加え,業としてこの高金利で貸付けを行った場合は懲役3年以下・罰金1000万円以下という刑事罰が出資法で科せられています。

業としてとは言いますが,これは職業としてとか,より多くの利益を得る目的でとかいった意味ではなく,個人的な貸し借りであっても反復・継続して行う意思があるだけで当てはまると一般的には理解されています。

ジャンプとは

闇金のよく使う用語としてジャンプという言葉があります。

これは,完済金額が用意できない場合に,利息だけを支払って完済を翌支払日に延ばすことです。

手形取引でも使われることが多い言葉ですが,通常の消費者金融などで使われるジャンプというのは,返済が滞りそうになったときに,一部利息だけを返済期日に支払うことで元本の期日を先に延ばし,延滞を回避することを意味します。

普通の取引ではどうしても支払いが厳しいときの苦肉の策であり,金融会社からみると歓迎されるものではなく,むしろ支払能力がないのかと不信感を与えるものです。

したがってジャンプできる回数も1回だけなどといった限りがあります。

しかし闇金の場合はジャンプのために一部支払いをしても,完済のときに支払う元本や利息は一切減りません。

なので,ジャンプすればするほど利息分を延々払わせ続けることができます。

闇金からするとジャンプする客は大歓迎であり,最低2回はジャンプしないといけないという条件をつける者もいます。

闇金への返済に苦しむ必要はない

闇金被害から立ち直る人のイメージ

闇金がいかに高金利であれ他より低金利であれ,要求された金額を支払う義務はありません。

闇金の言う金利には必ずウソがありますので,「うちは他より安い」といった宣伝文句は一切信用してはいけません

金利を正しく計算してみて,もし最初の話と違うという場合は,今のまま支払い続けるとどうなるのかということを冷静に考えましょう。

年利1~2万%に相当するようなとんでもない利息を請求されたとしても安易に支払いをするのはやめ,一旦冷静になってよく考えてみて下さい。

このような不当な金額は絶対に支払わず,専門家の対応により請求をストップさせるよう相談してみてください。

また,今借りているところが闇金かどうか分からないという場合で,金利も違法なものなのかが判断できないという場合にも,専門家に相談して適切な判断をしてもらいましょう。

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