相談員の嶋村です。
当事務所にはいろいろなご相談をいただきますが,その中でも多くの方が危惧する一つが闇金からの督促についてです。
闇金からお金を借りてしまったけど支払えない…恐ろしい取り立てが来るかもしれない…どうしよう…。その困惑の深層には,どんな内容かわからぬ督促への恐怖心および早く解決をしたいという気持ちがあるのではないでしょうか?
今回は被害者の方からご相談いただいた体験談をもとに,支払い期日を時間軸とした場合どのような督促がくるのか,そしてその解決策と対処方法をお伝えさせていただきます。基本的には電話による督促が殆どですが,中にはショートメール(SMS)やFAXまたは電報という場合もあります。
とその前に,被害者が思う「解決」とは一体何を指しているのでしょうか?完済すること=解決であれば,それは間違いです。完済するとさらなる勧誘が待っているのです。その正解はこのブログの中にあります。ぜひ最後まで御一読ください。
返済期日が明日にせまっている!
まず,あと一日期日があるということで,この時点ではまだ大きなアクションはありません。むしろ怖いくらい物静かなのです。
被害者:明日が期日とわかっているけど,手元にお金が用意できない。なんとか延長してもらえないかな。とりあえずダメ元で電話してみよう。
そしていざ電話をすると・・・
闇金:電話には出ない
これは一体どういうことなのでしょうか?実は返済させないという企みなのです。電話にもでずあえて無視をすることにより返済期日を先延ばしさせ,期日が過ぎたと同時に延滞料金を請求してくるのです。しかも連絡をしてこなかったと言いがかりをつけ,元金よりもまず延滞利息を払えという話に持っていき莫大な利息を請求してくることも多々あります。
また,指定の振込先を教えず返済させないという悪質な手段も頻繁にあります。
結果,利息だけを払うことが関の山となり,どんどん借入金が増え,新たに別の闇金から借りなくてはならないという自転車操業に陥ってしまうのです。脅迫まがいの嫌がらせはなくとも,裏をかえせば実に恐ろしい問題です。
いよいよ今日が支払い日!早く解決したいけど…お金がない!
恐れていた支払い日がとうとうやってきてしまいました。なんとか解決したいけど,工面ができない…そもそも法外な金利を取るのだから工面できなくても仕方ありません。では相手は,被害者の事情を聞き入れてくれるのでしょうか?
実は数パターンありますがそのうちよくある例を紹介します
「今日は返せなくてもよいけど,利息だけ払って」というパターン
一見優しそうに思えますが,これは罠です。利息だけ払わせて元金は完済させないというパターンです。この罠にはまってしまうと,利息は増えていく一方。そして悩む被害者に絶妙のタイミングで別の業者から勧誘の電話やメールが届くのです。そこで心ゆらぎ,新たな業者からまた借りてしまう…。
「何時になったら振り込むのか。明細を呈示しろ」というパターン
昨日までの態度とは変わり,怖い口調になってきます。とにかく早く入金をしろ,さもなくば職場や親族・知人に電話をするぞと脅してきます。あたふたする被害者の反応を感じ取りつつ,だんだんと口調も変わり夕方には電話が鳴りやまなくなることもあります。近くにATMがないと言っても,もちろん聞く耳持たずです。
「いいですよ。お待ちしましょう」というパターン
被害者:「え!?待ってもらえるのですか?」
闇金:「仕方ないですね~。今回だけお待ちしますよ」
と,この会話が何度か繰り返されることもまれにあります。しかしある日突然このようなことを言ってくるのです。
被害者:「やはりまだ工面できないので,あと数日待ってほしい」
闇金:「そうですか。ならば回収業者に回すだけです。しかし,そうすると手がつけられなくなりますね。では。」
といって電話を切る。回収業者に回すとはどういうことなのでしょうか?
詳しくは以前紹介した「闇金に返済できなくなると回収業者に委託される?!」をご参照ください。
期日を過ぎてしまった!恐れていた闇金からの督促が…
こうなってしまうとほとんどの闇金が過激な督促を始めます。もはや督促というより嫌がらせのスタートです。では,具体的にどんな内容なのでしょうか?ちなみに相手は違法業者です。
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- 勤務先へ嫌がらせの電話をかけてくる。「おたくの従業員の●●さんだけど,お金返してくれないんだよね。」と借金があることを受電相手に伝えてしまう。
- 近所の方の電話番号を電話帳などで調べあげ,FAXに切り替わる相手に「●●は借りた金を返さない詐欺師」のような文面をFAXする。
- 頼んでもいない出前を大量に届けたり,救急車やタクシーを呼んだりとまったく関係のない第3者を巻き込む
- 親族に脅迫のような電話をする。
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「代わりに払え。払えないなら自宅に行くぞ」「おたくのお子さんに金を貸しているんだけど,返してくれないんだよね。どういう教育してるの?今から近所にビラをばらまくよ」などというものです。ひどい場合には家に火をつけるや,子供を誘拐するなどと脅してくるパターンもあります。
正規の金融業者から借金をし,返済が滞ってしまった場合にも督促はありますが,そこには法令がありそれに基づいて督促をしているはずです。詳しくは『貸金業法21条(取立て行為の規制)』をご覧ください。
さて,よく頂く質問の一つにこんなものがあります。
「自宅に押し掛けるぞ!」と言われてしまい,恐怖で眠れない。というものです。被害者がやりとりをしている業者は,どこに拠点があるのか判明していますか?もしかしたら借入額より交通費のほうが高いかもしれません。そこまでして相手はやってくるのでしょうか? 闇金が自宅に訪れるケースはごく稀です。なんの根拠もない督促に,心を揺るがさられぬよう鋼のハートを持つことも大切です。
確実な解決方法
このように,闇金は利息だけではなく督促手段も違法なのです。
犯罪的な督促や嫌がらせをされたなら,警察に相談ください。ただし被害届の提出が必要な場合もあり,解決までに時間がかかってしまうこともあります。こうしている合間にも電話が鳴りやまないという方は,ひとまずその電話を無視してください。そして,これらを一刻も早く停止させるには司法書士や弁護士などの専門家に依頼することです。相手は違法業者だからこそ,法律の専門家に相談をして「被害者に返済の義務はない」ことを伝えることがより早い解決方法です。ご自身で解決するには限界もあります。被害者ご自身はもちろん,職場や親族への嫌がらせがエスカレートする前にまずは専門家へご相談ください。必ず解決できます。