福岡市内のATMで他人名義のキャッシュカードを不正に利用してお金を引き出したとして、43歳の男が逮捕されたという報道がありました。
記事の内容を以下に要約して掲載します。
他人のキャッシュカードを使ってATMから現金1700万円を引き出した疑いで主犯格の男を逮捕 口座には闇金の客が返済金などを振り込み
不正に入手したキャッシュカードを使って、闇金の客が返済金などを振り込んでいた口座から約1700万円を引き出したとして福岡県久留米市の会社員(43)が逮捕された。
警察によると、容疑者は2020年12月からの1年間に福岡市のATMで、不正に入手した他人名義のキャッシュカードを使って現金約1700万円を引き出した窃盗の疑いがもたれている。この口座には闇金の客からの返済金などが振り込まれていた。
警察は同口座から不正に現金を引き出したとしてこれまでに男4人を逮捕していて、この容疑者がその主犯格とみられている。
引用元:TBS NEWS DIG 2023年3月23日23:49配信記事より要約。
出し子の主犯格が窃盗容疑で逮捕された事案
他人のキャッシュカードを使って、口座から不正に現金を引き出した男が窃盗容疑で逮捕されたという事件です。
闇金などの違法業者は他人名義の預金口座を不正に利用して、被害者にお金を振り込ませ、収益を回収します。
こういった不正に利用されている口座は、被害者や警察、弁護士・司法書士などの申し出によって凍結措置を執られることが多いです。そのため闇金など違法業者は預金口座を消耗品と考え、遅かれ早かれいずれかのタイミングで凍結されて使えなくなってしまうことを想定した上で早めに中のお金を引き出しているケースが多いです。現金をATMから引き出すのが、いわゆる出し子と呼ばれる役割の者です。
出し子は逮捕リスクがとても大きい
ATMに直接現金を引き出しに行く役割であるため、受け子などと同様に出し子は逮捕されるリスクがとても大きく、特殊詐欺の出し子がATMで待機していた警察官に現行犯逮捕されるという事件も時折報じられます。
このため、闇金などの組織の中でも末端の者がやらされたり、いわゆる“闇バイト”などで募集したりして、いわば捨て駒のように扱われることが多いのです。
今回の容疑者は主犯格とされていますが、何人かいる出し子を取りまとめていた、出し子の中のリーダーといった立場の者だったと考えられます。
主犯格とはいえ、所詮は組織全体でみれば末端の立場の人間とみられるので、これを足掛かりに組織の中核を担う人物までしっかりと辿り着かなければ、根本的な解決にはなりません。そしてそれはかなり難易度の高い捜査が必要になるであろうことが予想されます。
闇金から紹介された闇バイトによる逮捕者も
前述のように、たいてい口座から実際にお金を引き出すのは出し子と呼ばれる、闇金などの組織の中では末端に位置する立場の人間がやっていることが多いです。
中には、闇金被害者が業者への返済をする代わりに出し子をさせられるケースもあります。また、返済の資金を調達するために特殊詐欺の受け子をやるよう紹介されるケースもあります。
こうした、闇金の手足となって働かせられる闇バイトは非常に大きな逮捕のリスクを伴います。
これらの犯罪行為に加担してしまうと逮捕されるリスクを負うことになり、しかも当の闇金業者よりもはるかに大きい逮捕リスクを背負うことになってしまいます。
昨年10月にも、闇金への返済が滞り、特殊詐欺の受け子のバイトをさせられた男性が逮捕されるという事件が報道されています(「闇金への返済が滞り特殊詐欺の受け子をさせられた男が逮捕」を参照)。この件で闇バイトを紹介した闇金業者が逮捕されたとの報道は今のところ見当たりません。
闇バイトに手を出す前に
今後の人生が台無しになる危険性もあり、こういった闇バイトで得られる利益とは比べ物にならないほどの甚大な損失を被ることになってしまいます。
闇金から借りている方の中で、返済が苦しい状況で闇金から出し子や受け子などの闇バイトを紹介されたとしても、絶対に関わっていはいけません。
かといって、そのまま放置しておいてもしつこい取立てを受ける恐れがありますので、闇バイトに手を染める前に早めに警察や弁護士、司法書士に相談することをおすすめします。