先払い現金化(闇金処理)と消費者金融(債務整理)のご相談を受けて

会社員のAさんからLINEで先払い現金化業者のご相談を受けたのは今年に入ってすぐのことです。取引業者は4件。早急な対応をご希望とのことでしたので電話で詳細な取引内容を聴取することになりました。
お電話では先払い業者と具体的にどのような取引を行ってきたかをお話しいただいていたのですが、費用の分割によるお支払いについてご説明している際に「実は…」と、それ以外にも消費者金融4社から合計150万円ほどの借入があることが判明。家計の収支状況から、先払い業者への返済がなくなっても消費者金融への返済が困難な状況であることが分かりました。
もっとも、Aさんは月の収入が25万円ほどありましたから、先払い現金化業者を解決して家計を見直せば、ある程度十分な返済原資が確保できそうです。消費者金融各社と交渉して36回~60回(3年~5年)の分割返済を組めれば自己破産することなく任意整理でも解決が見込めるものと考えられました。
そこで、当事務所は闇金問題だけでなく任意整理や自己破産など通常の債務整理も対応可能であることを説明したところ、消費者金融の件も併せて依頼したいとのご返答をいただきました。
幸い、Aさんは都内在住でご来所も可能ということでしたので、先払い現金化業者4件、消費者金融4件の合わせて8件の処理を受任することになりました。
先払い業者(ヤミ金)を先行処理し、後日消費者金融の任意整理(債務整理)を受任
こうして後日ご来所いただくことになったAさんでしたが、先払い現金化業者は闇金(ヤミ金)と同じですので、ご来所まで保留にするわけにはいきません。
電話とLINEで詳細を聴取したあと、当日のうちに4件すべての業者に連絡を入れて当事務所の介入を通知しました。
一部の業者からは不満の声も聞かれましたが、結果的に任意整理に先行して対応した4件全ての先払い業者とゼロ和解の合意を結ぶことができ、Aさんにもその日のうちに状況報告を行ってひとまずご安心いただくことができました。
残りは消費者金融4社の債務整理です。数日後、当事務所にご来所されたAさんから再度借入れのご状況をお聞きするとともに、返済原資の確認のため毎月の収入と支出のご状況を含め、資料をご提示いただきながら細かくお話しいただきました。
お話の途中、事前に伺っていた消費者金融4社とは別に、利用を継続しようと考えていたクレジットカード会社に30万円ほどの借入残高があるとのご申告があったのですが、これも含めて整理しないと十分な返済原資を確保できません。
毎月の支出を見直して十分な返済原資を確保していただくか、そのクレジット会社を含めて5社で任意整理をするか、最終的にはAさんの判断になるのですが、Aさんも薄々は返済が困難だと感じていたらしく、結局はそのクレジット会社も含めた5社の任意整理を依頼されることになりました。
任意整理の交渉を開始し、全ての業者と分割和解成立

Aさんがご来所された当日の夕方に任意整理5社すべてに受任通知を発送していたところ、数か月後にはすべての業者から取引履歴(債権届)の開示がなされました。
取引履歴が出そろえば、次は債権者との和解交渉です。もっとも、その時点で再度Aさんの返済原資を確認しなければなりません。ご依頼時から数か月が経過すると家計収支に変更が生じることもあるからです。
そのため、家計収支表をLINEでAさんに送信したうえでAさんにご記入をいただき、ご返信いただいたうえでお電話でさらに詳細をお聞きすることになりました。その結果、家計状況はご来所時と特段の変わりはなく、返済原資も確保できそうな感じです。
とはいえ、クレジット会社が1社増えて総債務額は200万円近くになることから、家計状況から算出した返済原資では36回の返済では若干厳しそうな気もします。Aさんのご希望はあくまでも任意整理なので分割返済を組まなければなりませんが、余裕をもって返済をしていくには弁済期間や家計収支の若干の見直しが必要になるかもしれません。
もっとも、債権者と交渉した結果、Aさんにもご納得いただいたうえで48回の範囲ですべての業者と余裕をもった返済額の分割和解を結ぶことができました。
一部の消費者金融からは「これで和解できないなら訴訟に移行します」と再三にわたって脅され(?)続け、胃が痛い日が続きましたが、結果的には返済原資の範囲で話をまとめることができたので良かったのではないかと思います。

この案件は個人の特定を防ぐため取引のご状況など実際の案件とは若干変更した箇所がありますが、返済原資にそれほど余裕がなかったため任意整理の和解交渉は比較的難渋した方だと思います。将来利息を請求したり訴訟を予告する業者も増えてきており、任意整理の交渉が今後さらに厳しくなっていくのではないかと感じさせられた案件だったと言えます。
ところで、債務整理には大きく分けて任意整理と個人再生、自己破産の3つの解決方法がありますが、その振り分けは、あくまでも一般論ですけれども、負債総額を3年で分割返済できるかが判断基準となります。裁判所が関与する特定調停では36回の分割案(3年間の分割払い)が提示されるのが基本だからです。
そのため、総債務額を36回で返済できない家計状況であれば、自己破産か個人再生も検討していただく必要が出てきます(※ただし、資産やその他のご状況によっても異なりますのであくまでも一般論です)。
たとえば収入から支出を差し引いた毎月の余剰金が3万円しかない人の場合、総債務額が100万円を超える場合には自己破産も検討していただく必要があります。100万円を36回で分割すると、毎月約2万8000円の返済が必要になるからです。
ただしもちろん、ご本人様が任意整理を希望されている場合には、毎月の支出を見直してもらったり、債権者に3年から5年(36回~60回)の分割返済案を打診して、交渉に入ることになります。
なお、当事務所では主に闇金(ヤミ金)や先払い現金化業者、後払い現金化業者など違法業者の案件を取り扱っておりますが、消費者金融やクレジット会社、後払い決裁業者など正規業者の債務整理も対応が可能です。
任意整理に限らず、自己破産など裁判所を利用する申立て手続きのご相談も承っておりますので、違法業者以外の返済でお困りの場合にもお気軽にご相談いただければと思います。