闇金がいう「弁護士に相談してもムダ」は本当か

公開日:2021/03/26更新日:2022/08/07

カテゴリー:司法書士 タグ: , , , , ,

司法書士の下東です。

闇金に対して弁護士や司法書士が介入した場合,闇金はあっさり手を引くことが思いのほか多いものです。

ところが,法律は無力というイメージがあるのか,あるいは「弁護士に相談してムダだぞ!」と凄まれるからなのか,弁護士でも解決できないだろうと思い込んでしまい,闇金問題を誰にも相談出来ないまま利息を払い続けている方が多数います。

しかし,消費者金融の金利ですら支払いが困難な状態に陥る方が多いのに,その100倍超の金利を取ることがある闇金に対していつまでも支払いを続けることはできません。いずれ行き詰まるのですから闇金問題を先送りにするのは得策とはいえません。

そこで今回は,なぜ闇金が弁護士に相談してもムダだなどと言ってくるのかや,実際にそう言われている場合どうしたらよいのかなどについて書いていきたいと思います。

この記事で述べていること

  • ●闇金から「弁護士に相談してもムダ」と言われたが実際のところはどうなのか

  • ●弁護士や司法書士に相談すれば闇金問題は解決できるのか

  • ●解決できるとしたらどのような方法で解決するのか

  • ●弁護士や司法書士の口コミの判断方法

  • ●闇金に強い弁護士や司法書士の選び方

参考記事:「闇金相談時によくある質問とその回答」も併せてご覧ください。

闇金が多用する「弁護士に相談してもムダ」というメッセージ

闇金の督促手法は様々ですが,どの業者も頻繁に使う常套句は次のようなものです。

弁護士に相談してもムダとのLINEメッセージ

闇金からのLINEメッセージ1

弁護士に相談したら徹底的に追い込むという闇金からのLINEメッセージ

闇金からのLINEメッセージ2

弁護士、司法書士入れても関係ないとの闇金からのLINEメッセージ

闇金からのLINEメッセージ3

上記のLINEメッセージは全て実際に被害者宛に送られてきたものです。

「弁護士入れてもムダ 回収やめねえよ」
「弁護士・司法書士・警察 相談したら徹底的に追い込む」
「弁護士、司法書士入れても関係ない 必ず回収する」

このようなメーセージは,闇金が定型的に送ってくる脅しメールの代表例です。

「依頼してもムダ」「徹底的に追い込む」「必ず回収する」などといわれると,弁護士に相談しても逆効果になってしまいもっとひどい取立を受けるのではないか,と心配になってしまいますね。これにより闇金のことを弁護士に相談しても意味がないと考えてしまう方が多くおられるようです。

脅しのメッセージの本当の意味は?

しかし,本当にムダだと思っているのであればそんな脅しをいちいち入れる必要はないはずです。

闇金はなぜ,ムダだといいながら執拗に弁護士や司法書士への相談を阻もうとするのでしょうか。このような闇金の脅しを鵜呑みにする必要はあるのでしょうか。

闇金から見た弁護士等はどういう存在か?

闇金に関する疑問

ここでまずは闇金の立場からみた場合の弁護士や司法書士はどういう存在なのかを考えてみます。

まず一般論ですが,「弁護士や司法書士が恐い」と考えている業者はほとんどいません。

これはある意味当然です。警察と異なり弁護士や司法書士には捜査権や逮捕権がないのですから,闇金にとっては恐れるに値する相手ではないのです。

しかし,厄介な,あるいは面倒な存在という位置付けではあるはずです。その証拠に,私達が介入した旨の連絡をすると,闇金は嫌そうな,あるいは都合が悪いことになったというようなリアクションをします。中には「この人貸したばっかりですよ。なんでこんな件受任するんですか」と露骨に嫌がる業者もいます。

闇金はなぜこのように弁護士や司法書士の介入を嫌がるのでしょうか。

弁護士や司法書士へ相談されると回収が困難になる

回収を諦める闇金業者

闇金というのは基本的にはハッタリで回収をかける商売です。例えば, 「返済しなければ一生追い込む」 とか「今から人を集めてさらいに行く」 などという脅し文句で「本当にやるかも・・」と思わせて無理にでも金を作らせるのが彼らの手口であり回収のテクニックです(実際には回収のためのコストやリスクが高くなり過ぎるのでやりません)。

ところが,闇金に詳しい弁護士や司法書士に相談に行かれてしまうと,その脅しは実はハッタリに過ぎず実際に行動は起こさないということが露見してしまいます。闇金にとって重要な武器のひとつが失われてしまうわけです。

そのほか,闇金被害の取り扱いに長けた弁護士や司法書士は,被害者にとって有益なアドバイスを行うことができます。長期間取引を行わせることにより永続的に違法な利息を吸い上げたい彼らにとってこれは大きなマイナスです。そのため,業者側としてはできる限り被害者を相談に行かせないようにしなければなりません。

そこで,回収が困難となる事態を防ぐために「弁護士や司法書士に相談してもムダだ」と言って予防線を張ろうとしているわけです。

闇金は法的手続きを嫌う

闇金業者にとっての厄介事のタネはほかにもあります。

法的手続きを駆使した「効果的な対策」が執れる弁護士や司法書士は,闇金にとっては目の上のたんこぶのようなものです。営業の妨げになりますから出来るだけ関わりたくないのです。そのため,揉め事を避けるために業者は拍子抜けするぐらいあっさりと手を引いていきます。

以下,当事務所の対応を例に「効果的な対策」の概要を説明します。

効果的な闇金対策

効果的な闇金対策

当事務所が闇金との交渉に臨む際の基本的スタンスは「揉めない」ということです。

法律論を振りかざし,最高裁判決を引用して,「元金は返済しない」「支払った金は全額返還せよ」と迫る恫喝的な交渉手法であっても良い結果が得られる場合はあります。

しかし,闇金業者と揉める=依頼者や関係者に迷惑が及ぶということですから,相手の反応を見極めずに一方的に法的権利を主張するのはあまり賢いやり方とはいえません。

それに相手方あっての和解交渉ですから,それなりの利益誘導がなければ闇金も引くに引けないでしょう。

そこで当事務所では,闇金に対してはお互いに債権債務なしとする和解案(ゼロ和解といいます)を提示しています。そして,闇金業者がこれに応じて今後取立て・請求を行わない旨の約束をした場合は,業者の使っている口座等の停止措置は執らないという取り扱いにしています。

違法業者が使う携帯や口座に対しては,携帯電話の利用停止措置や口座凍結などの手続きを執って更なる犯罪を抑止すべきとの考え方が私達の職務上は一般的です。しかし,これが揉める原因となっては依頼者の利益が損なわれます。そこで当事務所では,平和的に解決したいという依頼者の意思を最大限尊重し,闇金が今後取り立てを行わないのであれば携帯電話の利用停止措置や口座凍結を行わない(ゼロ和解)という取り扱いにしています。

こうした取り扱いによって得られるメリットは大きいです。

第1に,闇金に手を引いたほうがメリットがあると思わせることができるので和解可能性が高まります。

闇金=悪と決めつけて介入と同時に口座凍結措置を執るという方針だと,闇金からすればどのみち口座が止められるなら「債務者の追い込みを続けて少しでも回収しておこう」という発想になりがちです。それよりも,闇金側にも手を引くメリット,あるいは手を引くべき理由を与えてやるほうが依頼者の利益に適うのです。

第2に,同じ闇金に対して別件で介入した場合にも和解が容易になります。

「この事務所とは和解したほうがトクだ」と思わせることができれば和解率は飛躍的に高まるのです。実際に,開業当初と比べると闇金と和解して平和的に解決できる事案の割合は大幅に上がり,現在では9割近い和解率となっています(令和4年1月現在)。

第3に,逆恨みによる取立被害がなくなります。

口座凍結が絶妙のタイミングで決まった場合,闇金は口座残高が引き出せなくなり,場合によっては数十万円の損害を被ります。これは犯罪の資金源を断つことができたことを意味しますので肯定的にとらえることもできますが,問題はこの場合の怒りの矛先が被害者に向かってしまい取立てが激化する可能性があるということです。

これを防ぐためには,いきなり口座凍結を実施するのではなく闇金に和解のチャンスを与える必要があります。そうしておけば上記のような逆恨みによる被害も防げることから,社会正義の観点からの是非はともかくとして,依頼者が希望する平和的解決には最も適しているといえます。

和解不成立の場合でも短期間で解決可能

上記のような考え方により出来る限り話し合いによる和解を進めたとしても,やはり一定数は和解に至らないケースが出てきます。そういった和解不成立の場合は,取立てを止めさせるための対抗策を執っていくことになります。その対応策は事案に応じて多様にありますので全ては紹介できませんが,一番スタンダードな対応策をご紹介します。

まず,既に上記で挙げた口座凍結手続きがあります。当事務所では,和解不成立の場合は即日,犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払等に関する法律3条1項に基づいて口座の凍結措置を行います。度融機関とは事前に話がついているので口座凍結は速やかに行われ,これにより業者はその口座の利用や資金の引き出しができなくなります。早ければ30分も経たずに口座が凍結されるので闇金は資金を引き揚げる暇がないこともあります。

次に,必要に応じて,携帯音声通信事業者による契約者等の本人確認等及び携帯音声通信役務の不正な利用の防止に関する法律に基づき,携帯電話の利用停止措置を実施します。この利用停止措置は被害者の住所地を管轄する警察署を介して,携帯キャリアに対し停止要請を行う手続きですので口座凍結に比べて即効性はありませんが,闇金はこれを嫌がります。

(これらに加え,以下の様に当ホームページで悪質業者である旨を公表します。)

悪質業者の公表例

悪質業者情報を公開中:「闇金情報」はこちら

そうするとどうなるでしょうか。

闇金は口座や携帯電話を不正に取得するために相応のコストを支払っています。それが凍結などによって失われるとなれば新しいものを用意しなければなりません。しかし,その新しく用意した口座や携帯電話を使って取り立てを再開したとしても,またすぐに止められてしまうのでは割に合いません。そのため,これでは割りに合わないと考えて闇金は取立てを止めざるを得なくなるのです。

結局,和解に至る場合は即日解決となりますし,和解ができない場合でも,ほとんどのケースにおいて2,3日で解決への道筋がつきます。闇金は皆様が思っているような採算度外視の取立てや嫌がらせをしません。案外ビジネスライクな思考をするものなのです(もっとも,採算度外視の取立てや嫌がらせをすると思わせる努力(=ハッタリ)はしています)。割に合わないと思えば手を引きますから,こちらとしてはその状況を作り出すように動くということになります。

闇金対応に関する弁護士や司法書士の口コミ

闇金を扱う弁護士や司法書士の口コミのイメージ

これまでお読みいただいたことで弁護士や司法書士に依頼すれば闇金問題は解決可能ということは,ある程度ご理解いただけたのではないかと思います。しかし,いざ相談したいと考えてもどの事務所にすればいいのかはなかなか判断がつきにくいものです。そのような場合,ネット上の口コミや評判がある程度は参考になります。もっとも,ネットの口コミは玉石混淆です。信頼できない口コミも多数あることから注意が必要です。

悪い口コミは根拠のない誹謗中傷の場合も

ネット上の口コミというものはただでさえいい加減な情報が多いものですが,それに加えて,闇金と戦う事務所の場合は業者側から報復や嫌がらせ目的で悪い口コミを書かれることがあります。

2ch(5ch)等の掲示板,知恵袋等のQAサイト,Twitter等のSNSでは,実際に当事務所を含め実在の複数の事務所の悪い口コミが確認できます。誹謗中傷を目的とするもの,個人名を挙げて名誉を毀損するもの,依頼者を装って対応の悪さをこき下ろすもの等様々な口コミがあるようです(もっとも,事務所の対応の悪さの点については虚偽の口コミと即断して良いものか分かりませんので,真摯に受け止めて改善を心掛ける様にしています)。

しかし,その口コミは誰が書いたものなのかは容易に判別できません。実際に相談や依頼をした方が書いたのか,闇金が報復的に書いたのかは分からないのです。したがって,悪い口コミは鵜呑みにするのではなく参考程度に考えるべきです。そして,その口コミの真偽は相談や問い合わせをしてみた上で見極めるほうがよいように思います。

良い口コミも話半分に

では良い口コミはどうかというと,そちらもやはり鵜呑みにすることはおすすめできません。なぜなら,それは事務所や広告会社,アフィリエイター等が集客目的で自作自演的に書き込んだものである可能性があるからです。例えば良い口コミばかりを並べ立てた特定の事務所の紹介サイトは,広告目的のステマサイトである可能性が高いので話半分に考えたほうがよいでしょう。また,過度に評判の良い事務所であることや口コミNo1などと根拠不明な事実がアピールされている場合には疑ってかかるべきでしょう。

闇金に強い弁護士・司法書士の選び方

闇金に強い弁護士・司法書士の選び方

ネット上の口コミを参考にする方法以外だと,どのようにして闇金に強い事務所を探せばよいでしょうか。闇金に強い弁護士・司法書士の見分け方について私見を述べておきます。

Web上では「闇金が恐れる弁護士」「闇金に強い司法書士」という抽象的なキャッチフレーズを目にします。しかし,本当に闇金が恐れているのかどうかは分かりづらいですし,「闇金に強い」というのも正直なところ言った者勝ちのような気がします。また,「解決実績10万件」「必ず即日取立ストップします」というようなやや誇大的な広告文がありますが,解決実績についての裏付けは外部からは簡単には分からない以上,その広告文言を鵜呑みにしないほうが無難でしょう。そこで,事務所選びを失敗しないためにも,ごまかしのきかない次のような客観的情報を参考にすることを勧めます。

事務所開設から何年目か

事務所開設から何年目かは「闇金に強い」といえるかどうかの一応の判断材料になります。そして,開設から日が浅い場合は注意した方がよいでしょう。

弁護士会や司法書士会でも多重債務被害救済の一環として闇金問題に関する講習をやることがありますが,講習を受けただけの経験が浅い弁護士や司法書士に依頼するよりは,ある程度経験を積んだ人に依頼したほうが安心できるはずです。事務所を開設して何年目かは,HP上に書いてあることもあれば,司法書士や弁護士の登録番号から推測できることもあります。気になる方は相談する前に調べてみるといいでしょう。

ちなみに,当事務所は2013年から闇金を専門に扱う司法書士事務所として東京都で開業し,今年で10年目です。闇金問題に特化していますし,闇金絡みの取扱件数は累計1万件以上ですからかなり多いほうと自負していますが業歴としては長いほうではありません。もっとも,私個人としては当事務所の開業前から別事務所で闇金対策に携わっていたので,闇金実務の経験年数は15年になります。

情報を豊富に持っているか

闇金との戦いは情報戦という側面が強いです。相手方業者の情報を多く持っているほうが交渉を有利に進められる傾向にあります。例えば,その業者の手口の詳細や,事務所所在地,電話番号,口座情報等を持っていたり,過去の交渉歴や和解実績があればそれだけ有利に和解ができます。したがって,闇金に関する情報を随時収集・更新している弁護士・司法書士は「闇金に強い」と推認でき,依頼先として望ましいといえます。

それを確認する方法としては,「闇金情報のページ」のようなweb上の公開情報を閲覧することや,相談時に闇金に関する質問をしてみることが考えられます。例えば,有名な闇金業者について実名で質問してみたり,給料ファクタリング後払い現金化といった比較的新しい手口について質問してみれば,闇金の情報を随時更新しているかについて概ね判断がつくかと思います。

元金和解を勧めてこないか

これは法律家として最低限のモラルを持っているか,言い換えれば,闇金とグルになっているような(あるいはそれと同視できるような)悪質な弁護士・司法書士ではないかということを確認するために必ず押さえていただきたい点です。

元金和解と称して違法業者である闇金にお金を払わせるような解決方法をとっているならば,闇金に強いかどうか以前の問題です。悪質な事務所であることが明らかですから依頼すべきではありません。

闇金が被害者に交付する金銭は暴利を得るための手段に過ぎず,不法原因給付(民法708条)に該当するため返済する必要がないものです。にもかかわらず,闇金への返済を勧めるという行為は悪質と言わざるを得ません。

残念ながらこういった弁護士や司法書士は多数います。「元金和解」と称して返済を勧められた場合は本当にそれでよいのかよく考えてください。一見,平和的な解決のために提案してくれているかのように思えますが,住所も本名も不詳な相手と「和解」したところでその和解内容が守られる保証は全くありません(もし,保証できると言うのならそれは闇金と裏で繋がっていることの証左となるでしょう)。その場限りではお金を支払うことで収まったとしても後に業者が和解を反故にして取立てを再開させることが十分考えられます。実際にそういったことは起こっており,当事務所には和解後のトラブルについての相談が毎月何件も入ってきています。

このようなトラブル含みの和解を勧めるような無責任な事務所は止めておくことが賢明です。相談時には相手方にお金を払う場合があるのかどうかを必ず質問すべきです。

しかしこのように説明しても「依頼者が希望するなら元金和解も正しいのだ」と主張する残念な事務所もあるので,別の観点からも元金和解がダメな理由を説明しておきます。

元金和解を事務所の方針とすると,そのうち闇金と持ちつ持たれつといった関係になっていきます。闇金からすれば,「あの先生は依頼者に支払いさせてくれるいい先生だ」となるわけです。そうなると,次第に,お互い便宜を図り合う関係になっていきます。一例を挙げると,「この人の件は手を引くから,別件のあの人の件ではもうちょっと上乗せして支払わせてよ。収入ある人だから払えるでしょ」というようなやり取りにより,ある依頼者の利益になる代わりに別の依頼者が不利益を受けるということが行われます。そんなことが本当にあり得るのかと思うかもしれませんが,私は闇金から雑談の中でその手の話を何度も聞いていますし,元金和解をしたけど払えないという相談を受けた際に,その元金の額が不自然なケースも見ることがあります。

そのほか,本来,払わなくてもよいような事案であるにも拘わらず,事務所の方針と闇金に対する忖度により元金和解に誘導するということも起こります。しかし,弁護士も司法書士も品位が求められる職業です。闇金と一緒になって被害者から金銭を搾取するような行為が許されるわけはありません。

以上から,いかに元金和解肯定派が強弁したところで被害者にお金を払わせるような行為は推奨できません。違法行為であり,懲戒事由になるという言い方もできると思います。

専門性はあるか

HP上に闇金被害を扱っている旨の記載がある場合でも,それは広範に扱う業務の一部としてに過ぎず,実際はそれほど闇金に詳しくないというケースがあります。これは闇金に限ったことではないですが,ある分野について専門家に依頼する場合には,年に数件しかその分野を扱わない事務所よりはある程度専門性の高い事務所を選択した方が満足のいく結果が得られやすいのではないでしょうか。

また,闇金にも多様な手口がありますから,ウチはこの手口が得意,という事務所もあるのかもしれません。当事務所では,闇金被害なら給料ファクタリング・つけ払い後払い被害,実績融資,完済ブロック,押貸し,カラ貸し,整理屋被害,個人間融資,ソフト闇金等々なんでも扱っていますが,最近は特に後払い現金化による被害の取り扱いが多くなっています。後払い現金化については業者によって手口が微妙に異なるため,これらの手口を扱うにはある程度専門性が求められるといえます。

後払い・先払い業者とのトラブル解決方法

2022年7月現在,後払い現金化や先払い買取という手口を使う業者(以下,「後払い・先払い業者」といいます。)との取引によるトラブルが多数しています。

これらの手口は登場してからまだ2年程度なのですが,手軽に利用できるサービスであるためか市場を急速に拡大させ,多数の被害者を生み出しています。

取引の内容は大きく分けて2パターンです。

1つめは,売買契約により利用者に商品を後払いで売る一方で,利用者にレビューや口コミを書かせ,報酬と称して即日現金を振り込むものです。商品は,情報商材や画像などで通常はほとんど価値がないものが使われます。

もう1つは,物を利用者に売らせ,後日その物の送付に代えて金銭を支払わせるパターンです(最近ではこの取引を「先払い買取」と呼び,後払い現金化とは区別される傾向にあります)。このパターンの取引では,売買の対象となる物は利用者が所有していなくても良いという前提で行われており,物の確認は画像のみで行われます(業者は実際に所有する物を売るのでなければ詐欺にあたると主張しますが,業者とのやり取りの録音やLINEのトークを確認すると,所有していなくても売ることを推奨していたり,推奨まではしていなくても敢えて黙認している様子が窺えます。)。そして,所有していない前提で行われていますから,商品を送るのではなく現金で支払う方向に誘導されます。

これらの取引による利用者側のメリットは,すぐに現金が得られ,代金は給料日払いでいいので貸金のように利用できるということにあります。それならはじめから貸金業者を利用すればよいのであって一見メリットになり得ないようにも思われますね。しかし,後払い・先払い業者の利用時には,貸金業者に借りる場合と異なり,信用情報機関の照会が行われないというメリットがあるのです。そのため,いわゆるブラックの方や,借入限度額の目一杯まで既に借りてしまっている方でも利用でき,そういった方に重宝されています。

一方,業者側のメリットは,出資法等の金利の規制を免れることで高い収益を得られることです。結局業者側が後払い現金化商法を行う動機は,2020年に流行った給料ファクタリングと同じであるということです。

後払い・先払い業者は闇金

後払い・先払い業者との契約は,形式的にみれば売買契約(報酬の授受に関しては請負契約等)ですが,その契約内容全体や当事者の意思を合理的に解釈すれば,その実質は貸金であるといえます。そのため,貸金業登録を受けていない場合(無登録営業,貸金業法47条2号,同法11条1項)や,高金利(高手数料)を取っている場合(高金利の処罰,出資法5条各項)は全て闇金です。
現在当事務所では100社超の後払い・先払い業者の存在を把握していますが,その全ての業者が貸金業の登録を受けず,高金利を取って営業しています。したがって,これらの業者は全て闇金です。

中には「弁護士の監修を受けているから当社のスキームは適法」と謳う業者も存在しますが,弁護士の監修を受けていたとしても違法なものは違法です。多数の逮捕者を出した給料ファクタリング業者においても弁護士の監修を受けていると称する業者は数多く存在しましたが,そうした業者もきっちり逮捕されています(有名どころで例を挙げれば業者最大手と自称していた「七福神」がそうです。)。

後払い・先払い業者被害は解決が比較的容易

後払い・先払い業者の多くは,給料ファクタリングが違法とされ社会問題化したことにより,新たに消費者から搾取することができるスキームを求めて移行してきた業者です。したがって,これらの業者のコンプライアンス意識は低いことが多く,トラブルも多くなっています。実際,後払い現金化や先払い買取による被害相談は毎日のように入ってきます。トラブルの内容は,「返済しないなら職場に電話を入れると凄まれている」「緊急連絡先に電話して払ってもらうと言われた」「返済意思がないのなら詐欺罪で刑事告訴すると言われた」というものが多くみられ,これでは取立手法も闇金と同じではないかと思わせられます。また,「弁護士や司法書士に依頼しても払うものは払ってもらうのだから依頼してもムダ」と言われたというケースもあり,これも闇金と共通です。

もっとも,闇金との決定的な相違点もあります。それは,後払い・先払い業者は司法書士・弁護士の介入後はほとんど取立てをしないということです。

後払い・先払い業者の手口は,前述の給料ファクタリングと本質的な部分はほとんど変らないため,警察が動いた場合は逮捕・摘発されるリスクが高いといえます。
そのため,後払い・先払い業者,司法書士や弁護士が介入してきた案件ではあまり揉めたくないのです。そのため,後払い・先払い業者は,私達が介入した後の取立てはほぼしないといってよいです。開き直って違法営業をしている闇金とはこういうところが違います。

後払い・先払い業者に関する情報については「後払い・先払い買取現金化業者一覧」をご覧ください。

まとめ-闇金のことで困ったら弁護士・司法書士に相談すべき-

まとめます。

闇金がいう「弁護士や司法書士に相談してもムダだぞ」という脅しを真に受ける必要はありません。また,依頼したからといって過度な報復があるわけでもありません。弁護士や司法書士に依頼されると闇金にとっては大きなデメリットとなるのでそれを阻止するために言っているに過ぎません。そして,適切な対応により闇金が手を引く理由を作ってやればどのような闇金問題も案外あっさりと解決できるものです。

最近は相談無料,そして着手金(初期費用)無料という事務所も増えています。また,費用が安く抑えられている事務所も見かけますし,場合によっては法テラスの利用も可能です。ネット上の口コミを参考にしてみるのもよいでしょう(もっとも,ステマのような信頼性の乏しいものや,業者による誹謗中傷のような口コミもあるので注意が必要です)。

「闇金問題を解決する」という意思決定さえできれば,その後のハードルはそんなに高いものではありません。我々には法律上守秘義務が課されていますし,匿名での相談も可能ですから相談内容が漏れる心配もありません。闇金のことでお悩みの場合は,まずは無料相談を利用して電話やメールをするという一歩を踏み出してみましょう。

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※本記事は2017年1月に執筆した記事を2022年7月現在の闇金手口に合わせて加筆・修正したものです。 
  1. 5
    さくらい says:

    どうしようもなくなり、開き直って相手を怒らせてしまいました。24時間嫌がらせをする、て言われました

    どうしようもないですよね?

  2. 4
    西 says:

    法定外利息であれば、返す事はないのですが。

  3. 3
    says:

    現在 他の司法書士事務所様に相談しておりますがエスカレートするのみです。
    全く取り立てや嫌がらせを辞めない業者がおります。

  4. 2
    s-syoshi says:

    ヒロ様
    しもひがし法務司法書士事務所です。コメントいただきありがとうございました。誠に恐れながらコメント欄では個別のご相談を受けかねますのでご相談希望の場合はフリーダイヤルかお問い合わせフォームをご利用ください。

  5. 1
    ヒロ says:

    実は相談をしたいと思ってコメントさせていただきました、完全に約束をしたお金が勝手に振り込まれていて翌日に連絡したら貸して欲しいと言うから振り込んだと言われてしまい来週の16日に取り敢えず振り込まれた金額+利息分を一括返済しようと思っていますが翌日に連絡が取れないで振込先を教えてもらえないかと不安でいます。

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