フリマサイトを装って闇金を営んだとして、2023年10月24日に神奈川県警などが男女6人を逮捕したことが報道されました。
報道されている記事を要約すると以下のとおりの内容です。
―逮捕記事の概要―
●2023年10月24日、フリーマーケットサイトを装ってヤミ金業を営んだとして、神奈川県警生活経済課と厚木署、相模原南署は、出資法違反などの疑いで東京都町田市の会社役員大木美仁容疑者(43)ら男女6人を再逮捕した（同人らは今月4日にも貸金業法違反容疑でも逮捕されていた）。
●再逮捕容疑は、2020年9月頃～23年4月頃までの間、102回にわたり川崎市中原区の男性会社員(48)ら男女7名から法定の3.3～20倍に当たる利息計138万4140円を受け取ったなどの容疑。
●フリマサイトで金券を購入したと見せかけ、出品者を装った顧客側に送金して高金利で貸し付けるヤミ金融を営んだとされる。県警は容疑者らが同様の手法で、全国の約3500人に約3億5600万円を貸し付け、約1億4千万円の利益を得たとみて、捜査を進めるとのこと。
・カナロコby 神奈川新聞 2023/10/25 0:17配信(https://www.kanaloco.jp/news/social/case/article-1029715.html)
・日刊スポーツウェブサイト 2023/10/24 21:04配信(https://www.nikkansports.com/general/news/202310240001286.html)
より要約・抜粋。
この闇金の手口の概要
記事の概要にある、フリマサイトで金券を購入したと見せかけ、出品者を装った顧客側に送金して高金利で貸し付ける、という手口について少し補足して説明すると次のようなものです。
業者の運営するサイト内で顧客にギフト券などを出品させ、業者がそれを買い取ることで業者から顧客にその代金を支払うことになりますが、これがお金の貸付けで言うところの元本になります。
後日ギフト券等を自分で購入して調達し、業者にレターパックなどで郵送することで借金の返済（完済）とする、というものです。
すなわち、借り受けた元本を、金券の購入代金で返済するという取引になるわけです。しかも、買い取ってもらう代金は、金券の額面より何割も低い金額になりますが、その差額分が利息ということになるわけです。
いわゆる後払い現金化などと言われる、売買を装った金銭の貸付けを行う闇金業者です。業者は、貸金業ではないなどと言い張ることで、貸金業登録をせずに営業したり、貸金における利息の制限を免れる目的でこのような取引形式を装っているのです。
ギフリーはそもそもどんな業者？
今回逮捕された業者は「ギフリー」という屋号で営業していた業者とみられ、当事務所でも非常に多数の対応実績のある業者でした。
ちなみにギフリーがこの手口で営業を始める前には、闇金の手口の一つである給料ファクタリングと呼ばれる取引で違法な高金利融資を行っていたこともあります。
その当時は、返済をしない顧客や当事務所などの司法書士を介入させて支払いを拒絶した顧客に対しても、業者側が弁護士を立てて対抗してくるという例もありました。
しかし、少なくとも当事務所で対応した事案では特に裁判所を通した法的手続きを執ってきたりすることはありませんでした。
そして、そのうちに給料ファクタリング業者が闇金として次々に摘発されるという情勢になってきた後、2020年夏頃より現在の手口に切り替えたという経緯がありました。
後払い・先払い買取現金化をうたう闇金にはご注意ください
現在でも、いわゆる後払い現金化や先払い買取現金化、経費ファクタリングなどといった取引で、モノの売買を装ったお金の貸付けを行う闇金業者が数多く存在します。
高金利の利息が搾り取られるのみでなく、取立てのやり方も闇金そのものであったりするなど、かなり大変な目に遭ってしまうケースが非常に多いです。
多くの業者は「借金ではないから安心」などとうたい、金融ブラックなどで正規業者から借りることができない方々を狙って活発に集客しています。
闇金ではないと思って申し込んでしまったりすると酷い目に遭うことになってしまいますので、このような業者を利用してしまわないよう細心の注意を払わなければなりません。
なお、こういった業者は、一見違法業者と分からないようなホームページを設けて営業していますので見分けるのは難しいかもしれません。
怪しいと思ったら当ＨＰの後払い・先払い買取現金化業者一覧を参照するか、検索フォームから検索してみてください。また、もし該当するものが見つからない場合は、当事務所などの司法書士や弁護士、消費者センターなどの専門機関に相談しましょう。
闇金などの犯罪組織は次々に新たな手口を考案して一般消費者から巧妙に多額の利益を搾り取ろうとしてきます。安心、安全などの耳触りの良い広告には特に注意し、金銭的に切迫している状況であったとしても一度冷静に考え、必要に応じて専門家に相談するなど、慎重な判断をしていただければと思います。
