歴史でみる高利貸し・闇金の背景

公開日:2018/08/12更新日:2018/08/12

カテゴリー:相談員 タグ:

高利貸と当時の人々との風景をイメージ

相談員の石川です。
今回は一般的な消費者金融・質屋・違法な闇金やシステム金融等の,個人や企業などを対象に高い利息を設定することを条件として金を貸す業者を高利貸しと呼ぶことにして,その歴史を見ていきたいと思います。

高利貸しのはじめ 【平安時代】

高利貸しの歴史は古く,平安時代には月借銭(げっしゃくせん)といって中央官司が官人に対して貸し付けを行っていたそうです。国が官僚に対して金を貸していたということですね。

貸し付けが月単位であることからこのような呼び名なのでしょう。利息は13~15%だったとのことです。

質屋は700年前から存在する?! 【鎌倉時代・室町時代】

鎌倉時代・室町時代には借上(かしあげ)という高利貸しが存在していました。

借上はやがて,質草を担保としてその質草に相当する金額の金銭を高利で貸付する土倉(どそう・とくら・つちくら)と呼ばれる金融業者に移行していきました。
質草を預かる倉を持つことから土倉と呼ばれているのですね。

同じころ,土倉と並んで金融業を営んでいたのが酒屋(さかや)です。当時は酒の需要が高まったため、生産が間に合わないほどでした。

その名のとおり,もとは酒を製造・販売する業者でしたが,酒屋は大きな資本力をもつようになります。それを元手に金融業を始めたのです。

個人を相手にする貸金 【江戸時代】

江戸時代には,今日借りて明日返す「烏金(からすがね)」,朝に百文借りて夕方までに百一文にして返す「百一文」などの条件で貸し付けをする高利貸しがいました。言うまでもなく高金利です。

野菜や鮮魚などを売り歩く棒手売はその日の売上を翌日の仕入れに回すのですが,何日か雨が続いたりして売上が少ないと翌日の仕入れの金がなく商売を続けることができないため,こうした業者から金を借りていたようです。

私は池波正太郎先生の「剣客商売」が好きで何度も繰り返し読んでしまうのですが,この中に高利貸しの話がたまに出てきます。

 

秋山小兵衛が,息子・大治郎が修行で諸国をめぐる間,その仕送りなどで手持ちの金が少なくなり,ある御家人から大刀二振りを担保に三十両を借ります。
刀一振りでも三十両の担保には十分なところを入り用だったのであえてその条件で借りるのですが,その後返済が伸びて高利に苦しんだと話すところがあります。
刀を質草に取っているので質屋かと思ってしまいますが,武士は当時副業を禁じられていましたので,これは許可なく貸金業を行う闇金です。
物語の中で作者は小兵衛に「いまに商人たちの時代がくる」と言わせていますが,そのとおり江戸時代は商人が豊かになっていく一方で,武士の生活は困窮の一途をたどり,大多数の庶民の暮らしも楽ではありませんでした。

質屋は親しみやすい金融業者

生活に困った江戸庶民たちが頼りにしたのが質屋です。当時の質屋には伊勢出身者が多く,伊勢屋を名乗る店が多かったとか。

「江戸名物,伊勢屋,稲荷に犬の糞」なんてはやり言葉があったくらいで,300人に1人は質屋だったとされています。質屋は多く,庶民の生活に根付いていたんですね。

質屋には葵の紋が入ったものは質入れできないなどいろいろと面白い決まりがありました。

質屋の質流れになるまでの法定期間は3カ月から8ヶ月で,預かり期間の利子は,享保の頃は1両で1ヶ月につき銀1匁6分,100文につき3文が相場だったとのことです。

また,衣類はこの時代の庶民の大切な財産でしたから質屋も高値をつけてくれました。生活に困った旗本は衣装を入れる長持に紙くずを入れて質屋に持ち込んだといいます。
質流れになれば家名に傷がつくというので質屋は信用で金を貸したそうですよ。

ほかにも,駕籠かきにはふんどし1本で1分(1両の1/4)を貸したとか,職人は月代(さかやき)を質にすることができたそうです。
質を受け出すまでずっと同じ下着をつけなきゃいけないとか髪形を整えられないのは,冬でもかなり辛いのではないかなあと思います。

江戸時代にいた高利貸しをイメージ

剣客商売や鬼平犯科帳によると,江戸時代には一家4人が1年暮らすのに10両あれば十分であったといいますが,それでも博打・酒・女遊びなどで何百両もの借金を作ってしまう話がよく出てきます。
高利で借りた金を賭博で失くしてしまうというのは,現代にも通じるものがありますね。

言うまでもないことですが,ギャンブルのために借金をするのはやめてください。 返す当てがないも同然です。
行きつく先は闇金からの借入しかありません。

歴史が変われど絶えない闇金

時代も国も全然違いますが,禁酒法時代のアル・カポネも酒の密売で大金を稼ぎました。
禁酒法は酒を公に製造・販売・輸送してはならんという法律ですが,これで酒を嗜む人が減ったかというとそんなことはなく皆こっそりと飲むようになっただけでした。

そればかりか,マフィアが酒の製造・販売に手を出すようになり彼らの大きな収入源となっていきます。
・・・これって,総量規制で借りられなくなった人に闇金が近づいていった流れと似ているように私は感じてしまいます。

過去の歴史をみて分かる通り,「お金」がある限り貸金業者が絶える事はないでしょう。そして,闇金のように違法で金を貸す悪人が根絶することは現実問題難しいでしょう。

インターネットが普及した今,昔に比べ個人でも簡単にお金が借りれる時代です。闇金も時代と共に手口を変え貴方を餌食にしようとします。
ただし時代は変われど人間の根本は変わりません。強い意思と冷静な判断力を持って苦しくても闇金からは絶対に借りないようにしてください。

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