相談員の石川です。
みなさんは,自分の目が確かであると自信を持っていますか?
私は自分の目をあまり信用していません。
他人と比べて広く世界を見て回ったわけでもないし,マジックを見て種がわかったこともありませんから…。
でも,それはそれで悪いことばかりでもないと思っています。
旅先の風景には新鮮な感動を覚えるし,同じマジックを何度見ても楽しめますからね!
さて,嘘は大掛かりな方がバレにくいとか,馬鹿馬鹿しいほど単純なトリックに人は騙されやすいという話を聞いたことがあります。
最近被害が増えてきているブラックマネー詐欺と呼ばれる手口があるのを知っていますか。
特殊な薬品を使い高額紙幣を黒い紙に変えて外国から大金を持ち込んだという触れ込みで,黒い紙幣(ブラックマネー)を元に戻すための薬品を買う金が要る等と騙す手口です。
聞くだに荒唐無稽な話ですが実際に詐欺被害にあう方がいるのは,目の前で黒い紙が紙幣になるのを実演で見せられるからでしょう。
手品と思ってみれば「わぁすごい」と拍手喝采で幕を閉じるのですが,詐欺は信用させてからが本番です。
「薬品を用意するのに金が必要。貸してくれれば,あとで金も返すし,報酬も渡す」と良いことづくめの取引を持ちかけられ,確かに黒い紙が紙幣に戻ったのを見ているので,言われるままにお金を渡し,詐欺被害にあってしまうのです。
「ありえないことを取り除くと、残ったものがどんなにありそうもないことでも、それが真実である」と自信を持って言えるのは,凡人にはない深い洞察力を持つシャーロック・ホームズのような人だけです。
私たちのような一般人は自分の眼識を疑い,「目に見えるものが真実とは限らない」ということをよく覚えておいた方がいいと思います。
ブラックマネー詐欺は,知り合いの紹介で話が持ち込まれて被害にあうことが多いそうです。
普段はそれなりに警戒心を持っている人でも,自分の知り合いからの紹介となると途端にガードが甘くなることがあります。
しかし「友達の友達はみな友達」ではなく,あなたにとってはあくまでも他人であることをどうぞお忘れなく。