今回は最近相談の多い風俗店勤務の女性を貸付けの対象とする闇金の話です。
風俗金融とは何か
当事務所において闇金の相談を受ける際には,相談者の方が闇金と申告したことからそのように判断するわけではなく,次の点に該当するか否かで判断しています。
- 貸金業法第11条第1項違反(無登録営業)
- 出資法第5条第1項違反(109.5%超の高金利の契約,受領,要求)
- 出資法第5条第2項違反(業として20%超の高金利の契約,受領,要求)
- 出資法第5条第3項違反(業として109.5%超の高金利の契約,受領,要求)
上記のほかにも貸金業者としての違法行為はあるのですが,それらも含めると闇金か否かの判別が困難になるので当事務所では上記にあたるかどうかで判断しています。
通常はいずれかに必ず該当するので,闇金として事件を受任するのですが,実態は闇金であろうと思われる相手方が上記のいずれにも該当せず(証拠となるものがなにもないなど)困ってしまうことがあります。
その典型例が風俗嬢を客とする闇金です(
風俗金融と呼んでいます)。
風俗嬢はやはりお金に困ってやることや,浪費癖があることが多いですし,風俗店勤務ではまともな金融は貸さないことがほとんどですから,ヤミ金が目を付けるのは当然なのでしょう。
風俗金融の営業手法
風俗金融業者は,自らは広告をしないことが多いです。
予め店舗関係者や風俗嬢が良く出入りするホストクラブ等に根回しをしておき,金に困っている風俗嬢の紹介を受けられるようにしておき,客を集めるのです。
または,遊びがてら風俗店に出入りして,これと目をつけた風俗嬢に対し,「お金に困っているのなら俺で良かったら貸してあげるよ」と持ちかけることもあるようです。
融資する際には,契約書の作成は全くしないか,または利息を含めた金額を貸付金として無利息での取引に見せかけた契約書のみ作成し,高金利の契約であることは分からないようにします。
そして,貸付けと返済金の受領は原則現金の手渡しで行うのです。
風俗金融による闇金被害の解決方法
上記を徹底してやられてしまうと,無登録営業や高金利の受領等が客観的に明らかにならず,解決に時間がかかることがあります。
無登録営業に対しては個人融資ですよと反論され,金利については全くもらっていないと主張されてしまうわけです。
こうなってしまうと,場合によっては風俗店の関係者やホストクラブ関係者への聞き込みを行ったり,調査会社を使って相手方の素性を割り出しする等の手配を行う必要があり,非常に手間がかかることがあるのです。
もっとも,完全解決までは時間がかかりますが,だからといって専門家に依頼するメリットがないわけではありません。
この風俗金融を含め,「合法を装う手口のヤミ金」は弁護士・司法書士の介入後は強引な取り立てはやらないからです。
ですから,こうした被害に遭われているのであれば一刻も早く,然るべき機関に相談なさるべきでしょう。