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給料ファクタリング被害にご注意

公開日:2019/03/15更新日:2019/03/15

カテゴリー:司法書士 タグ: ,

司法書士の下東です。

給料ファクタリングなる手口が横行しています。
昨年から今年にかけて被害例が急増しており,対策の必要性を感じています。
そこで今回は,注意喚起のために給料ファクタリング会社の手口等についてご紹介します。

ファクタリングとは

まず,ファクタリングとは何かについて触れておきます。

ファクタリングとは,中小企業などから売掛債権を買い取り,自己の危険負担で代金の回収を行う金融手法です。自己の危険負担とは,回収不能の場合のリスクは自分で負うという意味です。つまり,買い取った債権が回収不能になったとしても,ファクタリング会社は債権の売主に対して請求できません。

ファクタリングは,主に中小企業の資金調達の手段をして広く利用されています。
しかし,その一方で,ファクタリングを偽装して実質的には貸金業務を行う違法業者が多数存在しています。ファクタリングは,ヤミ金業者の隠れ蓑として機能しているという側面があるのです。

ファクタリング会社の検挙事例

実際に,ファクタリングを装うヤミ金業者が検挙された事例もあります。
以下に一例を挙げておきます。

ファクタリングを装ったヤミ金融業者等による出資法違反等事件
無登録貸金業者(32)らは、平成27 年8月から28 年11 月までの間、インターネット広告や名簿業者から購入した名簿を基に電話やファックスで勧誘する方法で顧客を募り、「ファクタリング」と称して顧客が保有する売掛債権の売買契約を装い、中小企業約660 社に対し、実質は、同債権を担保として法定利息の約4.2 倍から約48.9 倍で金銭を貸し付け、元利金約14 億6,000 万円を受領した。
29 年8月までに、5法人22 人を出資法違反(超高金利)等で検挙した(大阪)。
(警察庁生活安全局生活経済対策管理官作成平成2 9 年における生活経済事犯の検挙状況等についてから抜粋)

※大阪府でも,公式サイト上で偽装ファクタリングについて注意喚起を行っています。
http://www.pref.osaka.lg.jp/kashikin/kashikin_riyousha/gisou_factoring.html

いくら事前説明や契約書でファクタリングを謳っていたとしても,契約の法的性質はその実質をみて判断されます。売掛債権を担保としたり,利息の支払義務が生じるような契約は最早ファクタリングとはいえず,実質的には金銭消費貸借契約と評価されることになります。

給料ファクタリングの手口

給料ファクタリングとは,給料債権を売買の対象とするファクタリングとされています。
しかし,実態は,上記検挙事例における売買対象が売掛債権から給料債権に変わったに過ぎません。
給料を売買というと全く新しい資金調達の方法かのようにも思えますが,給料ファクタリングの実態は闇金と変わりません。
給料債権の売買を装って,出資法や貸金業法を潜脱しようとする違法な手口であるといえます。
昨年ころから出始めてきた手口ですが,現在被害者が急増しており,警戒が必要です。

給料ファクタリング会社の集客手法

違法な手口に騙されることのないように集客手法についても少し紹介しておきます。

給料ファクタリング会社は主にweb上で集客をしています。
その手法は,業者の運営するwebサイトに直接呼び込むものもあれば,紹介サイト(アフィリエイトサイト)で優良業者として紹介することで集客していることもあります。

そこでは,

  • 即日融資に代わる資金調達
  • 審査が甘い
  • 勤務先に知られずに利用できる

等と調子の良いことが書いてあります。

確かに,即日手元に現金がくるのでしょうし,審査は無いに等しいくらい緩いでしょう。
しかし,勤務先に知られずに利用できるかは大いに疑問があります。なぜなら,当事務所には,「給料ファクタリング会社から勤務先に取り立ての電話が入っている」という相談が多数入ってきているからです。
中には口コミ形式で利用して良かった等と書きこまれている例もあります。しかし,そのような口コミは自作自演やアフィリエイト業者が広告料欲しさに捏造したものである可能性が否めません。
紹介サイトや口コミを信じて申し込みをするのは自重すべきでしょう。

給料ファクタリングの金利

次に,給料ファクタリングの金利について明らかにしたいと思います。
給料ファクタリング会社は債権の買い取りが建前ですから,金利は取っていないと主張してきます。しかし,前述のとおりこの手口は金銭消費貸借契約とみることができますから,ここでは給料の額と買取金額の差額を金利とみて年利率を算出してみます。

給料ファクタリング会社が利用している契約書が手元にあるのでこれを元に計算します。

給料ファクタリング会社の契約書

給料債権の譲渡代金として利用者が受け取る金額は95000円とされています。これが元金となります。

譲渡の対象となる給料債権の額は150,000円とされています。この金額と上記元金との差額が金利となりますので金利は55,000円となります。

返済期日は給料日に合わせられるので契約日がいつかによって変動しますが,ここでは30日として計算します。

元金95000円に対して,30日で55000円の金利を取る契約です。

年利を算出すると,

55000 ÷ 30 × 365 ÷ 95000 × 100 = 704.39%

となります。

消費者金融の場合は高くても年利20%であるのに対して,給料ファクタリング会社は年利704%です。
消費者金融の35倍超の金利ということになります。
消費者金融の金利でさえ返済に苦しむ多くの方がいるのに,その35倍超の金利を取る給料ファクタリング会社は極めて悪質と言わざるを得ません。
仮に,給料ファクタリング会社が主張するように,給料債権の買取りに過ぎないといえるとしても,年利704%の金利に匹敵する手数料を取る会社がまともな会社といえるでしょうか。
賢明な方であれば関わるべき会社でないことはすぐにお分かりいただけるでしょう。
(また,別記事で詳しく紹介する予定ですが,給料は労働基準法により直接払いの原則が定められていることから,給料を買い取って勤務先に請求するようなビジネスは成立し得ないと考えられます。)

給料ファクタリングを利用してしまったら

既に給料ファクタリングを利用してしまっている場合,すぐに縁を切るための対策が必要です。
多くの被害者は,一度きりではなく何ヶ月も継続して利用することによって,債務状態が悪化して生活に困窮するようになっています。

給料という生活のために必要不可欠なものを押さえられてしまっては生活の再建は望めません。また,給料ファクタリング会社のような違法業者と関わっていることが会社に知られれば,会社に居づらくなったり,昇進に影響したりするということもあり得ます。

給料ファクタリング会社を利用してしまっている方は,すぐにお近くの法律相談等を活用し,付き合いを断つ道を模索すべきです。

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