初めての闇金への申込み
既婚者である和歌山県在住のWさんは、毎月3万円のお小遣い制で日々をやりくりしていました。Wさんはヘビースモーカーであるため、1日に1箱近いタバコを吸いますが、お金がかかる趣味はなく、倹約家でもあったため月3万円でやりくりはできていました。
ある月、Wさんはたまたま久しぶりの友人に誘われて飲み代に多く使い、次の小遣いをもらうまでのタバコ代が足りなくなってしまいました。
しかし、習慣のように吸っているタバコを我慢することは難しく、なんとかならないかと考えたそうです。奥様には健康の為にタバコを控えるよう言われていたため、追加でお小遣いを貰う事も憚られました。
そのようなとき、Wさんは、Xで「すぐにお金貸します!面倒な手続きは不要!」とのポスト(ツイート)をしているアカウントを発見しました。
最初は怪しいと思ったそうですが、ネットで色々と調べてみると、金利は高くてもちゃんと返せば問題ないようにみえたため、すぐに返すんだから問題ないと考えて、WさんはそのアカウントにDMを送ったそうです。
シグナルに誘導され
XのDMで2万円の融資を申し込んだところ、相手から「アカウントが停止になるかもしれないのでやり取りはシグナルで行う」と説明され、シグナルのインストールを案内されました。
シグナルのやり取りで簡単な審査が行われた後、1週間後に3万円を返済するという約束で2万円が振り込まれました。
正直なところ3万円の小遣いの中から1万円の利息を払うのはきつかったそうですが、給料日前の急な金策に使え、また、即日融資を受けられるという手軽さがあったため、それからは2か月に1回程度利用するようになったそうです。
このように特に問題なく利用できており、相手のシグナル闇金とも良好な関係を築けていると思っていたそうですが、あるときどうしても返済金の都合がつかずに数日待って欲しいと伝えたところ、相手の態度が豹変しました。
恫喝的口調で脅されて話し合いに全くならず、自宅にも連絡されて奥様に闇金を使っている事がバレてしまいました。
他事務所では断られたが…
当然のことながら奥様から厳しくお叱りがありました。
その後夫婦で話し合った結果、弁護士等の専門家に依頼しようという話になったそうです。
しかし、地元の弁護士や司法書士を中心にいくつかの事務所をあたってみたところ、シグナルでは連絡の取りようがないので引き受けられないと断られてしまったそうです。
その後、当事務所にご相談いただきお話を伺ったところ、シグナルへ移行する前にやり取りしたXアカウントとのDMが残っていたため、Xアカウントを通じて闇金と連絡を取ることになりました。
そのXアカウントに対して受任通知書を送ったところ、闇金業者と連絡が取れ、和解交渉を経て無事に早期解決となりました。
Xからシグナル、又はLINEからシグナルに移行させて取引を行う闇金業者が多くなっています(当事務所ではsignal闇金と呼んでいます)。シグナルは、LINEとは異なり、友達にならないとメッセージ送信が出来ません。そのため、受任通知の送信が難しい場合が一定数あります。
しかし、そのような場合でも、本事例のようにシグナルへの移行前の連絡先があれば対応は可能です。また、移行前の連絡先が分からない場合でも、過去の介入実績から連絡先を割り出すことで対応可能な場合もあります。
そのほかの方法で連絡がつく場合もありますから、シグナルだから絶対に依頼できないということはありません。
当事務所としても、相手方と接触する方法を工夫していきますので、シグナル業者との取引をされている場合でも諦めずにご相談ください。