今回ご紹介するのは、大手ファミリーレストランで勤務する26歳会社員・Yさんのケースです。
Yさんは普段から浪費とは無縁で、ギャンブルや飲酒もほとんどしない堅実な生活を送っていました。しかし、生活費を支払うと手元に残る金額はわずかでした。
下の内訳を見ると、月収20万円の中から毎月3万円の奨学金返済が必要で、固定費の負担が大きいことがわかります。そのため、貯蓄ができない状態が続いていました。
【Yさんの家計内訳(月収20万円)】
- 家賃(光熱費込み):8万円
- 食費:4万円
- 通信費:1万円
- 日用品:1万円
- その他(交際費・雑費等):2〜3万円
- 奨学金返済:3万円
→ 月末に残る金額:0〜1万円程度
慢性的な資金不足の中、不運にもYさんは事故で2週間の入院を余儀なくされ、約7万円の入院費が発生しました。
貯蓄がない状況で家賃などの支払いを済ませると手元資金が不足し、入院費のうち5万円を支払えない状況に陥りました。

正規の消費者金融にも申し込みましたが…
- 奨学金や携帯料金の滞納により信用情報に傷があった
- 事故の影響で勤務日数が減り、直近の給与が審査基準を満たさなかった
などの事情から、借入れができませんでした。
精神的に追い詰められたYさんは、資金繰りに行き詰まり、SNSで借入先を探すようになりました。その過程で、X上に「即日OK」「審査なし」といった文言が並ぶ投稿を目にします。
正規業者を名乗ってはいたものの、実際には貸金業登録のない違法な闇金業者でした。
不足額は数万円程度にすぎませんでしたが、事故による欠勤で収入が途絶え、入院費や生活費の支払い期限が迫る中では、条件を比較したり、業者の実態を確認したりする余裕はありませんでした。
お金が足りないという焦りから、Yさんは「最初の1社への申込み」をしてしまいました。この申込みの際に提供した個人情報が業者間で共有され、その後は別の闇金からも次々に勧誘を受けるようになりました。
この「最初の1社への申込み」が、結果的に状況を一気に悪化させるきっかけとなってしまったのです。

闇金1社目から借金が膨らんでいった経緯
「今回だけ」と思って借りた1社目の闇金。しかし、返済日が来ても入院明けで思うように働けず、資金が作れません。その場を凌ぐために2社目、3社目…と借入れを重ね、気づけば4社の闇金と取引する泥沼状態に陥りました。
Yさんは何とかやりくりして支払いを続けていましたが、やがて期日に間に合わなくなってしまいます。すると、たった1日遅れただけで闇金の態度は一変しました。
「会社にバラすぞ」
「家族にも知らせる」
「司法書士を入れても無駄だ」
こうした脅迫的なメッセージがSNSやLINEに大量に届くようになり、実際にYさんの勤務先には無言電話や嫌がらせ電話が繰り返しかけられました。それでもYさんは、「自分が借りた以上、仕方がない」「もう少し我慢すれば収まるかもしれない」と考え、誰にも相談できずに耐え続けていました。
しかし、次第にYさんが所属している店舗とは無関係の別の店舗にまで嫌がらせの電話が及びます。
「そちらに勤めているYという人間は借金を踏み倒している」
「勤務態度にも問題があるのではないか」
このように社会的信用を失わせかねない虚偽の内容が伝えられる事態に発展したのです。
そして、次のように実際に危害を加えるかのような脅しが続くようになり、嫌がらせはエスカレートしていきました。
「勤務先にいられなくしてやる」
「家に行くぞ」
「逃げても無駄だ」
さらには、闇金に教えた個人情報が友人のアカウントにまで晒されてしまいました。
被害が自分の生活圏を超えて広がっていることを実感したYさんは、強い恐怖と限界を感じるようになりました。

司法書士へ相談してから解決までの流れ
こうした全方位からの嫌がらせを受け、「このままでは仕事も生活も守れない」と強い不安を抱いたYさんは、これ以上一人で抱え込むことはできないと判断し、当事務所へご相談くださいました。
ご契約いただいた後、当事務所が介入し、闇金業者への対応を開始しました。 その結果、以下のようなすべての取り立て行為が その日のうちに停止しました。
- 執拗な電話連絡
- SNS・DMを通じた脅迫メッセージ
- 会社や店舗に対する嫌がらせ行為
長期間続いていた緊張状態から一気に解放され、Yさんは少しずつ精神的な落ち着きを取り戻していきました。 取り立てが止まったことで生活リズムも整い、職場への復帰もスムーズに進みました。
現在では、Yさんは闇金からの連絡に怯えることのない安定した生活を取り戻し、二度と闇金を利用しないよう、家計の見直しに取り組んでいます。

金融庁が2025年5月に公表した 貸金業利用者に関する調査・研究報告書(PDF) では、消費者金融利用者の約半数が「生活費の不足」を理由に借り入れを行っていることが示されています。これは、派手な浪費やギャンブルではなく、日常生活に必要な支出の不足が主要な要因となっている現状を裏付けるものです。
こうした統計からも、生活費不足は誰にでも起こり得る現実的なリスクであることが分かります。個人の浪費だけに原因を求められるものではありません。
さらに、過去3年以内に消費者金融に借入れを申し込んだ人のうち、「希望した金額どおりに借入れができなかったことがある」という人は全体の6割にのぼります。
生活費が不足する中、正規の貸金業者から十分な金額を借りることができない場合もあることが分かります。
闇金の利用理由の統計では、次のような回答が挙げられています。
- 限度額に達して借入れを断られた
- 限度額には達していなかったが断られた
- 延滞経験があり借りられなかった
これらの理由で「消費者金融から借入れを断られたことが闇金に申し込む契機になった」と考えている人は、30%を超えています。
このように、闇金利用者の多くが、まず正規の貸金業者を利用していることが分かります。
さらに、同調査では【無登録業者(ヤミ金融)を3年以内に利用した人】の割合は13.4%とされています。これは貸金業利用者を対象とした調査結果であり、多くの人がまず正規の貸金業者を利用したうえで、何らかの事情から闇金に接触している実態がうかがえます。
こうした統計を見ると、生活費不足から借入れが始まり、希望額を借りられず資金繰りが行き詰まることで闇金へ流れてしまうケースも少なくないことが分かります。
だからこそ、生活費不足そのものを防ぐことが、闇金被害を避けるうえで重要になるのです。
生活費不足が起こる主な3つの理由
① 予備費がないまま生活している
トラブルはいつも急に起こるものです。しかし十分な備えがないと、こうした突発的な支出によって生活は一気に苦しくなります。
② 固定費の増加に気づかない
スマホ代・各種サービスのサブスクリプション・保険料などは、契約内容や利用状況を見直さないままでいると、いつの間にか毎月の支出が増えていくばかりです。
③ 誰にも相談できず、一人で抱え込んでしまう
どんなに困窮しても、「お金のことを相談するのは恥ずかしい」「身内や周囲には迷惑をかけたくない」という思いから、 借入れ → 返済 → 生活費不足 → また借入れという悪循環に陥ることがあります。
生活費不足を防ぐための3つの具体策
① 支出を見える化する
まず大切なのは、「何にいくら使っているのか」を把握することです。
とはいえ毎日コツコツと手書きで家計簿をつけるのは意外と手間がかかります。そこで、スマートフォンを活用して、無理なく支出管理を始めてみてはいかがでしょうか。レシートを撮影するだけで自動的に記録してくれるアプリを使えば、「毎回入力するのが面倒…」という方でも家計簿を継続しやすくなります。
何に使ったかを見える化することで、これまで自分では気づきにくかった支出も見えてきます。
▶ レシート読み取り対応 家計簿アプリおすすめ10選
② 固定費を見直す
生活費を圧迫しやすいのが、毎月自動的に引き落とされる固定費です。
通信費・保険・サブスクリプションなどは、契約内容を見直すことで月に数千円の改善が期待できます。家族分をまとめて確認すると、さらに改善幅が大きくなることもあります。
📱 スマホ料金を格安SIMに変更する
大手キャリアはデータ量が少ない人には割高です。
格安SIMに乗り換えることで、月5,000円〜7,000円程度の削減も可能。
最近は通信品質も改善され、日常利用で不便はほとんどありません。
📺 使っていないサブスクリプションを解約する
動画・音楽・クラウド・アプリ課金などのサービスは、「独占配信」「初月無料」の案内などをきっかけに、気づけば複数契約している人が少なくありません。
「本当に使っているもの」だけ残せば、固定費削減につながります。
🍴 食費管理アプリを活用する
食費は、変動費の中でも管理効果が高い項目です。冷蔵庫の食材からレシピを提案してくれるアプリを使って食材ロスを減らせば、外食や惣菜の頻度を抑えられます。生活の質を大きく落とすことなく、支出を減らせる可能性があります。
③ 予備費を積み上げる
急な出費に備えるため、毎月少しずつでも貯蓄することが重要です。
医療費・家電の故障・冠婚葬祭・車の修理費など、突発的な出費が発生する可能性は誰にでもあります。
予備費がないと、再び借金やクレジットカードに頼る原因になります。
目安:月収の5%を積み立て
・月収20万円 → 毎月1万円以上
・月収30万円 → 毎月1万5,000円以上
無理のない金額から始め、余裕が出てきたら徐々に増やしましょう。
◎「先取り貯蓄」がカギ
給料が入ったら最初に貯蓄へ回すのが鉄則です。
・定期預金
・自動積立サービス
・別口座への自動振替
◎ 予備費のメリット
・突然の出費でも慌てずに対応できる
・借金に頼らずに済む
・家計のストレスが大幅に軽減される
◎ 目標額の目安
生活費の3か月分(理想は6か月分)を緊急資金として確保。
少額でも継続することが大切です。
闇金業者の多くは、法律に反した高金利の要求や不当な取り立てを行い、支払いが遅れただけで家族や勤務先へ連絡するなど、威圧的な行為に及ぶことがあります。
こうした闇金業者の違法行為は社会生活に深刻な影響を及ぼします。
次のような状況が見られる場合、闇金被害は深刻化しているといえます。
「すでに執拗な連絡が来ている」
「職場に連続して電話がかかってきた」
「自分ではどうすることもできず恐怖を感じている」
Yさんのように、職場での立場や人間関係が壊されかねない恐怖にさらされているのであれば、黙って耐える必要はありません。
こうした状況は、早めに専門家が介入すべき段階といえます。
司法書士が介入することで、業者の悪質な嫌がらせや不当な請求を止め、速やかに解決に向かうケースも少なくありません。当事務所でも、多くのケースでご依頼の当日中に取り立てが止まり、状況が落ち着きます。
一人で抱え込まず、まずはしもひがし法務事務所にご相談ください。