東京都在住のSさんは、不動産会社に勤める会社員の方です。
数年前にギャンブル依存症が原因で多重債務に陥って債務整理をしています。現在はギャンブル依存症の治療も行っていて生活改善に努めていました。
ある月、Sさんは、冠婚葬祭が重なったことや、交際費などの出費がかさんだことで生活費が足りなくなってしまいました。そこで、ネット上で金策しようと色々と調べていたところ、5chの掲示板で気になるものを目にしました。先払い買取現金化業者に関する記載です。
5chの書き込みにより、先払い買取現金化とは、スマホや商品券を売買する形を取っているが、手元に売りたいスマホや商品券を用意しなくても利用でき、手数料は高いが当座の資金をすぐに用意できるサービスなのだと理解したそうです。また、5chには多くの先払い買取現金化業者の情報が記載されており、どの業者が審査が通りやすいとか、どの業者がどの系列かといった情報も書き込まれていました。
中には闇金と変わらないとの記載もあり、かなり悩んだそうですが、試しにある業者のHPを見てみると、HPの作りも綺麗で信用できそうな気がしたそうです。また、内容もシンプルでわかりやすいものであったため、Sさんは入力フォームから申込みをしました。闇金から借りるのは怖いから嫌だけど、先払い買取現金化業者なら闇金と同じとは言えないだろうと考えたそうです。
しばらくすると先払い買取現金化業者の担当者から連絡があり、LINEで連絡を取ることになりました。
一定の審査などの手続きを終えたあと、すぐに2万円の振込がありました。こんなにもあっさりと、その日のうちに現金を手に入れることができて、とても助かったと思ったそうです。
その月は給料日に3万5000円の支払いを終えて、取引を終えることができました。あまりに問題なく取引ができたことで、また利用してもいいなと安易に考えるようになってしまいました。Sさんはまたすぐに別の先払い買取現金化業者3社に申し込み、合計6万円を借りてしまいました。
次の給料日には、上記借り入れの返済として、約10万円の支払いをしました。
しかし、給料日に10万円もの出費があったのでは生活が立ち行きません。
すると、そのタイミングを見計らってか、同じような業者から次々と勧誘のメールが届くようになりました。
それに応じて取引を増やしていった結果、3か月後には8件の業者と取引をしており、ひと月分の給料では支払いができない状況となってしまいました。
給料日を過ぎても返済ができずにいたところ、ある業者から1通のメールが届きました。
そこには、支払いに応じないことは詐欺罪にあたること、このまま支払いに応じないのであれば顧問弁護士に委任の上法的措置をとる予定であることが記載されていました。
このメールで怖くなり、もう自力では解決できないと考えて色々と調べた結果、当事務所にご相談くださいました。
当事務所では、その後すぐにLINEや電話で各業者に受任連絡を行い、更に書面でも受任通知書を発送しました。
先払い買取現金化業者の対応は概ねどの業者も同じであり、「今後取立てや請求はしない」というものでした。
その後念のため2週間程度経過観察をしましたが、何ら取立てや請求が行われなかったため、Sさんの了承を得て無事解決となりました。
Sさんは、後払い買取現金化業者への支払いに追われていた日々から解放され、とても安堵されていました。
当事務所では先払い買取現金化業者を闇金の一類型と考えていますが、闇金とは明らかに異なる点もいくつかあります。
そのうちのひとつとして、先払い買取現金化業者は、当事務所介入後にはほぼ全ての事案で取立てをしないということが挙げられます。
先払い買取現金化業者は、闇金とは異なり、合法的なサービスを提供しているという建前で営業しているため、違法行為だと指摘されうる取立行為は、原則として行いません。そのため、話し合いで穏便に解決できることがほとんどです(というよりほぼ全てと言っていいでしょう)。
※掲載日現在の状況についての記載であり、今後手口が変容する可能性はあります。
もっとも、Sさんのように、先払い買取現金化業者から、「返済しないと詐欺罪にあたる」「顧問弁護士に委任した上で裁判をする」等と脅されて困っているという相談例は他にも多くあります。
こうしたことが現実化するのであれば、闇金よりも厄介なことになりますので、この点についても言及しておきましょう。
確かに、上記のように口頭で言われたり、メールが届いたという例は多く聞きますし、ネットの口コミでもそういった脅しを受けた報告は多数あるようです。
しかし、実際に先払い買取現金化業者から刑事告訴されたり、裁判になって差押えされたりというケースは、少なくとも当事務所が依頼を受けた範囲では1件もありません。
まず、詐欺罪で刑事告訴される可能性ですが、現実問題として、先払い買取現金化の利用者について警察が詐欺罪で立件する可能性は低いと考えます。当初から一切返済する意思なく利用したのなら詐欺罪が成立する可能性がありますが、多くの利用者の方はそうではないはずです。借りるときには返す予定だったものが、資金繰りの結果返せなくなったという場合は詐欺罪にはあたりません。利用者の借入当初の意思がどのようなものであったのかを明らかにするのは非常に困難ですから、警察が詐欺罪で立件する可能性は低いと考えられます。
また、業者としても無駄な労力になりますから、わざわざ刑事告訴という線はほぼないと見ています。
(仮に、当事務所の依頼者が万一刑事告訴された場合は、こちらとしても、逆に先払い買取現金化業者を出資法違反・貸金業法違反で刑事告発したいところです。)
裁判を起こされる可能性については、あり得ないことではありませんが、こちらも可能性はかなり低いと考えます。
先払い買取現金化業者との取引は、1件あたり多くても5万円程度です。この5万円のことで裁判を起こすのは費用対効果の観点から極めて不合理だといえます。そのため、脅しとしては言うけれど裁判をやるつもりは全くないという業者がほとんどだと思います。
また、何度も申し上げているとおり、先払い買取現金化業者は闇金の一類型であり、中の人間も闇金のような脛に傷のある者ですから、裁判で表舞台に出てくることは避けたいはずです。
以上の理由で、裁判を起こされる可能性についても低いと考えています。
なお、依頼者の方が万一裁判を起こされた場合は、当事務所では原則として追加費用をいただくことなく無料で訴訟対応いたします。
先払い買取現金化業者は、金融庁も注意喚起している違法業者ですから取引をすべき相手ではありません。
しかし、万一取引してしまっている場合には、比較的安全に解決できる業者でもあります。
先払い買取現金化業者との取引でお困りの場合は、無理に返済を続けて生活が立ち行かなくなる前にぜひご相談ください。