なぜ、真面目なドライバーが先払い買取業者に手を出したのか
引き金となったのは、Tさんの収入が急激に下がったことでした。
それまでTさんは長距離トラックのドライバーとして、深夜運行や長時間の残業をこなしていました。運行手当や深夜手当を合わせると手取りで50万程度は稼げており、生活に支障はなかったそうです。ところが、会社の方針で担当するルートが変わったことで状況は一変します。
長距離手当や深夜手当がごっそりなくなり、残業代もほとんど出なくなったのです。その結果、収入は30万程度に減少してしまいました。
そんなときにTさんの奥様の妊娠が判明します。奥様はつわりが重く、予定より早くパートを退職せざるを得なくなりました。
こうして世帯収入が半分近くに落ち込む一方で、赤ちゃんを迎えるための出費(マタニティ・ベビー用品、入院準備品、健診費用など)が次々と押し寄せます。
どれも必要なもので、贅沢をしているわけでも無駄遣いをしているわけでもありません。ただタイミングが悪かったのです。
生活費が削られていくにつれて、どうにかしなければと焦るTさんでしたが、
😟「体調が不安定な妻に心配を掛けたくない」
😰「孫の誕生を楽しみにしている親にはとても言えない」
と思い詰めてしまい、誰にも相談することができませんでした。
そして生活費が足りないことを身重の妻に知られてはいけないと考えたTさんが頼ったのが、先払い買取業者だったのです。

先払い業者から、より悪質な闇金へと取引が膨らんでいく
数カ月はなんとかやりくりをしていましたが、ついに手元の現金が完全にショートしたある日、Tさんはネットで見つけた
- 「審査なし」
- 「即日現金化」
- 「買取率90%以上」
などと謳う、先払い買取業者を利用してしまいます。
これは買取代金を先払いして、引渡し日に金券を郵送するというサービスで、給料日に合わせて利用できるというものでした。手続きは簡単で、商品券の写真を送って買取を申し込むと、数時間後には1万5千円が振り込まれました。
急場を凌げるとほっとしたTさんですが、次の給料日に3万円にして返すというこの取引は、年利換算すると1200%にもなります。これは法律で定められた上限金利の「60倍」に達する超高金利であり、この先払い買取業者の実態は闇金と変わりません。
最初は「次の給料日までのつなぎ」のつもりでした。しかし、収入が下がっているTさんにとって、給料日に数万円を引かれるのは致命傷です。翌月にはさらに余裕がなくなり、別の先払い業者も利用するようになりました。
こうして2件、3件と取引が増えていったのですが、そうなると当然返済する金額も増えるため、生活は苦しくなる一方でした。やがて給料日の2週間後には生活費が尽きてしまうようになり、最終的にはSNS(旧TwitterやLINE)で集客を行う、より取り立ての激しい「一週間周期の闇金」にまで借りざるを得なくなったのです。
気がつけばTさんは、10社近くの先払い業者・闇金業者から借り入れて、毎週のようにどこかに返済しては新たに借りることを繰り返すようになりました。
関連情報
※「先払い買取業者の取引実態は闇金である」という判決について詳しく知りたい方は、以下のブログをお読みください。
先払い業者と決別する契機となったのは「子どもの誕生」
Tさんは毎日、闇金からの督促LINEにおびえ、トラックの運転中もスマホのバイブレーションが鳴るたびに冷や汗をかく日々を送っていました。そんな限界状態のTさんが、ついに「闇金と縁を切る」と決意したのは、奥様の出産が間近に迫った日のことでした。
出産を迎える奥様は、これから生まれてくる我が子の将来がすばらしいものになってほしいと願っているはずです。それなのに夫であり父親となるTさんは、毎日闇金への返済のことで頭がいっぱいで、スマホを見てビクビクしている状態です。
このまま支払いができなければ勤務先や家族に連絡が行き、やがて我が子の将来を潰してしまうことにもなりかねません。
そう思いいたって、やっとTさんは「闇金と今すぐに縁を切り、妻子に不安のない生活を用意することが自分のすべきことだ」とわかったのです。
Tさんが意を決して当事務所にご相談いただいた際に取引していた業者は10社に達していました。借りていたのは悪質度の低い先払い業者がほとんどでしたが、闇金も2件含まれていました。
周囲に嫌がらせをされるのではないか不安だと伺ったため、当事務所の対応実績を調べ、以下のように説明しました。
- 先払い業者(8件):悪質度が低くこれまでは嫌がらせ行為を受けることなく早期に解決できている。
- 闇金(2件):悪質度は中程度(★3)。教えた連絡先に対し数日間連絡が入る可能性はあるが、直近の対応実績で激しい取り立て行為が入ったことは確認されていない。
Tさんは説明を聞き、周囲に連絡が入るリスクがゼロではないことも理解したうえで、それでも「闇金と決別して、やり直したい」という気持ちで依頼を決めてくださいました。
取り立ての電話が来るのが怖くて闇金とズルズルと付き合いを続けてしまうという相談が当事務所にも多く寄せられています。
相手は闇金なので、「絶対に取り立ての連絡が入ることなく解決できる」と確約はできません。
しかし、当事務所は長く闇金事件を専門に取り扱ってきた実績があります。闇金にお金を払う和解はしないということは多くの業者に知られていますし、取り立てを行うような業者に対しては、「相手にするのが面倒だな」と思うような徹底した対応を取ります。
そのため、ほとんどの闇金は回収を諦めすぐに手を引きます。
今回の件も当事務所がゼロ和解の方針で対応したところ、幸い、業者が取り立てを行うことはなく、無事解決することができました。
Tさんが 勇気を出して解決に向けて動いたことが、「家族が安心して暮らせる日々」のスタート地点だったといえます。

闇金問題に苦しむ多くの方が、「次の給料日まで耐えればなんとかなる」「ボーナスが出れば精算できる」と解決を先延ばしにし、傷口を広げてしまいます。しかし、闇金・先払い業者の金利構造の前では、小手先の延命措置は通用しません。必ずどこかで取引を「強制終了」する必要があります。
そうでなければ、終わりのない利息の返済に追われ、ひとたび支払いが滞れば執拗な取り立てに遭い、家族の生活も社会的信用も全て失うことになるでしょう。
本事例のTさんのように、「子どもの誕生」「結婚」「昇進による社会的責任」といった人生の転機は、これまでの悪い流れを断ち切るための、この上ない強力なモチベーションになります。
「これを機に立ち直りたい」と決心したら、私たち闇金問題の専門家にご相談ください。
闇金と縁を切り、よりよい未来を迎えられるよう全力であなたの決意をサポートいたします。