司法書士の下東です。
何年か前から出てきて今でもたまに使用されるソフトヤミ金という言葉。
色々と誤解を与える表現であり,被害者を増やす原因の一つとなっています。
ソフトヤミ金なら借りる際のハードルも低いだろうと考えて被害に遭う方が非常に多いのです。
今回はこのソフトヤミ金のことについて書きたいと思います。
ソフトヤミ金のイメージ
ソフトヤミ金と聞くと,どの様なイメージを持つでしょうか。
- 金利が低い
- 返済を待ってくれる
- 暴力的な取立てをしない
こんなところでしょうか。
しかし上記はいずれも実態とかけ離れています。
現実はそんなに甘いものではありません。
「ソフト」がついてもヤミ金はヤミ金であり犯罪者集団です。
犯罪を厭わず,他人から高利の金を貪って儲けようという考えの者達がボランティアのような貸付けをするはずがありません。
ソフトヤミ金=良いヤミ金ではない
では,ソフトヤミ金の実態はどのようなものなのでしょうか。
ソフトヤミ金の金利
ソフトヤミ金の金利は決して低くありません。
ヤミ金なんだから法定金利内ということはないだろうけれど他の業者と比べたら相対的に低いのだろうと考える方が多いですが,それも間違いです。
ソフトヤミ金の金利は,年利500%~1500%程度が主流です。
つまり,昔のヤミ金の代名詞であったトイチ(年利365%)より高い金利なのです。
もっとも,ソフトヤミ金という呼び名は曖昧なものです。
ソフトヤミ金を自称し,金利は月2割(年利240%)程度の低いところもあれば,ソフトとの噂を聞いて融資を申し込んだが,実際は年利3000%もの条件で借りさせられたという被害事例もあります。
ですから,
ソフトヤミ金だから金利が安いとか高いとかの判断は全く出来ないと考えてください。
ソフトヤミ金は返済を待ってくれる?
恐らく,この点につきヤミ金側の対応が変わったのでソフトヤミ金という言葉が生まれたのでしょう。
以前のヤミ金は,返済の猶予は一切せず,返済日が来たら怒涛の取立てで一気に回収をかけるというのが常道でした。
債務者に猶予を与えるとろくなことがないため,待つことは悪という考え方があるためです(ヤミ金の世界に限らず,債権回収の基本です)。
しかし,平成20年の最高裁判決により,「ヤミ金融には元金すら返済する必要はない」ということが世間一般に周知されたことにより,ヤミ金はやりにくくなりました。
ちょっとでも度を超えるとすぐに弁護士や司法書士に駆け込まれて回収不能になるようになったからです。
これにより,合理的な理由がある場合は返済をある程度猶予するヤミ金が増えました。
また,総量規制により従前はヤミ金に金を借りるほどの債務状況ではなかった方が流れてきたことも業者の考え方に影響を与えたでしょう。
多重債務歴が浅い方や,借入先が比較的少ない方というような良質な客が集まることにより,返済を多少猶予したとしても回収が見込めるようになったということです。
つまり,
ソフトヤミ金か否かで返済を待ってもらえるかどうかは分かりません。
あなたがヤミ金にとって信頼の置ける人物であったり,猶予について合理的説明が出来れば待ってもらえることが多いと思われます。
ソフトヤミ金は対応もソフトか?
ソフトヤミ金を自称しているようなヤミ金は,対応もソフトであろうと思います。
しかし,それはあなたがヤミ金にとって良い客であるときまでです。
延滞が起こり,支払いを度々遅らせるようになれば自ずと対応も変わってくるでしょう。
返済しないのならば勤務先や関係先に迷惑が及ぶと脅されて精神的に追い詰められることになります。
この点は,ソフトヤミ金だろうと単なるヤミ金であろうと同じです。
返済を滞らせれば,自称
「ソフトヤミ金」も,暴力的な取立てやしつこい嫌がらせを用いて回収をかけてきます。
以上見てきたとおり,ソフトヤミ金という言葉は単なるまやかしであり,その本質は普通のヤミ金と同様で,当然犯罪者です。
ソフトヤミ金という言葉に惑わされないでください。