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闇金ではなく生活保護や生活福祉資金貸付の利用を検討してください|闇金情報ブログ
投稿日:2024.12.24
最新更新日:2025.01.06
司法書士
闇金ではなく生活保護や生活福祉資金貸付の利用を検討してください
目次
司法書士の福井です。
今年もあと1週間となりましたが、この時期になると年末年始の生活費を工面するために闇金の利用を考えてしまう人も、もしかしたらいらっしゃるのではないでしょうか。
しかしながら、闇金を利用しても法定利率の数十倍から数百倍の法外な利息をむしり取られたうえに過酷な取り立てに怯える日々が待ち受けるだけで何一ついいことはありません。
では、このように生活費に困窮する状況に陥ってしまった場合、どのように対処すればよいかという点が問題になりますが、まずは公的機関の支援を検討すべきでしょう。
公的機関の支援というと生活保護を思い浮かべる人が多数だと思いますが、各自治体ではそれ以外にもいくつか生活支援が用意されています。
生活費に困ったときは闇金ではなく公的機関の生活支援のご検討を
この点、制度的に十分なものとはいいがたいですが、公的機関の生活支援には次のようなものがあります。
(1)生活全般にわたるお困りごと相談
平成27年4月から開始された生活困窮者支援制度の一環として、全国の自治体では生活全般に渡る困りごとの相談窓口を開設しています。
「働く場所が見つからない」「住む場所がない」などの生活全般の悩みについて、専門の支援員が他の専門機関と連携して解決策を提案します。
相談窓口は生活困窮者支援情報共有サイトの次のページから確認できますので利用してみてはいかがでしょうか。
→自立相談支援機関 相談窓口一覧|生活困窮者支援情報共有サイト
(2)生活福祉資金の貸付事業
全国の社会福祉協議会では、所得の少ない世帯や失業者など日常生活全般に困難を抱えた方を対象にした貸付制度を提供しています。
たとえば、豊島区では所得の少ない世帯や障がい者、介護を要する高齢者のいる世帯に対して、生活安定と経済的自立を図ることを目的に、次のような貸付けが用意されてます。
①生活福祉資金
障害者自動車・引っ越し・冠婚葬祭などに必要な経費などの貸し付けを受けることができます。
②教育支援資金
高校や大学など授業に必要な費用の貸し付けを受けることができます。
③総合支援資金
収入の減少や失業などで生活に困窮し日常生活が困難になっている低所得者世帯が一定の要件を満たすことで貸し付けを受けることができます。
④不動産担保型生活資金(リバースモーゲージ)
居住用不動産を所有している65歳以上の所得の低い方がその不動産を担保に貸し付けを受けることができます。
これら生活福祉資金の貸付事業は全国の社会福祉協議会で実施されていますので、貸し付けを利用したい場合はお近くの社会福祉協議会に相談されてください。
→都道府県・指定都市社会福祉協議会のホームページ(リンク集)|全国社会福祉協議会
闇金ではなく生活保護の利用も検討してください
このように生活費が不足する場合には社会福祉協議会の貸付制度も利用できますので、闇金などに電話などせず、まずはお近くの社会福祉協議会にお電話されることをお勧めします。
もっとも、収入や資産がない場合にはこうした貸付けを利用することは事実上困難ですので、そうした場合は生活保護の利用も検討すべきでしょう。
この点、生活保護に関しては様々な誤解があるようですが、次のような世帯でも利用が可能です。
(1)住居がなくても生活保護の申請ができます
生活保護に住居があることは要件ではありません。
居住地がある場合はその居住地を管轄する福祉事務所が、居住地がない場合は現在地を管轄する福祉事務所が生活保護申請の受付先となります(現在地保護の原則)。
都道府県知事、市長及び社会福祉法(昭和二十六年法律第四十五号)に規定する福祉に関する事務所(以下「福祉事務所」という。)を管理する町村長は、次に掲げる者に対して、この法律の定めるところにより、保護を決定し、かつ、実施しなければならない。
一その管理に属する福祉事務所の所管区域内に居住地を有する要保護者
二居住地がないか、又は明らかでない要保護者であつて、その管理に属する福祉事務所の所管区域内に現在地を有するもの
たとえば、東京都内を転々とするホームレスの人が今の時点で池袋にいるのであれば豊島区の福祉事務所が生活保護の受付先となりますし、ネットカフェを転々としている人が今朝まで上野のネットカフェに滞在して今も上野にいるのであれば台東区の福祉事務所で生活保護の申請をすることが可能です(ただし、このようなケースでは実際にはシェルターなどのホームレス自立支援施設などにいったん入所したうえでその施設の所在地の福祉事務所に申請するのが一般的です)。
「住居がないから生活保護は受けられない」と考えて生活保護を申請しない人が見受けられますが、生活保護は住居のない方であっても利用することが可能ですので誤解のないようにしてください。
(2)自己所有の不動産があっても生活保護を受けることができる場合があります
持ち家の「活用」は保護の要件となりますが、居住の用に供される家屋に引き続き居住する場合には「活用」と評価されるので、持ち家がある人であっても生活保護の申請は可能です。
保護は、生活に困窮する者が、その利用し得る資産、能力その他あらゆるものを、その最低限度の生活の維持のために活用することを要件として行われる。
持ち家の処分価格が著しく大きい場合には「処分」し換価することを求められることがありますが、評価額が低い場合には処分することなく生活保護の利用が可能な場合もありますので、「持ち家があるので生活保護は受けられない」と短絡的に判断しないようにしていただきたいと思います。
(3)虐待(DV)を受けている場合には扶養義務者への直接の扶養照会が行われない場合もあります
生活保護制度においては、扶養義務者の扶養は保護に優先しますので(生活保護法第4条2項)、生活保護の申請を行うと親兄弟や配偶者などの扶養義務者に対して福祉事務所から収入や扶養する意思があるかなどを調査する直接照会がなされるのが原則です。
民法(明治二十九年法律第八十九号)に定める扶養義務者の扶養及び他の法律に定める扶助は、すべてこの法律による保護に優先して行われるものとする。
しかし、その扶養義務者において家庭内暴力や虐待、DVなど直接照会することが適当でない場合には、この直接照会を控える取り扱いになっており、具体的には「夫の暴力から逃れてきた母子」や「虐待等の経緯がある者」がそれに該当します(厚生労働省社会・援護局保護課長通知第5の2、生活保護手帳2024年度版275~276頁、生活保護手帳別冊問答集2024年度版147~149頁第1編問5-1)。
生活保護は利用者の自立を助長することを目的としてなされますが(生活保護法第1条)、虐待やDVの加害者に対して扶養を求めることは、かえって利用者の自立を阻害する要因になるからです。
この法律は、日本国憲法第二十五条に規定する理念に基き、国が生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長することを目的とする。
そのため、たとえば親兄弟から虐待を受けて実家を離れた人であったり、夫のDVから逃げてきた人などの場合、生活保護の申請の際に福祉事務所の職員にその事情を説明することで親兄弟や夫への直接照会を経ることなく生活保護を受けることも可能です。
生活保護申請の際に福祉事務所の担当者に虐待やDVなどの事情を説明して理解してもらうことが必要ですが、親兄弟や夫などに知られてしまうことを懸念して生活保護をあきらめる必要はありませんので覚えておいてほしいと思います。
ヤミ金を利用する前に生活保護や福祉資金貸付などの検討を
以上のように、福祉資金の貸付や生活保護など生活を立て直す手段も不十分ではあるものの用意されていますので、生活費の不足にお悩みの場合にはこうした公的な支援をまず検討することをお勧めいたします。
この記事の冒頭でも説明したように、ヤミ金融を利用してしまえば法外な利息を取られたうえ過酷な取り立てに悩む日々が始まるだけにすぎません。
生活費の不足で困窮する場合には、闇金ではなく公的機関の相談窓口を利用することも、ぜひ考えていただきたいと思います。
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