中小企業向けに高金利での融資を行っていた闇金8人が逮捕されたことが報道されました。
報じられた記事は以下のとおりです。
ヤミ金容疑で男8人逮捕を発表 貸し出し規模1億円超か
コロナ禍で経営が悪化した中小企業に高金利で金を貸したとして、警視庁は、ヤミ金グループの男8人を出資法違反(高金利)容疑で逮捕し、4日発表した。3~7月の間、茨城、千葉、東京、神奈川など1都9県の男女70人の経営者らに計1億3400万円を貸し、5700万円の違法な利息を受け取ったという。逮捕されたのは、群馬県大泉町北小泉4丁目の解体業槻岡佑一(44)、東京都新宿区北新宿1丁目の無職富井輔(36)、豊島区池袋2丁目の無職柴田剛(40)ら8容疑者。槻岡、柴田の両容疑者は認否を保留し、富井容疑者は否認しているという。
生活経済課によると、8人の逮捕容疑は3~6月、共謀し、埼玉や千葉、東京の中小企業やクリニックなどの50~70代の経営者8人に金を貸し付け、法定金利(年利20%)の約30~75倍に当たる年利約600~1500%の利息を受け取ったというもの。経営者8人の大半がコロナ禍で資金繰りに行き詰まっていたという。
勧誘には一般に出回っている企業の名簿を使った。都内3カ所の事務所を拠点に、「ジェイポイント」「柳谷商事」「東海信販」「本牧商事」などの社名を名乗り、電話やファクス、ダイレクトメール、電子メールを使って融資を持ちかけた。「コロナ対策融資までのつなぎ」「低利」「担保不要」「即日融資キャンペーン」といった文言で勧誘を繰り返したという。
※朝日新聞デジタル 2020/12/4 12:51配信記事(https://www.asahi.com/articles/ASND445G1ND4UTIL01G.html?iref=comtop_BreakingNews_list) より引用。
卑劣な手口で借り手を借金漬けに
今回逮捕された闇金は,事業者向けにFAXなどを送り融資を持ち掛けていた闇金のようです。
こういった事業者向けの闇金は数十万円単位の比較的大口の融資を月払いで持ち掛ける場合が多く,また何らかの担保を要求されたり,物品の売買を装って貸し付けることもよくあります。
- 融資の条件として手形や小切手を要求する
- 売掛金債権の買い取りをうたいファクタリングを偽装した取引をさせる
- ギフト券や宝石などの販売・転売を仮装する
このように,様々な方法を用いて実質的には超高金利の貸付けと言える取引を行います。
資金繰りが苦しくなり返済が滞ると,
「今手形を回されると不渡りを出してしまう・・・」
「売掛先に債権譲渡の通知をされると回収ができなくなるし,信用もなくなって取引を打ち切られるかもしれない・・・」
こういった不安につけこんで頻りに脅してくることがあります。
結果として他の闇金から新たに借入れをしてでも払わざるを得ない状況になってしまうという危険性があります。
このようにして借り手を借金漬けにし骨までしゃぶり続けるという卑劣なやり口を用いるのがシステム金融の恐ろしいところです。
一度借りてしまうとあっという間に最悪の状況に
先に少し触れた偽装ファクタリング業者や売買仮装業者も事業者向け闇金の中には数多くいます。
一度取引を始めてしまうと短期間のうちにより厳しい状況に追い込まれるケースが多いため,借りることにメリットは全く見つかりません。
事業者だけに限ったことではありませんが,今年は資金繰りが急激に厳しい状況に追い込まれてしまうケースが続出し,さらには当面すぐには持ち直しも難しいものとみられるため,それに伴い闇金被害も急増することが見込まれます。
前述のようなファクタリングを偽装する闇金も多くなってきたことから,資金繰りが逼迫してしまうと合法か違法かもよく分からないうちに申込みをしてしまうケースも多いかもしれません。
しかし,このような高金利違法業者と取引をすると,金銭面のみならず,信用をも失ってしまうという最悪の状態になりかねません。
とにかく自社の寿命を縮める結果に終わる危険性が強いため,慎重かつ冷静に判断をする必要があります。
売掛金や給付金などが入るまでの繋ぎで闇金から借りるというのも絶対にやめましょう。