司法書士の下東です。
闇金への支払が滞ると「完済和解」なるものの提案がなされることがあります。
どういう内容の和解になるかというと、闇金の言い値で一括して返済すれば今後嫌がらせや会社への連絡は一切しないというものです。
和解とは、当事者が互いに譲歩をしてその間に存する争いをやめることを約することです(民法第695条)。
しかしながら、完済和解は闇金にとって一方的に都合の良いものであり、業者側は何ら譲歩していないのですから本来和解とはいえません。
にもかかわらず、和解という響きに騙され穏便に解決が出来たつもりになってしまい、闇金の言いなりに完済和解に応じてしまっている被害事例が多くあります。
もっとも,完済和解によって解決に至るのであれば,方法の是非はともかくとして被害者本人さえ良ければ問題がないともいえます。
完済和解はうまくいかない
しかし、現実の闇金との完済和解はそううまくはいきません。
なぜなら,闇金からすれば,完済和解の提案に安易に乗る人は今後も騙しやすい相手というふうになりますから,完済和解の履行として支払を終えたあとも再度押貸しをして取引続行を強制させたり、別名目で更に恐喝まがいの請求をするという方向になりがちなのです。
実際,そういった被害は毎日のように全国で起こっています。
闇金の言いなりになってその場凌ぎに安易な判断をすると、被害が長期化したり、周囲に多くの迷惑をかけることになることが多いです。
闇金から完済和解のような怪しげな提案をされた場合は、それを鵜呑みにしないで司法書士や弁護士にまずは相談してみるべきです。
司法書士や弁護士から完済和解の提案をされたら
依頼した司法書士や弁護士から「
完済和解」の提案がなされることが近年増えているようです。
例えば,闇金から受取った額は2万円でこれまでに2万円以上支払済みなのに更に3万円支払って完済する和解です。
闇金にのみ有利で依頼者には不利な内容ですが,取立てが入るよりはいいでしょう等と言って和解を勧めてくるようです。
これではどちらの代理人か分かりません。
司法書士や弁護士が闇金に迎合し、相手方にとって一方的に有利な和解を組むなどというのは言語道断としか言いようがありませんが、残念ながらそういったことをやっている事務所は一定数あります。
大手消費者金融を対象とした任意整理等においても、業務を迅速に大量処理するために業者側の提案を丸呑みにして依頼者にとって決して有利といえない和解をいい加減に組む悪質な事務所は多数ありますが、その闇金対応版ということなのでしょう。
悪質なところになると、完済和解を勧めながら事実上強制させ、それでも断ると「取立てが止まらなくても知らない」などと言う事務所もあるようです。
もちろん個々の事情によりイレギュラーな和解をすることはあるでしょうが、
弁護士や司法書士が闇金に対する支払を推奨したり事実上強制したりするようなことはあってはならないことです。
また,「闇金の完済和解に応じても応じなくても良いが,応じない場合は取立がひどい」などと伝えて消極的同意を取り付けようとする弁護士や司法書士も悪質といってよいでしょう。
もしそういう事務所に依頼をしてしまったら、気が付いた時点で解任したい旨を伝え、それすら出来ないと言われた場合は司法書士会や弁護士会に対して当該資格者の懲戒請求することを検討されるべきです。