ヤミ金問題を解決したいと考えたとき,最初にどのような行動を起こしますか。
近隣の弁護士又は司法書士を調べて相談したり,役所・弁護士会・司法書士会の無料相談の活用,法テラスの利用等選択肢はたくさんありますね。
上記のどの手段を用いても構いませんから,ヤミ金被害に悩む方は早めに行動を起こして頂きたいと思います。
しかし,どういうわけか,上記のような専門家や公的機関に相談するのではなく,ヤミ金業者にどうしたらよいかと相談してしまい,その結果二次被害に遭う方がいます。
今回は,そうした例をご紹介します。
ヤミ金問題から派生する紹介屋被害
ヤミ金と一度でも関わりを持って個人情報を教えてしまうと,それ以降次々と融資勧誘の電話やメールが届くことは借入経験者であればほとんどの方がご存知でしょう。
また,それらの電話に混じって,必ず儲かるという怪しい投資話や,他のヤミ金から債権を買い取ったと称する架空請求業者,銀行口座や携帯電話の売買を持ちかける業者等様々な違法業者から連絡が入ることがあります。
さらに,1社あたり5000円で債務整理します等と勧誘する整理屋,確実にヤミ金問題を解決出来る弁護士・司法書士を格安で紹介するという紹介屋というのも存在します。
いうまでもなく,上記に挙げた業者は全て違法業者であると同時に,決してあなたにとって有利な結果は出ませんので関わらないでください。
とはいえ,ほとんどの方は上記の様な手口には騙されません。
突然かかってきた見知らぬ人からの電話を安易に信用する理由はありませんから当然のことですね。
しかし,これが,普段から親しみをもって接している人からの提案であればどうでしょうか。
親身に相談に乗ってくれるヤミ金
ヤミ金との取引が長期間に亘るとある種の信頼関係が生まれることがあります。
取引の実績が多くなれば信用が上がることから,一定の返済猶予や,金利を下げてもらえるなどの恩恵が得られたり,毎週の様に連絡を取ることから,ある程度打ち解けた間柄になるのです。
こうなってくると,相手が犯罪者であることを忘れてプライべートなことの相談や,他のヤミ金の返済に困っていることなどを話す方がいます。
すると「他のヤミ金を確実に整理する方法を教える」「裏で繋がっている弁護士(司法書士)を紹介する」「○○さんのことだから紹介料は3万円でいい」などと持ちかけられることがあります。
相手は住所も本名も分からないヤミ金です。
よって信用できるはずはないのですが,今まで親身にいろいろ相談に乗ってくれた人が自分を騙すわけはないと考えて信用してしまう方が相当数います。
さて,これに応じてしまうどうなるのでしょうか。
多くの場合,直接的な損害は紹介料と称して支払わされる数万円のみです。
そして,弁護士(司法書士)の紹介は受けられます。
ただし,それは事務所名と電話番号を教えられ,そこに電話して依頼するよう言われるだけです。
その際,「もう話は通してありますけど,表に出てくる人間はウチと裏で繋がっていることを知らないですから紹介であることは言わないでください」と念を押されます。
ところが,実際は裏で繋がっているという話は全くのデタラメで,紹介先の事務所はその様な事情は全く知ってはいません。
つまり,あなたは紹介料の取られ損ということです。
また,必ず,
「ウチの名前は出さずに他のヤミ金を整理してもらってください」
と指示されるので,紹介元のヤミ金のみは整理されず残ることになります。
結果,一時的には解決に向かう様に思われますが,1社のみとはいえ高利のヤミ金が残るのですから結局は生活は困窮したままであり解決に至りません。
得をするのは紹介元のヤミ金だけであり,あなたは何も解決出来ず問題を抱えたままとなります。
しかも,紹介を受けたことにより他のヤミ金をうまく整理できたと錯覚したままですから,紹介元の業者に恩義を感じてしまい,今まで以上にせっせと返済を続けるようになってしまう方もいます。
ヤミ金被害にはこのように,被害者の方が気が付かない被害もあります。
ヤミ金は犯罪者です。あなたにとって良き理解者,相談者とは成り得ません。