完済させない闇金の恐怖

公開日:2016/12/07更新日:2016/12/07

カテゴリー:相談員 タグ:

事務の横田です。

闇金と一括りにされる違法貸金業者のなかにも悪質性の強弱はかなりの差がありますし、手口も区々に分かれています。

なかでも特に悪質性の高い手口を使うのが完済させない闇金です。

当事務所でも完済させない手口の闇金には悪質性の高い業者が多いから特に気を付けてほしいという注意喚起をこれまで何度も行ってきました。

この手口がどんな深刻な被害を生んだのか、実際の事件を挙げて紹介したいと思います。
なお,具体的な手口は「完済させないヤミ金(090金融)」の記事をご覧ください。

「八尾ヤミ金融事件」

2003年に起こった「八尾ヤミ金融事件」は,完済できない闇金の被害者による心中事件です。大阪地裁(平成21.2.26)が認定した事実をもとにした概要は以下のようなものです。

・定年を過ぎ自己破産歴のある主婦Aは消費者金融などから借入れを行うことができず生活費の工面に苦しんでいたところ、ある日勧誘の来たXという闇金業者に融資を申し込んだ。闇金Xとの取引内容は、名目上元金は3万円だが利息・手数料を天引きした14,580円がAの銀行口座に振り込まれ、一週間後に利息15,000円、さらに一週間後に3万円で完済との約定だった。
 
・闇金Xへの利息支払期日が迫っていた頃Aのもとに別の闇金Yからの融資勧誘があり、それを闇金Xへの返済にあてようと申し込んだ。闇金Yは17,580円の貸付に対し一週間後に15,000円の利息もしくは35,000円での完済。
 
・闇金Yからの借入れで不足分を埋めたAは闇金Xに3万円を振り込んだが、Xは「完済する旨の事前連絡がなく完済とは認められない、差額はこちらで預かっておき完済出来たあとに返還するから、完済のためには来週再び同額を支払え」などと難癖をつけて完済させなかった。
 
・その後1ヶ月ほど同様の取引を続けていたが、ついに払いきれなくなったAに対し闇金Yは、金を返さないことを団地中に電話して言いふらすなどと脅した。Aは警察に相談し、警察署員から業者に対し警告してもらったが、それに逆上した業者は「振り込まなければどうなっても知らない。絶対に完済させない」などと脅し、更に支払いを続けさせた。
 
・最初の借入れから約1ヶ月半後Aは「もう払えない。これまでもう15万ほど払ったのだから完済にしてほしい。許してほしい」と懇願したが聞き入れず、さらに支払いを続けさせられた。
 
・その後闇金XはAの向かいの家に電話をかけて住人に対し電話口にAを呼び出させ,「団地中に電話して、Aが金を返さないから代わって払えと電話しまくる。払えないんだったら死んでみろ」などと脅し、Aは翌日さらに闇金Yに2万円振り込んだ。

・そして経済的にも精神的にも追い込まれたAは、遺書を書き残して夫・兄と共にJRの線路上で三人輪になってしゃがみ、向かってきた列車に轢かれ死亡した。

 

この事件はもう10年以上も前の事件ですが、いまだに闇金被害の最も深刻な事例の一つとして取り上げられます。

この闇金が用いた手口がまさに‟完済させない”というもので、その内容は現在もまったく変わっていません。

完済させない闇金業者は上記のような恐喝行為をいまでも行い,被害者を生み続けています。

「八尾ヤミ金融事件」のような凄惨な事件は現在でも常に起こりうる事件ですし,報道されないだけで他にも多数発生しているものと考えられます。

事態が深刻になる前に専門の機関に相談し,早期解決をしなければなりません。

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