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ヤミ金に携帯電話を譲り渡す行為は犯罪です|闇金情報ブログ

投稿日:2014.01.06

最新更新日:2018.11.19

司法書士

ヤミ金に携帯電話を譲り渡す行為は犯罪です

司法書士の下東です。 ヤミ金を廃業に追い込むためには彼等の利用する道具の調達ルートを断つことが有効です。 ヤミ金の利用する道具とは,

  • 他人名義の携帯電話
  • 他人名義の銀行口座
  • 債務者のリスト
の3点のことです。 上記のうち,「債務者のリスト」の調達ルートを断つということは事実上困難でしょう。 一度流出した情報を取り戻すことは出来ず,非合法に営業しているいわゆる名簿屋に対し情報の削除を求めることも事実上不可能といえるからです。 一方,他人名義の携帯電話又は銀行口座は,その調達ルートを断つ,あるいは絶つまではいかなくとも減らすことは十分可能です。 しかし,実際には自己名義の携帯電話を安易にヤミ金業者へ渡してしまう方がいます。 今回はこのことの問題点について取り上げたいと思います。

携帯電話を売るアルバイト

ヤミ金が他人名義の携帯電話(トバシとか,トバシの携帯と呼ばれています)を調達する手段として最も多用しているのは,債務者等から調達する方法です。 リストに載っている者に片っ端から電話をし,「数万円になるおいしいアルバイトがある」などと持ちかけて,携帯電話を複数台契約させ,それをどこかの私設私書箱に送らせるのです。 これは通常携帯電話1台につき1万~2万円程度で取引されていますので,複数台売ればそれなりの収入にはなるようです。 ただし,携帯電話を送らされただけで,代金は受け取れないという詐欺も多発していますので,まとまった収入になるのならと安易に考え,携帯電話を売ることは絶対に止めてください。 また,携帯電話を売る行為は犯罪に該当する可能性もあるのです。

携帯の売買は違法行為

携帯電話を売買する話をヤミ金から持ちかける際は, 「リスクは全くない割のいいバイト」 「携帯本体の代金はこちらで払うので携帯会社からの請求書は無視して良い」 「受け取った携帯電話は違法なことには使わない」 「たくさん契約すれば数十万円儲かる」 などと調子のいいことばかり言うようです。 このような口車に乗せられてはいけません。 携帯電話代金を支払うつもりも,ご自身で使用するつもりもなく,転売目的で携帯電話の契約をすると,販売店に対する詐欺が成立する可能性があります。

携帯電話不正利用防止法違反にも

また,携帯電話不正利用防止法(携帯音声通信事業者による契約者等の本人確認等及び携帯音声通信役務の不正な利用の防止に関する法律 平成17年4月15日法律第31号)違反に問われる可能性もあります。 携帯電話不正利用防止法については全くご存知ないという方もいらっしゃるでしょうから,条文を挙げておきます。
携帯電話不正利用防止法 第20条第1項 第7条第1項の規定に違反して、業として有償で通話可能端末設備等を譲渡した者は、2年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。 第7条第1項 (譲渡時の携帯音声通信事業者の承諾) 契約者は、自己が契約者となっている役務提供契約に係る通話可能端末設備等を他人に譲渡しようとする場合には、親族又は生計を同じくしている者に対し譲渡する場合を除き、あらかじめ携帯音声通信事業者の承諾を得なければならない。
通話可能端末設備等とは,通話可能な状態の携帯電話その物とSIMカードのことです。 つまり,携帯電話不正利用防止法では,携帯音声通信事業者(docomoやauのこと)の承諾を得ずに,自己名義の携帯電話を有償譲渡する行為を禁じています(ただし,「業として」とあり,これは一般に反復継続する意思をもってすることと解されているので,これに当たらなければ同法違反とはならない)。 よって,携帯電話を売買する行為は,ヤミ金が説明するようなリスクのないアルバイトではなく,れっきとした犯罪行為なのです。 「知らなかった」では済まされませんから,数万円に釣られて人生を棒に振るようなことをしないようにしてください。 また,請求書は無視して良いという話も信用してはいけません。 この手の業者が代金を支払っておいてくれるということはまずありません。 全額あなたに対して請求が来ますし,未払いでいれば訴訟を起こされるリスクもあります。 さらに,違法なことに使わないというのは100%嘘です。 あなたが売った携帯電話は,確実にヤミ金や振り込め詐欺,還付金詐欺等の犯罪に使われます。 場合によっては,後日警察から事情を聴くため連絡が入ることもあります。

まとめ

上記述べたとおり,携帯電話の売買は1台1万~2万程度のリターン(又は騙し取られてしまいゼロ)に対し,極めてハイリスクな行為です。 また,ヤミ金等の犯罪者に道具を提供するということは,あなたが犯罪被害を助長しているのだともいえます。 被害者であった方がいつの間にか加害者側に回ってしまったということにならないようご注意ください。