司法書士の下東です。
カラ貸し(空貸し)という手口をご存知でしょうか。
カラ貸しとは,ここでご紹介するからにはもちろんヤミ金の手口のひとつでありますが,どちらかというと詐欺に近いものであり,架空請求業者のくくりに入れるべきものかも知れません。
このカラ貸しには以前の借り入れ履歴を利用して請求をかけてくるタイプと融資申し込みをしたら請求をかけてくるタイプの2つの手口があります。
以前の借入履歴を利用するカラ貸し
ヤミ金は,名簿屋といわれる顧客情報を集めている業者から情報を買っています。
そうして大まかな顧客情報を把握し,融資勧誘の電話やメール送信,ダイレクトメールの郵送を行うわけですが,その際に金を貸すつもりなくコンタクトを取ってくる業者がカラ貸しです。
カラ貸しは,主に電話で連絡を取ってきます。
そして,
「あのときの債務が残っているから連絡しました。覚えていますよね?」
とやるわけです。
すると身に覚えがある正直な方などは,
「もしかして1年前にお付き合いしていたタナカさんですか?」
と答えてしまいます。
すると,
「そうですタナカです,あのときのが残っているの分かっていますよね。実は延滞料込でかなりの金額になっています。だけど今までの付き合いもあることだし,すぐに支払ってくれるのなら10万円で手を打ちますよ」
などと持ち掛けてきます。手持ちがそんなにないからと答えるとじゃあ手持ちの金額だけ振り込んでくださいとすぐの振り込みを要求してきます。
とにかく,あまり考える時間を与えないのがこの手口の特徴です。
少し考えればおかしいということに誰でも気付きますから。
そして,相手が気が付かなければしっかりと支払いさせようとしてきますが,気付かれてしまってからはあまり深追いしてこないのもこの手口の特徴でしょう。
ただし,なんだ架空請求ではないかと問い詰めるようなことをすれば,相手は違法業者ですからなんだかんだと因縁を逆に付けられて嫌がらせを受けることになりかねません。
カラ貸しだとお気付きになったのであればそれ以降電話に出ないことをお勧めします。
融資申し込み後のカラ貸し
融資の申し込みのため,自己の個人情報を全て話してしまった後に,法外な利息を要求して融資申し込みを撤回させるように仕向け,それならば迷惑料を支払えだとかもう貸したも同然だから利息を払え等と脅してくる手口です。
そんなものには応じる必要ないから無視すれば良いだろうと思うかもしれませんが,融資申し込みの際に勤務先などの連絡されたくない電話番号を教えてしまっているので始末に困るのです。
カラ貸し業者は,次のように迫ってきます。
「返さないつもりならそれでもいいが,あなたの職場にヤミ金だと言って連絡しますよ」
ヤミ金と名乗る者から会社に連絡されてしまっては社内での信用は地に墜ちること確実です。
また,この手の業者が請求してくる金額は最初は2,3万円程度と比較的少額です。
会社に連絡されてしまうくらいなら払ってしまおう・・・
この様に考え,支払いに応じてしまう方が相当数います。実際に借りていないことは確かだが少なくとも融資の申し込みはしたという負い目があることも支払いに応じてしまう理由のひとつであるようです。
しかし相手は犯罪者です。
犯罪者に対し弱みをさらけ出してただで済むものでありません。
(会社に連絡すると脅せばさらに金を搾り取れる)
このように思われ,更に恐喝されることになります。
まとめ
今回はカラ貸し被害についてご紹介しました。
カラ貸し業者は,被害者の方の無知に乗じたり弱みに付け込んで不当な請求を繰り返す悪質業者です。
このような悪質業者に一度でもお金を払ってしまうと,いいカモと思われて何度も何度も繰り返しお金を請求されることになりかねません。
少しでもおかしいなと思ったら,迷わず警察や司法書士・弁護士などの専門家に相談されることをお勧めします。