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ヤミ金への口座売買・譲渡は何罪で逮捕される?Part.2―犯罪収益移転防止法の概要
|闇金情報ブログ投稿日:2025.07.24
最新更新日:2025.10.27
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ヤミ金への口座売買・譲渡は何罪で逮捕される?Part.2―犯罪収益移転防止法の概要
目次
融資を受けるためにキャッシュカードを郵送してしまった——
返済の代わりに使っていない預金口座を渡してしまった——
このような例が後を絶ちません。
これら口座の譲渡は、渡した側が逮捕・処罰されてしまう恐れがある危険な行為です。
このページでは、闇金など違法業者へ自身の口座を渡してしまった場合、どのような法律に違反するのかという点を解説します。
闇金に口座を渡すのは犯罪

振り込め詐欺などを行う違法業者が通帳やキャッシュカード、ネットバンキングのログイン情報などを要求し、口座の譲渡・買取を持ち掛けることがあるというのは、近年メディアでも多く取り上げられているため、よく知られていることだと思います。
不正な目的で他人名義の口座を入手するのは犯罪であり、このような口座の譲渡や買取を持ち掛けてくる者はすべてが違法業者です。
これには口座買取を専門に行う業者もありますが、詐欺業者や闇金が直接被害者などから口座を入手することもあります。当然ながら口座は不正に利用され、闇金の返済先や特殊詐欺の振込先として悪用されることになります。
一方で、違法業者に口座を渡すことも犯罪になってしまうことには注意が必要です。
口座を渡すのは通常は開設した名義人本人です。これによって、特に詐欺業者や闇金業者などの犯罪組織の一員ではない一般人が逮捕されてしまう例が多発しています。
近年では、X(旧Twitter)で募集されている闇バイトの一つとして、口座の譲渡を持ち掛けるケースもあります。
口座の譲渡によって逮捕されるという危険は、私たちのごく身近に迫っているのが現状なのです。
闇金など違法業者へ口座を譲渡すると、どのような罪に問われるのでしょうか?
該当する法律の条文を以下に詳しく説明します。
犯罪収益移転防止法について

口座の譲渡が犯罪になるというのは、犯罪による収益の移転防止に関する法律(犯罪収益移転防止法、犯収法)という法律に定められています。
また口座の不正譲渡は犯収法以外に、刑法の詐欺罪(246条)に該当する場合があり、これは不正に譲渡する目的で新たに口座を開設したケースが該当します。この場合は銀行に対する詐欺が成立することになります。
闇金に口座を売買・譲渡すると——
🔵犯罪収益移転防止法違反
🔵詐欺罪
今回このページでは、前者の犯罪収益移転防止法について説明します。
🔗ヤミ金への口座売買・譲渡は何罪で逮捕される?Part.1―詐欺罪の概要と逮捕リスク
犯罪収益移転防止法はどんな法律?
そもそも犯罪収益移転防止法は、正確には犯罪による収益の移転防止に関する法律といい、マネーロンダリング・テロ資金供与防止のため、資金面から犯罪組織、犯罪行為の撲滅を目指すことを狙いとして2007年に成立しました。
この法律は、特定の事業者に、その顧客の本人特定事項の確認、取引記録の保存、疑わしい取引の届出などの措置を講ずることを義務付けることで、犯罪による収益が組織間で移転することを防止するものです。
犯収法の沿革は?
もともとは麻薬特例法や組織犯罪処罰法、テロ資金提供処罰法などで、金融機関への疑わしい取引の届出や、金融機関等本人確認法での顧客の本人確認やその記録の保存等が義務付けられていました。そして本人確認などを講ずるべき事業者の対象も金融機関に限らず、宅建業者や貴金属・宝石商、郵便物受取サービスや電話代行サービスなどに拡大され、その中には電話転送サービス事業者も含まれます。ちなみに弁護士や司法書士も含まれています。
これらを踏まえ、本法によってマネロン・テロ資金供与防止の強化に向けた統一がなされた形です。
その中で、金融機関等本人確認法にて定められていた口座の譲渡に関する規定が、犯罪収益移転防止法に引き継がれることとなったのです。
そして、この法律の第28条には口座の譲渡・譲受けに関する規定が存在します。
この規定について詳細をみていきましょう。
法28条1項、2項
まず、該当する条文を以下に掲載します(非常に分かりにくいので、一部フォントを変えて表示しています)。
犯罪収益移転防止法第28条
1項 他人になりすまして特定事業者(第二条第二項第一号から第十五号まで及び第三十七号に掲げる特定事業者に限る。以下この条において同じ。)との間における預貯金契約(別表第二条第二項第一号から第三十八号までに掲げる者の項の下欄に規定する預貯金契約をいう。以下この項において同じ。)に係る役務の提供を受けること又はこれを第三者にさせることを目的として、当該預貯金契約に係る預貯金通帳、預貯金の引出用のカード、預貯金の引出し又は振込みに必要な情報その他特定事業者との間における預貯金契約に係る役務の提供を受けるために必要なものとして政令で定めるもの(以下この条において「預貯金通帳等」という。)を譲り受け、その交付を受け、又はその提供を受けた者は、一年以下の拘禁刑若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。通常の商取引又は金融取引として行われるものであることその他の正当な理由がないのに、有償で、預貯金通帳等を譲り受け、その交付を受け、又はその提供を受けた者も、同様とする。
2項 相手方に前項前段の目的があることの情を知って、その者に預貯金通帳等を譲り渡し、交付し、又は提供した者も、同項と同様とする。通常の商取引又は金融取引として行われるものであることその他の正当な理由がないのに、有償で、預貯金通帳等を譲り渡し、交付し、又は提供した者も、同様とする。
3、4項 (略)
口座譲渡の意味➤「預貯金通帳等」
まず、口座の譲渡というのはどういうことなのか、というところから検討します。
条文中で「預貯金通帳等」の内容について、長くて分かりづらいのですが、以下のように定められています。
つまり、通帳やキャッシュカード、そして、暗証番号やネットバンキングにおける個人識別番号やパスワードなど、預金を下ろしたり振り込んだりする際に必要な物や情報のことを「預貯金通帳等」と呼んでいます。
口座を譲渡するというのは、預貯金通帳等を譲渡・譲り受け、交付、提供することを意味します。
すなわち、口座を利用するために必要な物品の占有を移転したり、情報を相手方に教示したりすることと言えるでしょう。
譲渡の方法➤「譲り受け・譲り渡し」「交付」「提供」
そしてこれらを「譲り受け(譲り渡し)」、「交付」、「提供」するという3つの行為が挙げられていて、これらは預金通帳等の種類や譲渡の態様によって区別されています。
具体的には——
🟢レンタルなどで通帳やキャッシュカード、印鑑の「交付」
🟢暗証番号、ネットバンキングにおける個人識別番号やパスワードなど口座の利用に必要な情報の「提供」
こういった具合に表現が区別されています。
なお、これらのいずれかがなされれば本罪が成立し、必ずしも一つの行為でお金の引出し等ができなくてもよいと考えられます。
暗証番号が分からずにお金が引き出せない場合であっても、キャッシュカードを譲り受ければ本罪が成立することになります。
行為主体の違い➤1項と2項の違い
「預貯金契約に係る役務の提供を受けること」というのはつまり、(名義人になりすまして)口座からお金の引出し、振込み、預入れなどを行うことをいいます。
1項では預貯金通帳等を譲り受けたりすることが、処罰の対象とされています。
そして同じく、預貯金通帳等を譲り渡したりすることが、2項で処罰の対象とされています。
一般的に、譲り受けるのは不正に利用しようとする違法業者側、譲り渡すのは口座名義人など一般個人であることが多いです。その中には闇金から借りている人や自身の口座を詐取されようとしている人など、被害者の立場にある人の場合も多いです。
例:闇金や口座買取業者など違法業者
🟢2項:預貯金通帳等を譲り渡し等⇒口座を渡す側。
例:闇金被害者や闇バイトに応募する一般人
不正利用目的➤「他人になりすまして」
闇金や振り込め詐欺業者は、ほとんどすべてが不正に入手した他人名義の口座を使用してお金のやりとりを行います。
すなわち、名義人になりすましてお金を振り込んだり、引き出したりして口座を不正利用するわけです。
1項では、このように他人になりすまして利用する目的をもって口座を入手することを処罰するものです。もっと具体的には、名義人のふりをして、自分のために利用する目的のことをいいます。
2項では、そのようななりすまし目的で利用するという事情を知りながら口座を譲渡することが処罰されます。つまり渡す相手が、名義人である自分のふりをして口座を使うのだということを知っていればこれに当てはまります。
したがって通常、口座からお金を引き出したりできるのは名義人本人のみに限定され、代理人等が行う場合は別途金融機関所定の手続きが必要になります。
こういった口座の利用規約に違反すると取引停止や解約になる可能性があります。
自分名義の口座を他人に渡す時点で、自分になりすまして他人がその口座を利用することになるのは分かりますし、通常名義人本人しか利用できないものですから、事情を知っていなかったと弁明するのはまず困難といえるでしょう。また、誰が、いつ、どのように利用するかといった具体的なことまで認識している必要はないものと解されます。
有償譲渡➤「正当な理由」なく「有償で」
さらに、1、2項の後段の「正当な理由がないのに、有償で、」というのは、対価の約束を伴った口座の売買やレンタル行為を想定しています。
有償の場合は他人になりすます目的の有無を問わず処罰対象となります。
自ら口座を開設せず、あえて対価を払ってまで他人から口座を買い取ろうとするのは極めて不自然な行動であり、無償の場合と比較しても不正利用の目的が強く疑われることが理由であると考えられます。
一方で、「正当な理由がないのに」という要件が定められています。
口座の譲渡が有償で行われる場合、通常の商取引や金融取引などの正当な理由があれば処罰の対象とはなりません。
したがって現実的にはこの要件が問題となる場面はごくわずかであり、通常は「正当な理由なし」と判断されるでしょう。
刑罰の内容➤口座を受け取っても渡しても処罰
以上をまとめると、犯罪収益移転防止法第28条では、第1項で口座を受け取った側、第2項で口座を渡した側が処罰の対象になります。違法な口座買取業者の例に当てはめると、第1項では口座買取業者、第2項では口座を売った一般人が処罰されることになります。
つまり、口座を受け取った側も渡した側も、両方が処罰されることになっているのです。
処罰の内容は、以下の刑罰のいずれかまたは両方が科せられます。
🟢100万円以下の罰金
また、前述のように口座譲渡目的で新たな口座を開設し、それを譲渡した場合は、刑法246条詐欺罪も加わります(併合罪)。
詐欺罪は10年以下の拘禁刑ですから、この場合は上記以上の刑罰が科せられる恐れがあります。
闇金の被害者なのに逮捕される危険性

利息免除の見返りに口座を要求される
例えば闇金から借入れがあって返済ができない時に、返済の代わりに口座を渡せと要求されることがあります。
口座を渡してしまうと、闇金の被害者でありながら逮捕され、処罰されてしまう危険性があるのです。
最近でも以下のような事件が報道されています。
ネット口座を不正譲渡、被告に判決 那覇地裁 沖縄
2022年12月から23年10月にかけてネットバンキングの口座を不正に開設し、他人に譲り渡したとする犯罪収益移転防止法違反、詐欺の罪に問われた八重瀬町のコールセンター従業員の被告(34)に那覇地裁(加藤貴裁判官)は28日、懲役2年執行猶予3年(求刑懲役2年)を言い渡した。
加藤裁判長は判決理由で、犯行は、借入先の「ヤミ金融業者」からの「利息免除や新たな借り入れの見返り」のためだったと指摘。当時、自治体職員だった被告が離婚後に子どもと同居していた公営団地からアパートに転居したことで「生活費に事欠くようになりヤミ金融に手を出した」とした。
「家族の支援が十分期待できる」とし、前科前歴がない点も踏まえて執行猶予判決とした。※琉球新報 2025年03月30日 05:00配信より
https://ryukyushimpo.jp/news/national/entry-4105897.html
この報道によれば、ネットバンキング口座の不正な開設による銀行に対する詐欺罪、口座を譲り渡した犯罪収益移転防止法違反で訴追されています。
執行猶予付きではあるものの、懲役2年というのは決して軽いものではありません。
自らも闇金被害者でありながら罪にも問われるという悲惨な状況です。
しかも当の闇金業者は足がつかないように活動していることから逮捕されるのは稀で、顧客が逮捕されようがどこ吹く風で、のうのうと活動しているケースが非常に多いです。
闇金利用者の多くが巻き込まれる恐れ
実際このように闇金から利息の免除や新たな融資の見返りに銀行口座を要求されるのはよくあることであり、闇金から借りた方の多くがこのような事件に巻き込まれる危険性があります。
特に返済が大変難しく、取立ての不安を抱えている状況でこのように持ち掛けられると、やむにやまれず口座を引き渡してしまうということもあり得ます。
闇金の回収はそれほど恐ろしいものであり、犯罪を犯してでも厳しい取立てから解放されたいと考えてしまうくらい厳しい状況になってしまうこともあるほどです。
上記報道記事の被告人は、前科前歴もないごく普通の生活を送る一般人のようですが、闇金からお金を借りたことをきっかけに歯車が狂い始め、このような悲惨な結末を迎えるに至ったことが分かります。
執行猶予判決ということが不幸中の幸いと言えるかもしれませんが、それでも裁判の結果は有罪なのであり、前科がつくことには変わりないのです。
また、今後新たに銀行口座の開設が出来なくなったり、現在使用中の口座が凍結されてしまったりするなどの不利益も受ける恐れがあります。
その後の人生のあらゆる場面に大きな影響が及ぶことになる可能性があります。
口座譲渡の闇バイトにも注意

闇バイトといえば、振り込め詐欺の受け子やかけ子などが一般に有名ですが、実際にはとても多くのバリエーションがあります。
近年ではX(旧Twitter)やInstagramなどSNSにおける闇バイトの募集が社会問題になっていて、その中には自身の口座を渡したり、口座をマネーロンダリングに利用させるなどの闇バイトも存在します。
振り込め詐欺や闇金では、お金を振り込ませたりするための預金口座が必要になるので、かねてより口座は非常に重要なツールの一つでした。振り込め詐欺や闇金では、俗にカモリストと呼ばれる顧客リストと、他人名義の携帯電話、そして他人名義の預金口座が俗に"三種の神器"と言われるほど重要なツールとされていました。
現在でも金融犯罪に関わる違法業者は常に他人名義の銀行口座を必要としていて、口座の買取はかなり盛んに行われている状況です。
買取の価格も1つ数万円ほどになることがあり、使っていない口座だからといって買い取ってもらおうと考えてしまうことがあるかもしれません。
しかしながらその金額に見合わない大きな不利益を受けることになり、前述のとおり今後の人生にも大きな影響を及ぼす結果になる恐れがあります。
その代償は大きい―口座譲渡は絶対ダメ!

前述のとおり、口座譲渡により犯罪収益移転防止法で科せられる刑罰は、1年以下の拘禁刑もしくは100万円以下の罰金(またはこれの併科)です。
刑事訴追され有罪になれば前科がつきますし、今後は預金口座を持てなくなるなどの重大な不利益を受ける可能性があります。
これらによって仕事も退職に追い込まれてしまったり、就職の際に支障が出たりと、想像以上に深刻な状況に陥ることも珍しくありません。
口座の譲渡や売買は犯罪であり、実際に逮捕されるケースも多発しています。口座を譲渡した代償は極めて大きいものであるということは、しっかり認識しておかなければなりません。
本当に大変な状況に陥ってしまいますので、どれだけ苦しい状況であっても絶対に手を出すのはやめていただきたいです。
そして、返済が苦しい状況で闇金から口座の譲渡を要求されている方は、司法書士や弁護士、警察などに早急に相談し、取り返しのつかない状況にならないうちに縁を切りましょう。








