違法業者へ口座を譲渡したということで信用金庫職員の女が逮捕されたニュースが先日報道されました。
概要は以下のとおりです。まずは記事を引用します。
信金職員の女、不正に口座開設しカード詐取
振り込め詐欺の被害防止を呼びかける立場の信用金庫職員の女が、他人に口座を売る目的で不正に銀行口座を開設し、キャッシュカードをだまし取ったとして逮捕された。
警視庁によると、福島県広野町に住む信用金庫職員の田中遥容疑者は去年７月、闇サイトで口座を売るためにスマートフォンから銀行口座の開設を申し込み、キャッシュカードをだまし取った疑いがもたれている。
田中容疑者は、実際に口座を闇サイトで売ろうとしたものの、相手にだまし取られ、その後、都内の高齢女性が被害にあった特殊詐欺事件でその口座が振込先として使われたため発覚した。
調べに対し、田中容疑者は「借金の返済のためにやった。これまでにいくつか口座を売りました」と容疑を認めているという。
※出典：NNN 日テレNEWS24〔http://www.news24.jp/articles/2020/02/20/07598268.html〕2020/2/20 22:32配信
女は，他人に銀行口座を譲渡するために口座を開設して売ろうとしたところ，相手に口座をだまし取られた上，その口座が悪用されたことで犯行が発覚して逮捕されるに至ったようです。
逮捕された容疑は，闇サイトで知り合った人物に譲渡する目的で口座を開設し，銀行からキャッシュカードをだまし取った疑いであり，詐欺の疑いがあります。
ただ，逮捕された女も，闇サイトで知り合った人物に口座をだまし取られたようであり，まさに踏んだり蹴ったりという状況といえます。
おそらくは，今回逮捕されたのが，口座の不正利用を予防すべき信用金庫に勤めている者だったために全国に報道されたのかもしれませんが，実際このようなケースは報道されないだけで，現在も頻発しているものといえます。
上記記事は闇サイトがきっかけになっていたようですが，次に掲載する記事のようにTwitterなどSNSをきっかけに口座を渡すケースも多くなっています。
転売目的で銀行口座開設か SNSに「買いませんか」
自分の銀行口座をSNSで売ろうとしていました。山本翔麻容疑者（27）は先月、千葉県市川市にある銀行に自分が利用すると嘘を言ってキャッシュカードを作らせ、だまし取った疑いが持たれています。警視庁によりますと、山本容疑者はツイッター上に「口座を買ってくれませんか」と投稿していました。その後、連絡を取った見知らぬ男にキャッシュカードを奪い取られてしまったため、再度、銀行に行って紛失したと嘘をついて再交付させていました。取り調べに対し、「5万円くらいで売れると思った。金が稼ぎたくてやった」と容疑を認めています。
※ＡＮＮテレ朝ニュース〔https://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000176266.html〕2020/02/14 19:55配信
TwitterなどSNSやネット掲示板では，違法な口座買取の書き込みが溢れていて，#口座買取とか#口座売買などのハッシュタグでも多くの買取業者が見つかります。
「不要な口座買い取ります」などと宣伝する者が多い一方，この記事のように，「口座売ります」といった投稿も目立ちます。
プロの犯罪者ではない，一般の人でも，小遣い稼ぎの感覚で口座を売ってしまうという例も非常によく聞かれます。
口座の売買は非常に危険！絶対にしないでください
これらの記事のように，結局は口座の買取業者にキャッシュカードをだまし取られただけに終わったという話はよく耳にします。
その手口は，単に買取代金を送金せずに連絡を取れなくして逃げるというものの他にも，融資するための担保として口座を送らせ，結局融資は行わずにそのまま逃げるというものもあります。
このように買取詐欺業者にだまされて譲渡してしまったという事情があっても，口座の不正な譲渡は，詐欺罪や犯罪収益移転防止法違反により処罰される恐れがあります。
罪に問われるとは知らずに渡してしまったという話もよく聞かれますが，口座譲渡は非常に危険な行為です。
だまし取られた挙句に逮捕までされてしまったという酷い目に遭ってしまう危険性がありますから，口座の売買は絶対にしないでください。
