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【ニュース】闇金に携帯電話SIMカードをレンタルした会社の代表が逮捕|闇金情報ブログ
投稿日:2018.05.23
最新更新日:2019.10.04
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【ニュース】闇金に携帯電話SIMカードをレンタルした会社の代表が逮捕
しもひがし法務司法書士事務所相談員の横田です。
闇金に携帯電話のSIMカードを貸与した会社の代表が逮捕されたというニュースが報じられました。
最近ではトバシの携帯にもレンタル携帯電話やレンタルSIMを利用する闇金がとても多いため,闇金と深い関わりを持つレンタル携帯会社に対する取り締まりも闇金撲滅には重要な対策となっています。
数年前からの振り込め詐欺の急増に伴い様々な法整備がなされていますが,いまだに野放しにされている状況といえます。
現在レンタル携帯会社への規制はどのようになっているのかを挙げてみます。
レンタル携帯業者逮捕の概要
闇金にSIMカードをレンタルした会社の代表者が逮捕されたという,今月15日に報じられたニュースは次のようなものです。 以下に引用します。
SIMカード不正貸与容疑=会社代表逮捕、ヤミ金悪用か-福岡県警本人確認をせずに携帯電話の通信に必要なSIMカードをヤミ金融業者に貸し出したとして、福岡県警生活経済課などは15日、携帯電話不正利用防止法違反の疑いで、携帯レンタル会社代表を逮捕した。容疑を認めているという。
逮捕容疑は2015年6月30日から同年7月29日ごろ、氏名や住所などの本人確認をしないまま、福岡市のヤミ金融業者に、SIMカード1枚を有償で貸した疑い。
同課によると、容疑者は13年からの約5年間で、約1億3000万円を売り上げていた。大半は本人確認をせず電話注文だけでSIMカードを貸与。うち260回線が全国のヤミ金融業者に悪用されていたほか、一部は偽電話詐欺に使われていたという。
※時事ドットコム(時事通信社)https://www.jiji.com/jc/article?k=2018051501024 2018/05/15 17:46配信
このレンタル会社は闇金や振り込め詐欺,架空請求など違法業者にも多数電話を提供していたようです。
260回線という数もさることながら,5年で1億円以上の収益があったと聞くと,こういった業者がどれほど犯罪組織と深い関わりを持っているのか,どれだけ多くの犯罪収益が流れているのかということに驚かされます。
闇金でも人気のレンタル携帯
闇金の使ういわゆるトバシ携帯電話は,一般人から不正に買い取ったものや騙し取ったものが一般的ですが,闇金はレンタル携帯電話を用いることもかなり多いです。
半月から1か月程度でレンタル会社へ返還されることもあり,足がつかないようにする手段としては便利ですし,調達のコストも低く抑えられます。
このブログでも,闇金の使用する多数の電話番号を掲載していますが,同じ電話番号が数ヶ月には別の闇金に使用されていることがよくあります。
当事務所で取り扱った事案で,非常に悪質な闇金ということで当事務所でも警察と協力し,その闇金の使う電話番号の回線を止めたのですが,半年ほど経ったころ全く同じ番号で,全く異なる闇金が使用していたという事例がありました。
一旦はその番号に電話をかけても「現在使われておりません」というガイダンスになっていたのですが,数か月後には普通に使用されていました。
しかも,以前回線を止めた際の闇金業者からは,当事務所がその業者へかけたときの電話番号のいくつかが闇金側から着信拒否されてしまったのですが,半年後全く別の闇金業者へ同一番号からかけた際も着信拒否設定のままになっていて,当方の別の番号からかけると普通に繋がるようになっていました。
電話番号のみでなく,端末やSIMカードも同一のものであった可能性がありますので,恐らくは同一のレンタル携帯会社から貸与されたものと思われます。
携帯電話不正利用防止法違反
今回の逮捕では,携帯電話不正利用防止法(正式には「携帯音声通信事業者による契約者等の本人確認等及び携帯音声通信役務の不正な利用の防止に関する法律」)という法律に違反する容疑がかけられています。
この法律は,平成15年ころからオレオレ詐欺や架空請求など振り込め詐欺が急増し,その道具として契約者の特定ができない携帯電話が頻繁に利用されていたことへの対処として,平成17年に制定された法律です。
携帯電話の契約をする際や譲渡する際,携帯電話の事業者に対して利用者の本人確認の義務づけや無断譲渡を禁止することなどが定められました。
そして本人確認はレンタル携帯会社が端末を貸し出す際にも義務付けられることになっています。平成20年12月施行の改正では,レンタル会社への本人確認義務が具体化・厳格化されるとともに,SIMカードの無断譲渡の禁止も盛り込まれました。
この法律に基づき,携帯電話が犯罪行為に利用されているおそれがあると警察が判断した場合,警察署長から携帯電話事業者に対して本人確認をするよう要求し,携帯電話事業者が本人確認ができなかった場合に,利用停止の措置を執ることができる仕組みになっています。
この法律では,契約時に虚偽の氏名・生年月日・住所を申告した利用者や事業者の承諾を得ずに自己名義の端末を譲渡した利用者への処罰が規定されていますが,携帯電話のサービスを提供する事業者に対しても一定の義務や罰則が科されています。
携帯電話事業者が本人確認をせず契約や譲渡をしていたということが判明すると,総務大臣から是正命令が発せられ,命令に従わなければ罰則が科されます。
その一方でレンタル携帯会社の場合は,本人確認義務の違反があった場合このような行政指導や処分なく罰則が科されるため,今回の事件のような本人確認をせずにSIMカードを貸し出す業者についてはただちに処罰されることになります。そして,代表者に対する処罰のみならず会社に対しても罰金が科されることもあります。
今回報じられた逮捕は,このような処罰規定によるものと思われます。
闇金とつながったレンタル携帯会社も
一部レンタル携帯会社の中には,このように闇金などの犯罪組織と深い関わりを持つ会社が存在します。
私たち一般人の感覚としても,このレンタル会社は,貸与時の本人確認を怠ったから逮捕されたのだ,というよりも,闇金に道具を提供し,違法な貸付けや取立ての手助けをしたから逮捕されたのだと認識する方が正しいというべきでしょう。
このような悪質レンタル携帯会社は,実態としては闇金のグルであり,闇金と同等の制裁が加えられるべき存在です。
今回の事件報道では携帯電話不正利用防止法違反での逮捕となりましたが,もし貸し出していた闇金業者との抜き差しならない関係が明らかになった場合,更なる厳しい追及がなされることでしょうし,より大きな事件に発展する可能性もあるでしょう。
更なる罰則の強化や取締まりの強化が図られることを期待したいところです。