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闇金がらみの自己破産 - 通帳添付の注意点(上申書ひな形付)|闇金情報ブログ

投稿日:2025.06.17

最新更新日:2025.06.19

司法書士

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闇金がらみの自己破産 - 通帳添付の注意点(上申書ひな形付)

闇金がらみの自己破産 - 通帳添付の注意点(上申書ひな形付)

司法書士の福井です。

 

当事務所では闇金事件を主に取り扱っていますが、正規の貸金業者を対象とする任意整理や自己破産など通常の債務整理についてもご相談を承っております。

 

このうち、自己破産の手続きについては地方裁判所に申立てを行う必要がありますが、申立ての際には様々な書類を収集して添付する必要があります。

 

その添付書類のうち、代表的なものの一つが預金通帳の写し(コピー)です。

 

自己破産は清算手続きですので資産に関する資料も提出する必要がありますが、預金口座の入出金履歴は資金の流れを把握して破産の判断をするための重要な資料となりますし、その残高は預金債権として代表的な資産ともなりますので、預金通帳の写しなど入出金履歴の提出が求められているのです。

 

この点、一般的な自己破産手続きであれば預金通帳の写しを提出するだけで特に問題はありませんが、闇金と取り引きのある人が闇金以外の負債が原因で自己破産の申し立てを行う場合(たとえば消費者金融やクレジット会社の負債が原因で自己破産する人が、過去に闇金とも取引があった場合など)、銀行口座の入出金履歴を提出するうえで若干の注意が必要です。

 

そこでこのページでは、自己破産の申し立てをする人が過去に闇金とも取引があった場合において、申立の添付書類として預金通帳の写し(コピー)を提出する際に具体的にどのような点に注意する必要があるか、簡単に説明することにいたしましょう。

 

闇金が関係する自己破産では個人名義の入出金を説明する必要がある

闇金業者(先払い現金化業者も含みます)と取引のある(取引のあった)人が自己破産の申立書に預金通帳の写し(コピー)を添付する場合、まず注意しなければならないのが、闇金との取引にかかる入出金履歴をすべて説明する必要がある点です。

 

自己破産の申立書に添付する通帳の履歴は資産に関する資料の一部となりますが、通帳に個人名義の入出金が表示されてしまうと、裁判所としてはその個人名義の入出金が具体的にどのような事情から行われたものなのか、その詳細を調査しなければなりません。

 

個人名義の入出金は資産隠しや負債の隠蔽(偏波弁済※特定の債権者にだけ弁済をしたりすること)が疑われるからです。

 

たとえば、通帳の履歴部分に個人のAに対して20万円の出金が記録されていた場合、「申立前に資産を隠すためにAに20万円を送金したのではないか?(資産隠し)」とか、「Aからも借入れがあって返済しているのではないか?(負債の隠蔽)」との疑いが生じてしまいますし、また個人のBから10万円の入金が記録されていた場合には、「申立書に記載した債権者以外のBからも借入れがあるから10万円の入金があるのではないか?(負債の隠蔽)」との疑いが生じてしまいます。

 

そのため、個人名義の入出金が通帳に記録されている場合には、申立てにあたって上申書や報告書を別途作成してその個人名義の入出金が何を目的としたものなのか、その詳細を裁判所に説明する必要があるわけです。

 

そして、闇金はその顧客などから不正に入手した個人名義の預金口座を利用して貸付金の振り込みや返済金の受領を行いますから、闇金と取り引きがある場合にはおしなべて通帳の履歴に個人名義の入出金が記録されてしまいます。

 

このような事情から、消費者金融やクレジット会社などからの借金が原因で自己破産する人が過去に闇金とも取引があったケースでは、添付する預金通帳の写しとは別に上申書や報告書を作成してその個人名義の入出金が具体的に何を理由としたものなのか説明する必要があるのです。

 

この点、その個人名義の入出金をどのように裁判所に説明(報告)するかが問題となりますが、明確な様式が定められているわけではありませんので適宜の様式で行ってもかまいません。

 

書き方は預金口座の履歴の状況によっても異なりますが、私の場合次のような要領で上申書(報告書)を提出しています。

 

① 通帳に個人名義の入出金が少ない場合

通帳に記録された闇金との取引が少ない場合は文章で説明する方が簡潔です。具体的には次のような要領で上申書を作成して問題ないでしょう。

② 通帳に個人名義の入出金が多い場合

通帳に記録された闇金などに関する個人名義の入出金が多い場合、前述の①ように入出金ごとに分けて記載すると上申書の文章が長くなってしまいます。

上申書の文章が長くなってしまうと申立書をチェックする裁判所の負担が増してしまいますので、一覧表形式で記載する方が無難でしょう。

たとえば私の場合、次のような要領で上申書を作成することが多いです。

③ 通帳に闇金ではない個人名義の入出金がある場合

通帳の入出金履歴に闇金だけでなく、闇金以外の個人名義の入出金が記録されているケースがあります。

こうした場合も適宜の方法で上申書(報告書)を作成すれば足りますが、闇金とそれ以外の入出金は分けて記載した方が分かりやすいかもしれません。

事案により異なりますが、闇金以外の入出金がそれほど多くない場合、私は次のような要領で上申書(報告書)を作成することが多いです。

※以上は個人的な記載例にすぎませんので参考までにとどめてください。

※申立書にこうした上申書の添付が義務付けられているわけではありません。あくまでも上申書を添付した方が同時廃止になりやすいのではないか、という個人的な見解に過ぎませんので、誤解のないようにお願い致します。

 

ヤミ金が関係する自己破産では解約された口座の履歴を添付することが多い

 

以上で説明したように、ヤミ金融と取り引きがある場合には個人名義の入出金を説明する必要がある点に注意が必要ですが、次に気を付けなければならないのが、過去2年以内に解約した預金口座の履歴も添付する必要がある点です。

 

ヤミ金融と取り引きがある場合、ヤミ金融にご自身の口座情報を教えているケースがほとんどだと思いますが、ヤミ金融に口座情報を知られていると犯罪行為に巻き込まれるリスクが生じますので闇金との取引に利用した預金口座は速やかに解約することが望まれます。

 

そのため、ヤミ金融と取り引きがある場合には過去に解約した預金口座があるケースが多いのですが、自己破産の申立書に添付が求められる預金口座の履歴は過去2年以内に解約したものも含まれますので、ヤミ金融と取り引きがある場合の破産申立では解約した口座の入出金履歴の添付が必要になることが少なくありません。

 

もちろん、過去2年以内に解約した口座の履歴の添付が必要になるのはヤミ金融と取り引きのある場合に限られたことではありませんが、ヤミ金融と取り引きのあるケースではその必要性が生じることが多い印象がありますので、忘れないように注意した方が良いでしょう。

 

なお、添付する入出金履歴については通帳があればその写し(コピー)を添付すれば足りますが、ネットバンキングの場合には解約後ログインすることができなくなるため入出金履歴をプリントアウトすることができません。

 

その場合、郵送で入出金履歴を郵送で取り寄せる必要がありますが、銀行によって数週間の期間を要しますので早めの対応を心がけてください。

 

闇金が関係する自己破産では破産管財人が通帳を管理することがある

口座の入出金履歴とは若干話が異なりますが、管財事件になった場合に破産管財人が通帳などを預かるケースがある点も注意が必要です。

 

個人の破産手続きは申立て後に同時廃止と管財事件に分けられますが、書面上の審査で破産手続きが終了する同時廃止と異なり、管財事件に振り分けられた場合には裁判所から選任された破産管財人が詳細な調査を行います。

 

破産管財人の調査範囲は多岐にわたりますが、預金口座の入出金も当然に含まれますので、闇金と取り引きのあるケースのように個人名義の入出金が多数記録されている場合には、破産手続きに影響を及ぼす不正な入出金がないか破産管財人による詳細な調査が行われるのが通常です。

 

そして、破産管財人が預金口座の調査が必要だと判断したケースでは、破産管財人が調査のために申立人から預金口座の通帳などを預かって入出金を管理することがありますので、そうした事案では自由に入出金をすることができなくなりますので注意が必要でしょう。

 

もちろん、破産管財人が通帳やキャッシュカードを預かるからといって生活費などの出金ができなくなるわけではありませんが、破産管財人が預金通帳やキャッシュカードを預かるような事案ではその口座の利用に一定の不便が生じますので、その点は予め留意が必要でしょう。

 

闇金と自己破産の手続は早めに弁護士や司法書士に相談しましょう

以上で説明したように、闇金と取り引きのある自己破産のケースでは添付する預金口座の入出金履歴に関して若干の注意が必要なケースがあります。

 

もちろん、個人の自己破産申立の事案では弁護士や司法書士に依頼するケースがほとんどだと思いますので、依頼する弁護士や司法書士の指示のとおりに進めれば問題はなく、このページで説明してきたような細かな点を申立人が気にする必要はありません。

 

闇金と取り引きのあるケースに限らず、消費者金融やクレジットカードなどの返済が困難となっている場合には、早めに弁護士や司法書士に相談するよう心掛けていただきたいと思います。

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