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多重債務者を弁護士にあっせんした貸金業の男らが非弁行為により逮捕
|闇金情報ブログ投稿日:2025.02.07
最新更新日:2025.02.07
ニュース・報道
多重債務者を弁護士にあっせんした貸金業の男らが非弁行為により逮捕

貸金業を営む男らが非弁行為の弁護士違反で逮捕されたことが報道されています。
弁護士資格を持たない貸金業を営んでいた男が、多重債務者を弁護士にあっせんして報酬を得ていたようで、貸金業の男や広告会社の男、弁護士ら複数名が逮捕されています。
記事の概要を掲載します。
多重債務者を弁護士にあっせん、1億円得たか…警視庁が貸金会社社長らを弁護士法違反容疑で逮捕※引用元:読売新聞オンライン 2025/2/7 05:00配信記事より
債務整理を必要とする多重債務者を弁護士にあっせんしたとして、警視庁が貸金会社社長の男(54)(東京都目黒区)、広告会社役員の男(71)(東京都渋谷区)を、弁護士法違反(非弁行為)容疑で5日に逮捕していたことがわかった。
2人が2017年以降、弁護士3人に計約1000人の多重債務者を紹介し、約1億円の紹介料を得ていたとみている。 警視庁は2人から多重債務者のあっせんを受けたとして、弁護士の男(86)(東京都北区)も5日、同法違反(非弁提携)容疑で再逮捕した。
捜査関係者によると、貸金会社社長の男らは23~24年、再逮捕された男を含む弁護士3人に報酬目的で多重債務者を紹介した疑い。
3人は60~80歳代で、紹介された債務整理などで計約6億円の弁護士報酬を得ていた。
3人のうち2人は弁護士会から処分を受けたことがあったという。
警視庁は、貸金会社社長の男らが集客力の乏しい弁護士にあっせんを持ちかけたとみている。
弁護士法は、弁護士でない者が報酬目的で法律事務をあっせんし、弁護士が無資格者から顧客の紹介を受けることを禁じている。
貸金業の男らが弁護士に客をあっせんした事件
本記事の事件は、貸金業を営んでいた男らが、多重債務者を弁護士にあっせんし、紹介料を受け取っていたという、弁護士法違反の事件です。
記事中の貸金会社と広告会社の男らが行っていた融資の広告に対し、問い合わせをしてきた多重債務者を提携する弁護士にあっせんし、それによる紹介料として報酬の授受を行っていたというもので、1億円もの多額の報酬を受け取っていたものとされています。
弁護士の広告に関する規制は1990年代以前と比べて緩和され、今ではテレビCMなどでも法律事務所の広告を見かけるようになりました。
しかし集客には莫大な費用とノウハウが必要になることもあって、集客力が強いところはごく一部と言えるでしょう。
それに目を付けたのか、この貸金業の男は広告会社と組むことで集客を図り、それによって得た顧客を弁護士にあっせんするというスキームを用いていたようです。
いわば、この貸金業者と広告会社が弁護士の広告を代わりに請け負うような形になっていることが分かります。
他の報道によると、実態としては貸金業者というよりは、融資を申し込んできた多重債務者を集めて弁護士に紹介することで紹介料を得るというビジネスをメインとしていたとされています(日テレNEWS 2025/2/7 5:00配信記事より)。
弁護士法違反のいわゆる「非弁提携」
弁護士法は、本記事のようなあっせんを行うことを禁じています。
第72条(非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止)
弁護士又は弁護士法人でない者は報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。
また、弁護士がこのような者と提携して紹介を受けることも禁止されています。
第27条(非弁護士との提携の禁止)
弁護士は、第72条乃至第74条の規定に違反する者から事件の周旋を受け、又はこれらの者に自己の名義を利用させてはならない。
本件では先月も逮捕者が出ていることが報じられています。逮捕された弁護士は、これ以前にも司法書士や行政書士などから顧客リストを受け取っていたことなどにより業務停止の懲戒処分を受けているようでした。
いわゆる「非弁提携」は、弁護士や司法書士の業界において非常に深刻で根深い問題として度々このように表面化することがあります。
法律家の信頼を揺るがすのみならず、多重債務者を食い物にする卑劣な行為です。
非弁提携事件には徹底した実態解明と規制の強化を
本件は、本来弁護士の扱う債務整理においては相手方となりうるような、貸金業者側と提携をしていたということで、利用者側からすると果たして弁護士はどちらの味方なのか、と思ってしまうような酷い事例です。
本事件に関して徹底した追及がなされることによって、今後の抑止力となるように期待したいところですが、非弁提携は長年根絶されていない根深い問題になっているのが現状です。
利用者としては、いかにも都合の良すぎる広告には惑わされないこと、弁護士を紹介された経緯に不自然なところはないか、など相当慎重な判断が要求されます。
なにかおかしいと感じたら、弁護士会などに問い合わせて相談してみるというのも一つの手です。
こうした卑劣な非弁提携のスキームに対しては、すべての実態を明らかにして処罰されるべき者に遺漏なく処罰を与えることのみならず、さらには非弁行為の厳罰化等より踏み込んだ規制の強化も必要になるでしょう。