"後払い現金化"業者の逮捕に関する情報ー「インフォクリエイト」などを経営

公開日:2021/10/15更新日:2022/12/20

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■続報あり

2022年12月16日札幌地裁にて首謀者とされる男の判決公判が開かれ,有罪判決が言い渡されたことが報道されました。詳細は以下のページをご参照ください。
後払い現金化闇金に有罪判決―インフォクリエイトなどを経営

警察署

今年9月末,後払い現金化という手口で実質的に貸金業を無登録で営んでいたとして,千葉県や北海道の男らが逮捕されたことが報道されました。

容疑は貸金業法違反とされていることから,逮捕した北海道警察生活経済課などは,後払い現金化という手口を用いた闇金であると判断しているようです。
以下に報道記事の概要を要約し,掲載します。

―記事の概要―

●2021年9月29日,北海道警は,「後払い現金化」と呼ばれる手口で違法な貸金業を営んだ千葉県の40歳代の男ら4人を逮捕したと発表。同被疑者らと共謀したとして,翌30日にも札幌市の50歳代の男を逮捕したことが報じられた。被疑者らは共謀し,昨年10~12月,貸金業の登録なく道内の男性2人に計8万円を貸し付けた疑いが持たれている。

●手口の概要は,「情報商材」の販売を称してほぼ無価値の商品を後払いで購入する約束をし,「キャッシュバック」と称して客に現金を貸し付ける手口で,後日利息を上乗せした金額を「商品代金」の名目で返済させていた模様。道警はこの取引につき,融通した現金を元本,後で回収した代金との差額を利息と見なし,実質的な貸し付けに当たると判断した。

●道警はさらに,昨年5月頃から今年1月に全国の延べ約4700人に貸し付け,約1億円の利益を得ていたとみて出資法違反容疑も視野に捜査を進めている。

※出典
・朝日新聞デジタル(https://www.asahi.com/articles/ASP9Y6SF7P9YIIPE037.html)2021/9/29 21:00配信
・北海道新聞(https://www.hokkaido-np.co.jp/article/595043)2021/9/30 22:44配信

後払い現金化の手口とは?

後払いは闇金

「後払い現金化」と呼ばれる手口は,昨年夏頃から流行しはじめ,融資に変わる新たな資金調達手段という売り文句で多数の業者が大量の顧客を獲得していました。

記事のとおり,ウェブサイトから情報商材やソフトを購入させて代金は後払いとしたうえで,申し込んだその日に一部をキャッシュバックすることで即日現金を手にすることが出来るというものです。

すなわち,申し込めば即日現金が受け取れ,後日(例えば給料日など)に代金を支払えばよいというものであり,実質的にはお金を借りて給料日に返済する,というのと変わりません

警察は後払い現金化を闇金と判断している

闇金にお金が渡るイメージ

そして,後払い現金化業者は著しく高金利の取引ばかりであり,直近の給料日にキャッシュバックで受け取った額の倍に相当する金額を支払わないといけないといった内容になることもよくあります。

前述のとおり本件は,貸金業法違反の無登録営業とされていて,上記のような取引を業として行うことは貸金業に該当するものであると判断されていることが分かります。

さらには,出資法違反の容疑でも捜査を進めていることから,紛れもなく後払い現金化は金銭の貸付けであり,受取額に対して不相応に高額な支払いを求める後払い現金化業者は闇金に他ならないということなのです。

後払い現金化の前身はほとんどが違法な給料ファクタリング

暴利を得る闇金のイメージ

後払い現金化の手口は,以前いわゆる給料ファクタリングと呼ばれた手口を用いていた業者がスキームを少し変え,新たに始めたケースがとても多いです。
多くの業者に,かつての給料ファクタリング業者との関連性を見出すことが出来るのが実情です。

周知のとおり,給料ファクタリングは複数の業者がすでに摘発されていて,今や闇金の用いる新型の手口であるという認識が広まっています。

したがって多くの後払い現金化業者は元来違法な取引を行っていた業者であり,単に摘発を免れて新たな手口により再び悪質な営業を行っているに過ぎないものと言えるでしょう。

当事務所で調べたところによると本件業者も以前給料ファクタリングを行っていたようです。
給料ファクタリングの摘発を免れ,新しい手口で暴利を貪っていたところ,ここにきて遂に捜査の手が及んだというわけです。

今回逮捕された業者に関する情報

今回摘発された業者がどのような屋号を用いて営業していたかはまだ公表されていませんが(※),当事務所で調査したところによると,被疑者の1名に後払い現金化業者を運営する株式会社の代表取締役と同名の者がいるようでした。

この人物は複数の会社の代表者であることが登記情報から確認できていて,それらの会社は複数の屋号・HPを用いて集客していました。

※―11/11 最新情報追記―

2021年11月11日,本件被疑者の再逮捕が報道され,同人らは「インフォクリエイト」のサービス名で営業していたことも報じられました(HBC北海道放送ウェブサイト 11/11 6:30配信記事〔https://www.hbc.co.jp/news/592cef1147b2c231a69a263935f7af8d.html〕参照)。
インフォクリエイトを運営するのは札幌市東区のMSプロモート株式会社であり,当事務所で把握している情報によると同社は他に「後ラボ」なども運営していました。
また,被疑者の1人である同社の代表取締役は「ワンストップ」を運営する株式会社OSGSの代表取締役でもあります。
このように同じ運営者が複数の屋号にて集客をしているという実態があります。

このように広く集客していたこともあり,被害者はこれほど多数になってしまったのでしょう。

この業者が実際に貸し付けた人数は4700~4800人に上ると報道されていますが,HPなどから申し込んだ人数は恐らくこの倍以上はいるのではないかとみられます。
つまり,1万人近い方が今回逮捕された後払い現金化業者に手を出すに至ってしまったのではないかと予想されます。したがって全ての後払い現金化手口の被害者数をみると極めて多数にのぼるものといえるでしょう。

一般的な闇金業者と比べると,1つの業者がわずか1年足らずでこれほど多くの顧客を獲得するのは考えられないほどのペースです。
過去の闇金の摘発記事と比較すると,期間のわりに顧客数が非常に多くなっているのが分かります。

例えばソフト闇金アバロンの事例では顧客は2000人,非常に手広く活動していたソフト闇金メビウスの事例では2万人とされていますが3年半の延べ人数として公表されています(もっとも闇金はリスク回避のために名簿を破棄してしまうことがあることから,実際にはもっと多い可能性があります)。
※詳細は下記記事を参照
全国に2000人の顧客を持つソフト闇金アバロンついに逮捕!
ソフト闇金メビウス,逮捕 ― 長崎県警がサイバー捜査による初のソフト闇金摘発

実に多くの方が被害者ないし潜在的な被害者になっているようですし,中には闇金とは思わず申し込んだ方も相当数いらっしゃるでしょう。

なお,これら業者との取引の中には,直近の給料日に倍返ししなければならないといった厳しい条件の取引を強いられる場合もありました。

また,支払いが滞った場合は詐欺罪で刑事告訴する,差押えの手続きを執るとの脅しに加え,勤務先や緊急連絡先へも連絡するという脅し文句が書かれた注意書きが送られてくる場合もありました。以下に,本業者とみられる後払い現金化業者から,申込み時に実際に送られてくる注意事項を一部掲載します。

様々な脅し文句が書かれた注意書きのキャプチャ

△本業者とみられる後払い現金化業者から実際に送られてくる注意書き

~以下,画像中のメッセージを抜粋~

今回,当社とお客様とで締結する契約は商品に対する売買契約です。
当然,給料ファクタリングや消費者金融会社等のサービスとは異なる為,商品代金を踏み倒した場合「取り込み詐欺」に該当する恐れがあります。
お約束をお守り頂けない場合,不本意ながら刑法第246条により「取り込み詐欺」として刑事告発及び被害届等の対応を即日行う場合が御座います。
また,あまりにも悪質な場合には下記の登録も辞さない所存で御座います。

[悪質取り込み詐欺師 住所録](URLリンク)

以下のお客様は厳しく対処します。
【お支払い前のLINE退会】
お客様データは既に保存しております
【未払いで弊社からのLINE無視やお電話連絡の無視】
お支払いが滞った場合,法的処置対応となり「取り込み詐欺」として,刑法第246条にて刑事告訴およびお勤め先や緊急連絡先へのお問い合わせをさせて頂く場合が御座いますので予めご了承願います。
最悪の場合,弊社顧問弁護士の手続きの上,裁判所の命により差し押さえ等の処置となりますので,お支払期日や商品代金に関してお守り頂きますようお願い申し上げます。

 

職場や家族,知人などの連絡先を教えるよう初めに要求されることがほとんどですが,多くの方がこのような業者との取引を周囲には知られたくないものです。
それを悪用して,金を払わないと関係者にも連絡するという脅しは,まさに闇金がよく用いる取立て方法の一つです。

さらに,この注意書きによると,支払いが出来なかったり連絡が取れなかったりすると「悪質取り込み詐欺師 住所録」なるサイトに個人情報が公開される恐れがあるとのことです。

このあたりをみると,おおよそまともな業者ではないことが分かるのではないかと思います。一般の通販や後払い決済サービスに,これほどまでに明らかな脅し文句を書いているところなど果たして存在するでしょうか。

後払い現金化は闇金。絶対に申し込まないで下さい

現在でもまだ多数の後払い現金化被害が発生している状況で,今後もすぐに衰退するような気配がないほど,次々と新規業者が現れています。

いずれも,「理不尽に高額な支払いに耐えられなくなった」「商品代金を払わなければ職場や家族にも連絡して代わりに払わせると脅された」「ネット上で詐欺師として顔写真や身分証写真を拡散された」など,闇金と何ら変わらない卑劣で悪質な取立てが行われている実態があるのです。

実際に取引してみると,闇金からお金を借りたときと全く同じような,深刻な被害を受けてしまうことが多いため,後払い現金化業者の利用はおすすめできません。

前述のような内容の取引をするような後払い・ツケ払い現金化業者=闇金であるということを常に意識し,申込みを検討されている方は,くれぐれもお気をつけ下さい。

また,現に取引をしてしまっている場合は,早めに司法書士や弁護士など専門家に相談するなど,極力早めに縁を切るように対処しましょう。

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